
日本アニメ史に伝説を残した不朽の名作、エヴァンゲリオンシリーズ。待って待って待ち続けた劇場版の完結で、抜けがらになっているファンも多いことと思う。
もちろん作品はフィクションだが、神奈川県や長野県などに実在する地名がたびたび登場し、モデル地があることが広く知られている。物語の舞台を巡る旅が『るるぶエヴァンゲリオン』(JTBパブリッシング)にまとめられているほどだ。
作品の余韻を味わいに、遅ればせながら実際にゆかりの地を訪ねてみた。第1弾は「第3新東京市」のモデルとされる神奈川県の箱根だ!
・ジオフロントのある激戦地、芦ノ湖エリア
旅の始まりはここ、箱根湯本駅から。主人公たちが暮らし、物語前半の主要な舞台「第3新東京市」があるとされる箱根。これまでも数々のコラボイベントが行われてきたから馴染みのある人も多いだろう。
新宿からロマンスカーでおよそ1時間30分の箱根湯本駅は、現実的にも箱根の玄関口と呼べるだろうし、旧作の印象的なエピソードにも登場した。
物語の序盤にシンジがネルフを拒絶し、箱根を離れようとするシーンだ。駅舎は建て替えられているが、ホームと併走するように車道が伸びる配置は記憶と一致する。
駅の1階部分には公式ストア「箱根湯本 えゔぁ屋」がある。記念すべき10周年を迎えたそう。
毎年箱根の名所をモチーフにした描き下ろしイラストが登場し、さまざまにグッズ化されている。箱根らしい和テイストのイラストは必見だ。よりいっそう「ここにみんなが実在している!」という感慨が深まる。
第4の使徒の攻撃で、一瞬にして破壊された箱根登山鉄道(※作中では100形)。エヴァとは関係なく、実用面でも観光面でも人気の乗り物だ。
ジグザグに進行方向を反転させて急斜面を登る “スイッチバック” が見どころなのだが、そこで「モード反転。裏コード、ザ・ビースト!」とつぶやくといいらしい。
……嘘じゃない、『るるぶ』に書いてあった。信じてくれ。
箱根登山鉄道、バス、ロープウェイなどを乗り継ぐと「桃源台(とうげんだい)駅」にたどり着く。
……などと知った風に書いているが、筆者は箱根は初訪問。
それぞれの乗り物の接続もよく、さすが日本有数の観光地だと感心しっぱなしだ。険しい山の中なのに東京からもアクセス良好だし、温泉、紅葉、史跡と見どころに事欠かない。そして、ちょっと昼食をとろうとしても、そば や うどん で1000円超えの物価にもびっくりである。破産する。
同所は作中で「桃源台中央駅」として登場し、第3新東京市モノレールの発着駅となっている。ネルフ本部への乗換駅にあたり、ネルフ職員もよく使うという設定。シンジと加持リョウジの出会いの場でもある。
現実の桃源台駅には初号機がいる!
周辺の壁、天井、床などがネルフ仕様に模様替えされていてムード満点。
エレベーターなんてそのままネルフ本部に続いていそう! 思わず乗り込みたくなるが、これは身体の不自由な人などが移動するためと思われる。
ショップもあり、エヴァ × 箱根グッズを扱っていた。芦ノ湖の風景をバックにした美麗なミネラルウォーターをお買い上げ! 箱根らしくてイイ!!
同じくロープウェイで行けるのが、家出をして放浪中のシンジがたどり着いた大涌谷(おおわくだに)。箱根火山の水蒸気爆発で形成されたという奇景が広がり、硫黄の匂いが鼻をつく。とても徒歩でフラフラと行けるようなところじゃなかったぞ。
視線を横に転じると、第3新東京市を見下ろせるはずの位置関係。作中では、もやに包まれた市街地をシンジがぼんやりと眺めていた。
このエピソード前後の……というか作品全体を通じたシンジの鬱々(うつうつ)とした思考や行動は、視聴者をヤキモキさせる側面もあるが、努力が報われたことのない育ち方をしてきた彼にとっては当然の帰結だ。「前向きに頑張る力」というのは、生まれつきではなく周囲の対応で育つものなんだよなぁ。
このエリアのクライマックスは、なんと言ってもやはり芦ノ湖! 風光明媚な観光名所だが、作中では第6の使徒が湖上に現れたり、爆撃戦で炎に包まれたりと散々なスポットだ。角度によっては「ヤシマ作戦」で陽電子砲が設置された二子山が見えるはず。
現在観光地として栄えている場所は、作中では廃墟のように荒廃していることも多く、ロープウェイの残骸らしきものなどが画面に映る。ネルフの手が入らないところは破壊されたまま、ということなんだろう。
・市民の暮らしが感じられる仙石原エリア
芦ノ湖エリアはおもに戦いの舞台だが、そこから少し北に行った仙石原(せんごくはら)周辺には市民の生活エリアがあるという設定。ミサトのマンション、レイの集合住宅、学校などがあるとされる。周遊には車が便利だ。
シンジらが通う第3新東京市立第壱中学校は、旧・箱根町立仙石原中学校がモデルと言われる。過去には学校名の銘板が掛け替えられ、再現イベントも。
中学校としては閉校し、現在は大学のキャンパスやスポーツ施設に生まれ変わっている。合宿所として校舎で宿泊もできるんだそう。面影あるかな?
シンジたちが何度も歩いたと思われる周辺道路は、高級リゾートや別荘なんかもあるのだろうか、意外にもモダンな雰囲気。エヴァの世界観は、科学技術を極めた近未来都市のようなところと、どこか昭和レトロな田舎とが混在していると思うのだが、そのどちらでもない。しゃれた空気がただよっている。
そして仙石原の名所といえば、いまの時期には外せないススキ野原! こんなに街から近いところにあるとは知らなかった!
道路沿いにどこまでも続く薄茶色の草原! う、美しい……!!
実際には遊歩道から逸れてはいけないので、テレビ版のケンスケのように奥に入り込んで野営なんかしたら警備員がすっ飛んで来ると思う。けれど雰囲気は抜群だ。
仙石原から少し郊外に出た金時(きんとき)公園には、「仙石原前哨基地」という設定でデザインされた公衆トイレがある。
さらにここから石段を登ると、トウジとケンスケがシェルターを抜け出して使徒戦を見物に行く公時(きんとき)神社があるはずなのだが……
なぜか周辺道路も含めて車があふれていた! 「こんなにエヴァファンが!?」と胸を熱くしたのだが違った。早朝から登山客が集まっているのだった。
とても車を停める余地がなく、見学は断念した。うぅぅぅむ、これはかなり残念! 自分の趣味に「登山」という発想がなかったので想像もしなかったが、休日には交通規制もあるそう。紅葉シーズンは近づくのが難しいかも。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。予定外に見られたものもある。なんと箱根ではゴミ収集車までエヴァンゲリオン! 本当に町を挙げて “エヴァ推し” だ。お腹いっぱい!
・見どころ多過ぎの箱根
「エヴァ=箱根」というのは長年の常識だろうが、ここまで作品の気配にあふれているとは思わなかった。物語は完結したが、まだまだ現地は盛り上がっている。
しかも、エヴァの聖地としてだけでなく自然や歴史を感じられる観光スポットとしてもコンテンツ豊富だ。本当なら温泉に1泊するなどしてゆっくり周遊するといいのだと思う。
ただし、さすがエリートのネルフ職員が暮らす街だけあって飲食にも移動にもお金がかかる。もしまだ体験していないなら、少し多めに小遣いを持って秋の小旅行はいかがだろうか。
参考リンク:箱根町観光協会公式サイト「第3新東京市情報局」
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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冨樫さや





















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