どら焼きの皮。早い話が「ノーあんこどら焼き」ですから、それはもはやパン粉だけのトンカツと同じ。あるいは、エンジンを外したスクラップ車みたいなものだと思うかもしれません。
かく言う私自身がそう思っていたので、伊勢丹新宿店にて「どら焼きの皮」だけが売られていたのを見たときは正直なところ驚きました。そして、価格を見て2度驚きました。一体いくらだったかというと……
プレーン味の1パック(100g / 7枚入り)が税込486円!
参考までにお伝えしておくと、セブンイレブンで購入した普通のどら焼き(あんこ入り)は89gで税込149円。ノーあんこの方が高いのです。しかも、グラムあたりの価格差は……
・どら焼きの皮だけ(プレーン味) → 486円(100g) → 4.86円 / g
・セブンイレブンで買った普通のどら焼き→ 149円(89g) → 1.67円 / g
ってことは……
ノーあんこの方が……
約3倍も高い!
あんこの存在意義を無視するような価格!
あんこの気持ち!!
と思いながら、買ってしまいました。購入したのは、プレーン・ほうじ茶・岩塩の3種セットで価格は税込1401円。どら焼きの皮だけなのに、定食を2つか3つほど買えそうな値段です。
いや、「皮だけ」という発想がそもそも間違ってるのかもしれません。どら焼きのもっとも美味しいところを集めたセット、と取るのが正解なのでしょう。
ちなみに、どら焼きの皮はいくつかのメーカーが販売しているようですが、今回私が購入したのは「花かんざし」のもの。同店の『どらやきの皮だけ』はネットでも購入できるほか、全国の百貨店に出店されることも多いようです。
伊勢丹新宿店での期間限定販売はもう終了しましたが、公式TwitterなどのSNSに出店情報が載っているので気になる人はチェックしてみてくださいね。
・逆マリトッツォどら焼き
さて、購入した「どら焼きの皮」を開封してみると……
手のひらに余裕で乗るくらいのサイズ。一般的などら焼きよりは小さい半面、奥ゆかしさが漂っています。
まぁあんこさえも放棄しているわけですから、奥ゆかしいどころか “はんなり” の極地のようなどら焼きと言っていいかもしれません。逆マリトッツォというか。シンプル・イズ・ベストを追求しすぎたと言うか。ストイックに断捨離しすぎたというか。
では、そもそもなぜ主役のあんこを無しにしたのか? ──もちろん皮の美味しさを存分に味わうってのもあるでしょうが、実際に食べたらピンと来ました。ザックリ言うならば、色々アレンジできるからってところでしょうか。
あるいは、手巻き寿司のような楽しさがあると言えば伝わりやすいかもしれません。握ってもらうお寿司もいいですが、手巻きには手巻きの良さがありますよね。同じことが普通のどら焼きと「どら焼きの皮」にも言えるように思います。
というのも、「どら焼きの皮」は当然皮だけですから、自分でジャムなどを塗ることもできます。もちろん、あんこを塗ったってかまいません。はちみつだろうがメープルシロップだろうがアイスクリームだろうが、基本的に好きなものなら何でもOK。
おまけに、オーブトースタなどで焼くことも可。というか、説明書では “焼き” を推奨しています。実際に焼くと食感が変わって、生とはまた違った味わいになりますよ。
これは楽しい。もはやパーティです。1人でやるのもいいですが、誰かと一緒に食べると どら焼きタイムが今までとは違ったものになりそうです。
・普通のどら焼きの皮とどう違う?
なお、この「どら焼きの皮」が普通のどら焼きの皮と比べて圧倒的な違いがあるのかと聞かれたら……「よく分からなかった」というのが率直な答えです。しかし、決して不満があったわけではありません。むしろ、味は文句なし。なんなら、皮を食べてこそ真の贅沢。
──そう言いたくなる何かが、どら焼きの皮にはありました。これが鯛焼きや餃子だったら、「皮だけ? ふざけるな!」となりそうなので、「どら焼き」というのは皮的に絶妙な素材……なのかもしれませんね。
参考リンク:花かんざし(公式)、Twitter @hanakanzashhi
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
▼先に述べたように今回はプレーン・ほうじ茶・岩塩の3種セットを購入しましたが、公式サイトには他の味も。