松屋は牛丼チェーンだ。したがって看板商品は牛めしということになる。が! 私(佐藤)は牛めしと同じ頻度で「カレギュウ」(牛めしの肉の乗ったカレー)を食べている。なぜなら、松屋のカレーは牛めしに匹敵する美味さだと考えているからだ。

そのカレーのアレンジメニューが、2024年1月16日より店限定で販売している。そのうちのひとつ、「ねぎ納豆カレー」(並:税込650円)を頼んでみたところ、いわれのない罪の意識を覚え、それゆえに罪深い味だった……

・罪悪感

松屋の店舗限定販売商品はそれほど珍しくない。だが、今回のテスト販売は全国わずか34店舗とかなり絞られている。幸いなことに、東京・高円寺店で取り扱いがあったので、そこを訪ねた。


「美味しさ色々、自由に選べる!」とバリエーションの豊富さをアピールするポスターがある。たしかに牛丼屋にしとくには惜しいレベルのバリエーションだ。


それらのなかで気になったのは、「ねぎ納豆カレー」だ。カレーに納豆か~……、好んで選ぶ食い合わせではないなあ。そういえば、ココイチにも納豆カレーがあるけど、どうも趣向に合わなくて食べたことがない。


とはいえ、この機会に食べてみるのも良いかも。そうして券売機で食券を購入して、店内で提供を待った。私(佐藤)はてっきり写真の通りのものが出てくるものとばかり思っていたのだが、実際は違ったのだった……。


ねぎ納豆カレー+生野菜(税込140円)は、こういう状態で出てきました


お気づきだろうか? よく見て頂きたい。


コレは “素” カレーじゃないのか? 納豆は? ちゃんとねぎ納豆カレーを頼んだはず。今一度、手元の食券を見返してみると、「ねぎ納豆カレー 並盛」とある。オーダーは間違っていない。


実はねぎと納豆はセパレートだった。そう来たか~! 写真の通りにねぎ・納豆が乗った状態で提供されると思っていたよ。


ところで、さっきから牛めしとは異なるニオイが鼻をくすぐるな。これは~……、多分~~……。納豆! 納豆臭が近くからしている。私はまだ手元のパックを開封していないので、私の納豆臭ではない。つまり同じものを頼んだ人のニオイだ。ということは……。


このパックを開封したら、周りに納豆臭が広がる


不意に納豆カレーを頼んだことに罪悪感を覚える。きっと周りの人は心の中で「くせッ」と思うんじゃないだろうか? 静かに自らの牛めしと向き合いたいはずなのに、ニオイで気が散ったりしないだろうか? 「納豆食ってんじゃねえよ」なんて思い人がいたりして……。

すみませんすみません、つい興味本位でオーダーしてしまって。悪意はないんです。ただ食べてみたいな~なんて思っちゃって、ハハハ……。


心の中で乾いた笑いをしながら、納豆パックを開封。すると、不可視なニオイのシグナルが周りに広がっていくのがわかった。多分気のせいだろうけど、店内の全員が私を見ている気がする。多分気のせいだけど……。

本来であれば、納豆を食う時に最低5分はかき回す。だが、ニオイの拡散が想像できたので、10秒でかき回すのをやめた。これでも遠慮してるんです、すみません……。


そしてオンザライス。カレーに納豆は合わないのでは? と思ったが、こうしてみると実に画になる


そもそも「ご飯 + カレー = 合う」「ご飯 + 納豆 = 合う」なので、「カレー + 納豆 = 合う」は必然の方程式。したがって導かれる答えは、「美味い」になるはずだ。


かき混ぜて食べるとやはり先ほどの方程式の答え通りに、カレーと納豆は合う。そして「美味い」という最適解を導き出した


カレーと納豆を混ぜることによって、納豆臭は抑えられるかと思ったら、カレーの熱で、より一層ニオイを増したようだ。多分気のせいだけど、店内の皆さんがこっちを見てる気がする。多分気のせいだけど……。


ごめんなさいごめんなさい、美味い納豆カレー食ってごめんなさい


ニオイの罪悪感を覚えながら、カレーと納豆のマリアージュを楽しむ。なんて罪深い味なんだ。ごめんなさいごめんなさい、納豆カレーの美味しさを知ってごめんなさい。最寄に販売店舗のある人は、ぜひ罪深い味を楽しんでほしい。


・今回訪問した店舗の情報

店名 松屋 高円寺店
住所 東京都杉並区高円寺北3-22-16 1F
時間 24時間

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24