ジャンボ。その日オレは、アフリカはケニアの首都ナイロビの中心部に、午後8時ごろ行ってみた。特に目的はない。ブラブラと。何かネタになるものがあれば良いなって。多くの道をテクテク歩いた。
やがてオレは、マタトゥ(マタツ=乗り合いバス)の乗り場に到着した。そして1人の男に声をかけた。「やあ兄弟、調子はどうだい」。彼はマタトゥを待っているらしく、ヒマなオレに付き合ってくれた。
彼は言う。
「マタトゥのピークは朝なんだよな。たくさんのマタトゥがあって、乗ろうと思えばすぐ乗れる。なぜなら人々が仕事に行く時間だからだ。でも夜は、あまりマタトゥが来ないんだよ」
それはなぜだい?
「家に帰る人は急いでいない。彼らは街で待ち続ける。運賃が下がる、その時を。マタトゥは一定の料金ではなく変動性なんだ。人がいないと、安く乗れるんだ。だから待つ。儲からないのでマタトゥも少ない」
そういうものなのか。若い頃から車の仕事に就いているオレは、あまりマタトゥに乗ったことなかった。だから、こんな話を聞くのも新鮮だったりする。
ふとあたりを見回すと、マタトゥではなく多くの人々がやってきた。そして、バッグや靴や服を、そこらに置いて売り始めた。マタトゥ乗り場は、さながらフリーマーケットの会場のようになった。
「昼間はマタトゥも大勢発着するし、警察に見つかったら逮捕されるから。だから彼らは夜にここにやってきて、商売を始めるわけさ。それにしても遅い。ぜんぜんマタトゥが来る気配なしだ」
マタトゥを待つ男のマタトゥはまだ到着しないようだった。オレは彼に「またな。気をつけて」と言い、その場を離れ、別の通りを歩き始めた。真っ暗い道を、テクテクテクと。
しばらく歩くと、大きな音楽を鳴らすクラブ街にたどり着いた。ブーム、ブームと重低音が鳴っている。(their was many clubs and big music it was sounding boooom boooom.)
せっかくなので、それらの1つに入ってみた。店内は、さまざまな光と、大音量の音でいっぱいになっていた。なおクラブの名前は「サンセットクラブ」。夕日の黄昏(たそがれ)なんて雰囲気ではなかった。
結局オレは、その店に1時間ほど滞在した。ビールも1本、楽しんだ。でも、オレにはちょっと音がデカすぎて……踊ることもなく、ツラくなって店を出ようとした。「お会計たのむ」。
「250kes(約250円)です」
ビビビビビビビ、ビール1杯250kes……。キベラスラムなら1杯30kesでビールが飲めるというのに……!! あまりにも痛い。痛いけど、別にボッタクリってほどの値段でもないので、素直に払った。
でもオレにとっては、250kesは高すぎた。こんなことなら、KFCでポテトでも食べてレポートすればヨカッタ……なんて思いつつ、再びマタトゥ乗り場に戻ってみたら、もう先ほどの彼はいなかった。オレも帰ろう。うちで踊ろう。クワヘリ。
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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