やっちまった、またやっちまったよ。お店の定休日を確認せずに、最寄駅まで来ちまった。何回こんなことをやってるのか? この仕事に就いたばかりの時に、休みの日にお店に訪問して「取材できませんでした」って言ったら、ひどく叱られたことがあったな。

もう10年以上も前のあやまちをいまだに繰り返してる。ダメだな、段取りがなってない。とはいえ手ぶらでは帰れない、どうする……?

こうして、私(佐藤)が「カレーパン専門店YES!」の納豆カレーパンにたどり着くまでの長い1日は始まった……。

・1週間の計画

まずは私の仕事の1週間のルーチンについて説明しよう。1週間は日曜日から始まる。日曜にその先の平日5日間の行動計画を決めることからスタートするのだ。1日2件の取材先を決めて、月曜日はあっち、火曜日はこっちといった具合でスケジュールを埋めて行く。

たとえば最近の取材先でいうと、「株式会社バーグハンバーグバーグ」に訪問した際は、その前後で寄れそうな先をチョイスして、その日1日の導線が決定する。あの時は恵比寿に寄ったはずだ。


そうは言っても、いつも必ず計画を守るという訳ではない。というのは、行先を完全に決め打ちすると融通がきかなくなる。街で見つけた「面白そう!」を見逃さないためにも、ある程度気持ちに余裕を持って臨機応変に対応できるように考えている。


・パルム商店街

さて、この日は東京都品川区の武蔵小山にいた。すでに1軒訪ねたあとでもう1軒、駅前から続くパルム商店街の奥にあるお店に行ってみようと考えていたのだ。パルム商店街は全長800メートルのアーケード街である。その長さは東京随一と言われている

そういえば、地元島根県の松江市にもアーケード街があったんだけどなあ。他の地方都市と同じように郊外の大型ショッピングセンターの台頭によって、商店街は廃れていって、老朽化したアーケードは取り壊しになってたな。

アーケードが存続していること自体、すごいと思う。シャッターの締まっているお店もほとんどないし、新しいお店もアチコチ目に入る。さすが日本屈指のアーケード街だ。


右に左にと視線を送りながら歩いていると……、おや? あれは「から揚げの天才」。ほとんどの店が開いている中でシャッターを下ろしているから逆に目につくな。


休業かと思ったら閉店してた。2022年5月31日に閉じたらしい。すでに3カ月近く経つんだから、看板下ろした方が良い気もするんだけどなあ。


そうだ、思い出した! このアーケードのずっと奥に、ロイヤルホストグループのハンバーガー屋「ラッキーロッキーチキン」があったな。


歩いてたら段々思い出してきた。アーケードの入り口の方にある「王様とストロベリー」にも行ったことがある。割と武蔵小山は縁があるんだよな。


・ティッシュおじさん

うん? 格安携帯屋の前のあのおじさん、何してるんだ? 店先においてある無料配布用のポケットティッシュの箱をいじってるみたいだけどなあ。ああいうのは、たいてい1人1個って相場が決まってるヤツだよな。何するんだ?


ポケットティッシュをまとめて5~6個つかんで……


帽子に隠した!


アチャー! 変なもん見ちゃったなあ。「ダメだよ、おじさん」って俺がいうのも変だよな。だってお店の人じゃないし。「おひとり様、おひとつでお願いします~」って丁寧に言いながら近づいて言ったらビビるだろうなあ。

家のトイレットペーパー切らしてたのかな。まあ、俺には何もできん。いや~、参った、なんも言えねえ。


・俺のGoogleマップが火を噴くぜ!

そろそろ目的のお店のはずなんだけど……。ありゃ? 素通りしたかな? ふと後ろを振り返ると、シャッターに貼り紙が……。


「〇日と〇日はお休みとさせて頂きます」


え? 今日と明日? 休み? お店の公式ページを確認してみると定休日だった。やっちまった~……。


…………弱ったなあ…………


\\\ でも~、大丈夫! ///


\\\\\ 俺のGoogleマップが火を噴くぜ!! /////


都内数百件の店舗をスター保存してあるから、きっと近くに良さそうなお店があるはずだ!


ちなみに北は北海道から南は福岡まで全国912件(2022年8月現在)の位置情報を保存してある。まあ、全部お店って訳ではないけどね。


ヨシ! 歩いて30分以内の範囲にめぼしい店が3軒ある。順番に歩いていくとしよう。


・ティッシュおじさん再び

歩き始めてすぐのところに、さっきの携帯屋があった。あのおじさんはどっかに行ったかな……。

あ! またいる! またポケットティシュの箱をいじってるじゃないか! さっきの今だぞ! 30分も経ってないっていうのに、また5個も6個も手につかんで……、帽子で隠した!


「おじさんさあ、バレてるぞ。絶対にバレてるぞ。泳がされてるんだよ、あんた」


って言いたいけど、無関係だからなあ。いっそこっぴどく怒られるがいいさ。出禁にならんことを祈っている。さらば、ティッシュおじさん!


なんだろうなあ、ああいうの見ると、自分は何もしてないのに緊張しちゃうんだよな。「注意した方がいいのかな?」っていうナゾの正義感というか、道徳心というのか。興奮してコラー! とか叫びそうな自分が怖い……


さて、そろそろ1軒目のあたりなんだが……、ゲゲ! 大行列!! この調子だと1時間以上は確実に待つな。今日の気温は35度だぜ。皆さん、よくジッとして待ってらっしゃる。俺には無理だ。次に行こう


途中の文房具屋さんの前でスライム発見! まだ売ってるんだね。子どもの頃、おもちゃ屋で緑のプラバケツに入ったヤツをよく見かけたなあ。今の子どもたちはコレに魅力を感じるのかねえ。大人のためのガチャかな?


2軒目はこのあたりのはず。店前まで来ると……。半分やってて半分やってない! この日はテイクアウトのみの営業で、お店の人の姿は見えないな。「インターホンを押してください」って書いてあるけど、う~ん……。出直しだ! 次!


・ムサコといえば?

もう少し歩くと戸越銀座に着くはず。そういえば「武蔵小山」の略称って「ムサコ」なのかな? ムサコといえば「武蔵小杉」だよね。あれ? 「武蔵小金井」もムサコでしょ?


武蔵小金井といえば、昔付き合ってた彼女が住んでた街だな。あれは23歳の時だっけ? ぶおー! 25年前!? 四半世紀も前じゃん! 俺もジジイになるわけだよ。まいっちゃうねえ!

その子とは絶縁したはずなんだけど、気づけばまた普通に友達に戻ってお互い上京して、結局俺が彼女の結婚式に友人としてお呼ばれしたんだったな

「男女の友情は存在しない」なんていう人いるけど、ありゃウソだね。俺はその子とマブダチだから。絶縁した元カノもいるけど、その子とはいまだに年1くらいで近況報告したりするから、まあホントいい友達だよ。なんでも話せるしね。べらぼうに酔っぱらって、大泣きしたこととかあったな、俺が! 恥ずかしい思い出だ、ハハハ


・納豆カレーパン

さて、3軒目。ここでダメなら帰るか。

お! 開いてた「カレーパン専門店 YES!」の戸越銀座店。


大井町に1号店を2021年12月にオープンし、2022年5月にここ戸越銀座に2号店をオープンしているカレーパン屋。運営元は「肉と米 ハジメ」を展開する「株式会社Be alive」だ。

大井町のオープン当初からチェックしてたんだけど、結局行かないまま今に至り、こんな形で店の前に来るとは思わなかった

ここに来たら、ぜひ食いたいと思ってたのがあるんだよね。変わり種の「カレーうどんパン」だ! パンの中にうどん入れるなんて普通じゃねえ!!


だがしかし! ここでも不測の事態に見舞われる。あいにくこの日、カレーうどんパンは売り切れだった。残念!


でもちゃんと代わりになるもの見つけたぞ! 納豆カレーパン(税込300円)とバターチキンカレーパン(税込360円)。よかった、手ぶらで帰らずに済んだよ……。


写真じゃわかりづらいけど、納豆カレーの方がバターチキンより断然分厚いんだよね。しかもズッシリと重い。中にギッシリ納豆が詰まってたらどうしよう……。いや、納豆嫌いじゃないんだけど、それはそれでビビるよね?


トースターで軽く温めて、半分にカット! まずはバターチキンから食べてみると、噂に違わぬウマさ! 表面がサクサクでパン生地も薄い。歯ざわりが心地よくて、中のカレーはかなり本格的だ。

そういえば、2022年のカレーパングランプリのチーズ部門で金賞を獲ったそうだ。チーズカレーではないけど、その実力はこの1個で十分にわかる。


そして納豆カレー。こちらはビーフカレーとひきわり納豆の組み合わせだ。中身は全部納豆じゃなかった。ちょっと期待したんだけどな。食べると、納豆臭さは全然ない。カレーにマイルドなコクを加えている感じかな。納豆苦手な人でもこれなら食べられると思う。


暑くて長い1日だった。家に帰る頃には着ていたTシャツが汗びっしょり。まるでシャワーでも浴びたみたいになっちゃってたよ。いつも予定通りに行かないけど、想定外を楽しみたい。それが私のモットーです。ご清聴ありがとうございました!

あのおじさん、ティッシュどうする気だったのかな……?


・今回訪問した店舗の情報

店名 カレーパン専門店YES! 戸越銀座店
住所 東京都品川区平塚1-6-17
時間 8:00~20:00
定休日 なし

参考リンク:Instagram @currypan_yesPRTIMES武蔵小山パルム商店街、GoogleMap
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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