フライパンで肉のおいしさは変わるのか──? 個人的な感覚だと、何となく変わりそうな気はするものの、結局は肉の質によるところが大きいんじゃないかという気もしてしまう。スーパーで買った外国産の安い肉に、果たして本田圭佑ばりの伸びしろを期待していいものか?

ただ……このフライパンならやってくれそうではないか。“世界で一番お肉がおいしく焼ける” というキャッチフレーズで有名な『おもいのフライパン』。8秒に1枚売れた(!)という伝説の宝具を用いて、今日はじっくりステーキを焼いてみたい。

・おもいのフライパン

先日スタートした新連載「サブスク初月だけ検証」。といってもまだ第1回なのだが、実はそこで取り上げた『お肉のサブスク』を手掛けているのが、『おもいのフライパン』を販売する石川鋳造なのだ。詳しくは該当の記事をご覧いただきたい。

さて、そんなワケで私(あひるねこ)の手元には、肉サブスクでレンタルした『おもいのフライパン 20cm』がある(現在は返却済み)。鉄製で、一般的なフライパンと違い塗装もコーティングもされていないのが特徴だ。

これにより、塗装の剥がれや有害物質発生の恐れがなく、また熱伝導率や蓄熱温度といった鋳物ならではの強みを最大限に引き出せるんだとか。気になる販売価格は……聞いて驚け、なんと税込1万2650円である。高っか!

・実践編

それでは実際にステーキを焼いてみようと思うが、今回は比較のため、同じ肉を通常のフライパンと『おもいのフライパン』とで焼き比べてみたい。画像左が我が家で普段使っているテフロン加工のフライパン、右が『おもいのフライパン 20cm』だ。

焼くのはスーパーで購入したアメリカ産の牛肩ロース。100グラム約300円である。肉を常温に戻してから筋を切り、フォークでプスプス刺した後、軽く塩コショウをしておく。

・先攻

ではまず通常のフライパンからだ。よく熱したら牛脂をひき、そこへ豪快に肉を投入する! 細かい工程については省略するが、ネットで調べると出てくる一般的な調理方法を選択。どちらのフライパンでも同じように焼くことを心掛けた。数分後……


ステーキが完成。

こういう安い肉を使った意識低い系ステーキがけっこう好きでよく焼くのだが、まあ当然いつも通りの味である。霜降りの国産牛とは違う、ギュッとした噛み応えのある固めの赤身肉。あとは赤ワインさえあれば、私としては十分満足できるクオリティーだ。

・後攻

それでは今度は『おもいのフライパン』で焼いてみる。石川鋳造によれば、ギリギリまでフライパンを厚くしつつ、どこまで重さを感じないようにするかに注力したとのことだが、鉄製なんてほぼ初めて持ったので、ぶっちゃけそれなりには重い。取っ手も熱い。


先ほど同様、牛脂を引いたら肉を投入し……


完成。

見た目は最初のステーキとあまり変わらず。というかほとんど一緒である。ところが一口食べて驚いた。マ、マジかこれ……全ッ然違うぞ。『おもいのフライパン』で焼いたステーキは、表面はカリッとしているのに中はジューシーで、肉の旨みが明確に閉じ込められているような感じなのだ。

これと比べると、先ほどのステーキは全体的に弛緩しているというか、どこか締まりのないヘナヘナした味に思えてしまう。軍人によるガチの「気をつけ」と、体育祭におけるヤンキーの「ダル気をつけ」くらい違うと言わざるを得ないだろう。

今まで特に不満を抱くことはなかったし、なんならさっきも普通においしいと感じていたが、まさかフライパンによってここまで味に差が出るとは……。先ほどから俺の中のじゅんいちダビッドソンが「伸びしろですねぇ!」を連呼している。うるせぇ。

・買い取ればよかった

実はサブスク契約者ならフライパンをそのまま買い取ることもできたのだけど、金額が金額だけに返却してしまった。今はそのことを少し後悔している。今後、テフロン加工のフライパンでステーキを焼くたび、私は『おもいのフライパン』のことを思い出すのだろう。

参考リンク:おもいのフライパン
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.

▼調理後はタワシを使い、温水で汚れを洗い落とす。洗剤は使用しないそうだ。