ジャンボ! スパ! オレもマー語は少しだけ知っている。なにせ日本のゴー(羽鳥)をマサイの村に連れて行ったのはオレだからね。その後もゴーのマサイ取材は必ずオレが同行。そのへんのタクシー運転手よりはマサイ事情に精通していると自負してる。ということでマサイ通信の番外編!
さて、先日。オレはとあるマサイエリアに行く用事があった。マサイ通信のルカがいたアンボセリ(Amboseli)ではないけれど、マサイ族がよく住んでいるエリアで、カジアード・カウンティー(Kajiado County)という。
そんなカジアードが、いま大変なことになっている。ルカもよく困っていたけど、まさに今、大干ばつ(かんばつ)。水もなければ草木もない。
・金持ち=牛持ち
熱心なマサイ通信読者であれば常識だと思うのだけれど、「マサイ=牛」だよね。なにより重要な財産が牛であり、いかに牛を持っているかでステータスも決まるという牛文化。そんな牛たちに食べさせる草木もまた、マサイ族は買わなければならない。
・エサ代だけで毎日1000円以上
聞けば、1束200kes(約200円)だけど、これがなかなかバカにならないと。話をしてくれたマサイ族は、毎日5束の草木を購入。さらに運送費として、バイクに150円も支払っている。つまり、毎日、1150kes(約1150円)も牛たちのために支払っているのだ。オレなら破産するわ……。
・牛の価格はピンキリ
ちなみに上記の彼は、まさしく「金持ち」ならぬ「牛持ち」だったけど、干ばつによって牛を維持するのが困難になり、10頭を残して他の牛はすべて売る羽目になったそうな。
牛の値段はピンキリだけど、だいたい4万kesあたりが相場らしいので、牛1頭を売ったお金で10頭の牛を養う……って感じなんだろうな。つーか、マジで、オレよりも金持ちだよ、マサイ族。すっごいわ……。
・草木以外にも必要なものが
なお、彼の見立てによると、この干ばつは、あと4ヶ月ほど続く見込みなのだそうな。でも、草木を買っていればなんとかなる……わけないのがアフリカの怖さ。そう、牛はもちろん、人間も生きていくためには水も必要。
この水がまた高価で困ると嘆く牛持ちの彼。お水はトラック1台ぶんまるまる購入して、3週間もたせるそうな。なお、価格は5000リットルで5000kes(約5000円)。牛10頭と、少しの人間で、これだけの水が必要なのだそうな。
・牛持ちのマサイ族が1ヶ月に支払う金額
最後に計算してみよう。牛を10頭持っている牛持ちのマサイ族は、牛たちのために草木を1ヶ月3万5650kes(約3万5650円)、水を約7400kes(7400円)、あわせて1ヶ月、約4万3000kes(4万3000円)も支払わなければならないのだ! ウチの家賃よりも高い!!
なお、水に関しては、イチかバチか、干上がっていない川や湖に牛を連れていく(しかも長距離)という手もあるらしい。でも、だいたい目的地に着くまでに何頭かの牛は死んでしまうそうな。
これが干ばつのおそろしさ。アンボセリのルカは、そこまで牛を持っていなかったけど、牛持ちになるとこんなに大変なことになるんだ。すげえやマサイ族。お金かかるわ、マサイ族。また何かマサイ族の人と話したら、それもまた記事にするね。ではクワヘリ。いいや……オレセリ〜!
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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