暗い場所や手元を明るく照らす「LED懐中電灯」は、製品によって明るさや機能(調光や防水など)が異なる。たとえば明るさの単位「ルーメン」は、数値が大きいほど明かりが強く照射範囲も広くなるそうだ。一般的な懐中電灯は200ルーメン程度らしい。
ちなみにAmazon’s Choice(アマゾンがオススメする評価の高いリーズナブルな商品)の軍用最強フラッシュライト(3880円)は1万ルーメンとケタ違い……なのだが! 私が購入したのは3万9900ルーメンのLEDヘッドライト。今回は「宇宙に届く勢いの明るさ」をどうぞご覧ください!
・最強の中の最強ヘッドライト
軍用の最強フラッシュライトの約4倍の明るさを誇る超・超最強ライトの名は「大人用充電式ヘッドランプ39900ルーメン超高輝度5LEDブライトズーム可能 キャンプ用4モード屋外での釣りを実行」。価格は2554円と軍用ライトよりもリーズナブルなのだが……
カスタマー評価は星1.4、数多ある懐中電灯のなかで最低の評価を得ている。レビュー数は13件で、「ルーメン詐欺」という投稿に3人の方が「役に立ったボタン」をクリックしているもよう(2022年2月22日時点)。ルーメン詐欺……新種の特殊詐欺のような名前だ。
おそらく「約4万ルーメン」は言い過ぎということだろう。新品のくせに箱がボロボロの時点で喝(かつ)! ではあるが、とにかく噂のハイパワーヘッドランプが登場した。オーラはない。
ボロボロの箱に入っていたのは、ゴツゴツした5つのLEDライトと安っぽいヘッドバンド。説明書がなかったのでテキトーに組み立てて……
充電しておく。
商品説明ページの画像をあらためて確認すると、3万9900ルーメンの実力なのかわからないが……「夜の森」を「昼の森」に変えてしまうレベルのハンパない光を放つ人間の姿が映っていた。似たような場所が近所にあるので、あとでフルパワーで照らしてみるぞ。
一応、明るさを比較するために、薬局で買った「LED付きニット帽(767円)と、ワークマンの「LEDコンパクトワークライト(499円)」を用意した。
ニット帽は最大40ルーメン、ワークマンのライトは最大140ルーメンとのこと。約4万ルーメンのライトと比べるのは気の毒かもしれない。たとえヘッドライトがルーメン詐欺だとしても、2つのライトと比べたら圧倒的な実力差を見せつけることだろう。
・勝負の森へ
充電が完了したのを確認して森へ。夜を昼に変えてしまう前に、ルーメンの値が低い「ニット帽」と「ワークマンのワークライト」の実力を確認しておく。
まずは最大40ルーメン「LED付きニット帽」のスイッチを入れてみよう。最強ライトが約4万ルーメンなら「1000分の1の明るさ」となる。どれどれ……
パッ。
なるほど。足元をきっちり確認できるほどの明るさ。ウォーキングや登山で使うライトなので十分だ。数メートル先まで確認できる。
・140ルーメンのワークライト
つづいて最大140ルーメンのワークマン「LEDコンパクトワークライト」を試してみる。回転式フックとマグネット付きでどこにでも設置できる優れモノ。ワンコインとは思えない商品だ。果たして、屋外ではどのくらい明るいのだろうか……
パッッ!
かなり明るい。数メートル先がハッキリ見渡せるレベル。数値どおり、ニット帽より明かりは強く、広範囲を照らしていた。ただ、夜が昼になるほど明るくはない。ま、ワンコインにしては上出来だろう。
・最強を超える最強ライト
それでは最後に、軍隊最強クラスのフラッシュライトの約4倍、3万9900ルーメンのヘッドライトで森を、いや宇宙を照らしたい。それでは……
夜が昼になる瞬間をご覧ください。
どうぞ!
ファッ……
ファッ……ファッ……
・ルーメン詐欺確定
ワークマンの方が明るかった。つまり、3万9900ルーメンのライトは、一般的な懐中電灯と同じ明るさ……もしくはちょい暗めかもしれない。100均ライトと比べても同じくらいだろう。何段階か明かりのレベルを切り替えても、夜は夜のまま。大胆なルーメン詐欺だった。
というわけで、私の評価は1.5。普通のヘッドライトとして使います。なぜ4万でも5万でもなく「3万9900ルーメン」にしたのだろうか。恐るべしルーメン詐欺、みなさまも気をつけてほしい。
参考リンク:Amazon「大人用充電式ヘッドランプ39900ルーメン超高輝度5LEDブライトズーム可能 キャンプ用4モード屋外での釣りを実行」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.