小便小僧とは「小便をする少年の像」だ。本家はベルギー・ブリュッセルにある像で、地元では「ジュリアン君」と呼ばれ親しまれている。なんでも爆弾の導火線に小便をかけて火を消し、間一髪で町を救ったらしい。そりゃ銅像にもなりますわ……と納得の武勇伝である。

今では世界中に小便小僧が設置されているため、ブリュッセルに行かずともその姿を拝むことはできるが……その中に「本当に火を消せるほどの小便をしている像」は一体何体あるのだろうか。そこで今回は、火を消すほどの小便をする最強の小僧を皆様にご紹介したい。

・小便小僧

やってきたのは、埼玉県入間郡の越生(おごせ)町。車で行くならナビを「赤坂沢砂防ダム」と設定すべし。もしくは「あじさい山公園」の駐車場に車をとめて歩いて行っても良い。公園に続く道は “あじさい街道” と呼ばれ、時期がくれば街道沿いに咲く紫陽花も楽しめるという。

小便小僧は「赤坂沢砂防ダム」にいる。砂防ダムとは、土砂災害を防ぐために河川や渓流に設置されたダムのこと。そんなダムを、いや、小便小僧を目指して山道をぐんぐん進んでいく。背の高い木々が日光をさえぎっていて昼間なのに薄暗い。なんだか不気味だ。


・衝撃

ダムが見えてきた。どうやら現場に到着したらしい。看板によると、小便小僧を設置したのは埼玉県で「砂防事業をPRするために平成3年(1991年)に造った」そうだ。ダムの約100メートル上流の沢を水源としていて、その高低差を利用して “放水” しているという。


100メートルの高低差を利用か……



なるほど……



高低差がえぐいからか……


放水激しすぎィィイイイイイイイ!


ドラゴン花火の勢いである。確実に町を救うレベルの勢いで放水をする小便小僧が木の上に立っていた。このパワーなら導火線どころか燃え盛る炎もスピーディーに消火できるだろう。爆弾魔泣かせの最強放水力……この小僧、やりおる。


・謎の猿

そして猿が一匹ぶら下がっている。まるで小便の勢いに合わせて踊っているようだ。小僧と猿、不気味なペアである。テロリストも震えて逃げ出すに違いない。

ちなみに後から調べたところ、小便小僧は30年以上前に造られたため、砂利の詰まりや空気の混入等で水の出が悪い時もあるそうだ。そのため定期的に清掃作業が行われていて、作業直後の勢いはマジでハンパないらしい。どうせならMAXを見てみたかったが……


十分すぎる迫力である。見ていて全然飽きない。


・号泣するダム

そしてダムも不気味だった。3つの水抜き穴が「目」と「口」のように見えてならない。または『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシのようでもある。とにかく号泣しているようだ。


ダムだけを見てたら可哀想になってくるが……


噴出花火「ビッグドラゴン」の勢いで小便をする小僧と、わけもわからず踊り狂う猿を見ていたら、ダムの泣き顔なんかどうでもよくなってしまう

──というわけで、想像以上の迫力だった。埼玉県屈指の珍スポット「赤坂沢砂防ダム」は一見の価値アリである! とくに雨が降った後はすごいとのことなので、機会があればぜひ足を運んでみてほしい。


・今回ご紹介したスポットの詳細データ

名称赤坂沢砂防ダム
住所:埼玉県入間郡越生町小杉地内

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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▼雨の後はもっとスゴいのかも……

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