突飛な書き出しで恐縮だが、私、P.K.サンジュンはこの43年間、1度もエヴァンゲリオンに触れたことがない。アニメも映画も1話……どころか1分もエヴァを観ずに生きてきた私は、文句なしの “エヴァ童貞” だと自負している。
別にエヴァを観なくても死ぬわけではないし、この先も我が人生にエヴァが登場することはない……と思っていたのだが『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』にてエヴァが完結したというではないか。これはエヴァ童貞を捨てるラストチャンス──。というわけで、1人劇場に足を運ぶことにした。
・1度も1分も観たことがない
私がエヴァに触れずに生きてきた理由は……自分でもよくわからない。別にアニメに抵抗はないし、エヴァが非常に深い作品であることは人づてに聞いている。エヴァを知らない私ですら、エヴァンゲリオンが傑作と呼ばれるのに相応しい作品であることは理解しているつもりだ。
1つあるとするならば、エヴァンゲリオンが始まった当初、留学のため私が日本にいなかったことが大きいのかもしれない。帰国した日本で友人たちから「エヴァが~」「エヴァが~」と聞いて、天邪鬼な私は「別に観ないし」と心を閉ざしたところは確かにあった。
あれから20年余りが経過し、ついにラストを迎えたエヴァンゲリオン。私が知っている知識は「逃げちゃダメだ」のシンジくん、赤い服のアスカ・グラングラン(?)、そしてショートカットの綾波レイくらいである。そんな私でも『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は楽しめる作品なのだろうか?
・ネタバレ注意
で、ここで1つ申し上げておきたい。先述の通り私にはエヴァの知識がほぼ無いため、本作の「何がネタバレで何がネタバレじゃないのか?」が判断できない。念のため、まだ『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』をご覧になっていない方は、今すぐ引き返すことを推奨する。
さてさてさて──。
人生初のエヴァンゲリオンではあったものの、私は真正面から『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』と向き合った。冒頭で流れたこれまでの振り返りで必死に情報を掴みつつ、気付けば映画は終わっていた。
おそらくエヴァ好きな方の1%も理解は出来ていないと思うが、それでも本心から「なるほどね、いい作品だね」と思ったことは紛れもない事実。というか、2回泣いた。この感動を誰かと共有したい……! 私はエヴァ好きが待つ事務所へ直行した。
・エヴァ好きに聞いてみよう
当サイトには3人のエヴァ好きがいる。中澤星児、あひるねこ、亀沢郁奈である。彼らに私の感動を伝えつつ、よくわからなかったところは聞いてみよう! 3人とも大のエヴァ好きである。色々と優しく教えてくれるに違いない。
「なんで綾波レイは片言なの?」
序盤、なぜ綾波レイは「ありがとうって何?」「さよならって何?」などと片言で繰り返していたのか? どうやら綾波レイが人間じゃないらしいことは途中で気付いたが、感情まであるアンドロイド(?)クローン(?)が挨拶すらわからないのはおかしくないだろうか?
中澤「なんて説明したらイイんですかねぇ? まだあの段階では器というか……うーん。まあ、頭では分かってても心でわかってなかったってことなんじゃないですかね?」
……なるほど。やや腑に落ちないところはあるが、それなら理解できなくはない。そうか、綾波レイは器だったのか……次の質問に行こう。
「なんで街が赤いの?」
あひるねこ「ニアサーでコア化しているからです。普通の人は入れません。ただシンジたちは普通の人ではないため入れます。普通の人が入ったら、LCLになります」
ニアサー? コア化? ちょっとよくわからないが、どうやら前作までに色々とあったようだ。ちなみに「LCLになる = 死ぬ」ということでもないらしいから、ますますよくわからない。
「なんのために戦ってるの?」
ぶっちゃけ、艦長(ミサトさん)たちが何のために戦っているのかよくわからなかった。勝って死んだ人たちを復活させたいのか、街から赤いヤツを無くしたいのか? シンジ君のお父さんを止めようとしていることは分かったが、その目的がよくわからない。
亀沢「それはゲンドウ(シンジ君のお父さん)を止めるためであってるよ。ゲンドウは “保管したがり” なんだよね。ただ、ゲンドウを止めたところで死んだ人が蘇るワケじゃないのよ」
ふむふむ。どうやらエヴァンゲリオンの世界では、死んだ人が生き返るような設定はないらしい。まあ、シンジ君のお父さんを止める理由は「方向性の違い」ってことで合ってるかな?
「お父さん滅茶苦茶すぎない?」
ゲンドウが亡くなった奥さんが理由で無茶していることは分かったが、納得もできなければ理解もできない。普通に大人げないというか、あり得なくないか? というか、単純にワガママすぎる。
3人「それはそう。全てはゲンドウの人間性というか……。まあただ、ゲンドウがいないとエヴァ自体が成り立たないんですよね」
後半の「知識が好きだった」「ピアノが好きだった」「人といるのがイヤだった」などの回顧は、私から言わせれば「知らねーわ!」の一言である。なんて迷惑な野郎なんだ、イカリ ゲンドウ。
その後も「なんでエヴァンゲリオンをもっとたくさん作らないの?」「使徒ってなに?」「なんで槍なの?」……などなど、素朴な質問を投げ続けること数十分。ついにその時はやって来た。
あひるねこ「というか、せめて序破Qくらい観てこいや!」
中澤「そもそも答えようのない質問ばっかりなんじゃい!!」
亀沢「そんなに簡単な話じゃねーんだよォォォオオオオ!」
最終的に3人にはシバかれてしまったが、それでももはや私たちが “エヴァ仲間” であることは紛れもない事実。わかった! とりあえず「序・破・Q」を観るよ!! 理解できないところもメチャメチャ多かったけど、エヴァはなかなか面白かったよ!
というわけで、1度もエヴァに振れたことがない私でも『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』に感じることはあったから、興味がある人は劇場まで足を運んでみてはいかがだろうか? 『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は絶賛公開中だ。
参考リンク:エヴァンゲリオン公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.