突然だが、皆さんは雪見だいふくというものをご存知だろうか。餅の中にバニラアイスが入っているアレだ。コンビニやスーパーに行くと必ずと言っていいほど売られている氷菓のレジェンドである。
しかし、最近ふと気づいた。あれを買って食べた記憶がないことに。少なくとも自分で買って食べたことはない。子供の頃にオカンか誰かが買ったものを食べたことはある気もするがマジで覚えてない。したがって、食べたことがあったとしても30年くらい前だと思う。
・食べたことがない理由
私(中澤)がなぜこうなってしまったかと言うと、学生時代は実家だったため買い食いする習慣がなく、上京してきてからは金がなさすぎたからである。アルバイトと無職を行ったり来たりしながらバンド活動していた私にとってアイスなんて買う余裕はなかった。
なんなら、食事は豆腐だったし、ロケットニュース24で書き始めた頃の時点でも電気や水道が頻繁に止められていた。「電気止まってました」と先輩記者の佐藤英典に話したら、今時ここまでの社会不適合者は珍しい的に爆笑され、レポートを書くことになったのは良い思い出。当時の自分はその状況に慣れすぎていて記事にするという発想がなかった。
・なぜ買おうと思ったか
食べたことがないものも同じ。最初から選択肢がないため食べたことがないものを考えても思い浮かばないのである。では、なぜそんな私が雪見だいふくを食べようと思ったかと言うと、たまたまローソンの氷菓コーナーで見かけた新しい雪見だいふくがめちゃくちゃウマそうだったから。
ほ、北海道産生クリームを使用した生ぷりん味だとォォォオオオ!? 言葉から受けるインスピレーションだけで脳髄がトロけそうだ。というわけで買ってみたわけ。税込み173円。生ぷりん味のスペシャル感から受けた印象より安い。
・衝撃
フタを開けると、まず驚いたのはその大きさ。パックギチギチに入っていて思ったよりデカイ。しかも、2つもある。
よく見たらプラスチックのフォーク的なものまでついているじゃないか。雪見だいふく一個買うだけでアイスだけじゃなく、お皿とフォークまでついてくるなんてトータルコーディネートすぎる。アイス界のZOZOTOWNかよ。
・食べてみた
思わず意味不明な例えをしてしまったが、それだけ衝撃を受けたとご理解いただけると幸いだ。だが、食べてみたところ、それどころではない衝撃が私を襲った。
ウメエ……!
ぷにゃっとした食感からトロけるようなミルキーさがあふれ出す。このミルキーな風味がもう他のアイスでは味わったことがないほどなのだ。生ぷりんと言う割には完全にバニラアイスだが、ひょっとしたらこのミルキーさが生ぷりん味の神髄なのかもしれない。
しかし、この餅の絶妙なる存在感よ。ぷにゃっとした食感がありつつ、アイスの溶けるような滑らかさも持っている。思わず残ったもう1つの方を切って断面を見たところ、餅はかなり薄皮で中にはバニラアイスがギチギチに詰まっていた。クッ、なんてことしやがる。こんなことしたらウマイに決まってんだろ。
・ロッテの覚悟
多少の理性があったならここまでギチギチにはならなかったに違いない。だが、もはや手遅れだ。人の道を踏み外そうと、アイスをウマくする。雪見だいふくからは、そんなロッテの悲壮な覚悟を感じたのであった。
餅にアイスを詰めるマシーンと化してしまったロッテ。私もまたそんなロッテを責めることはできない。なぜなら、雪見だいふくの甘さの虜になってしまったのだから。
もはや、雪見だいふくを食べなかった頃には戻れない。ゆえに、許そう。ロッテよ、好きなだけ詰めるがいい。私も週一くらいで買おう。人は皆、雪見だいふくの前では無力なのである。それにつけても、これが173円は安い。なんで誰も教えてくれへんかったん? ねえ、なんで?
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]