コーヒーを飲みながら静かに本を読む。誰にも邪魔されずただただ文章を目で追い、その世界に没頭する。それは日常から切り離された「余白」のような時間だ。ほんの短い時間であっても最高の贅沢だと私(佐藤)は考えている。欲をいえば、書籍に囲まれた図書館で淹れたてのコーヒーを飲めたら「至極」なのだが、そんな場所はないだろうか?

かねてからそのような空間に憧れていた私は見つけてしまった。東京・池袋にある「梟書茶房(ふくろうしょさぼう)」はコーヒーと本を楽しむのに最高のお店だ。ここはなんと、あのドトールコーヒーが運営しているというから驚く。店構えも素晴らしいのだが、メニューも気が利いてて、すっかり気に入ってしまった。

・本にはすべてカバーがかかっている

このお店は2017年6月、東京メトロ池袋駅直結の商業施設「エソラ」の4階に誕生した。コンセプトは「Coffee Meets Books」、本屋に併設するカフェではなく、 “喫茶店で本と出会う” ことを目的にしており、神楽坂の「かもめブックス」がお店の書籍を選んでいるそうだ。運命の出会いを演出するため、店舗で取り扱っている作品はすべてカバーがかかっている。装丁を見ることができない代わりにすべての本には推薦文が添えられている。



その推薦文は作品に対するヒント。そのヒントが心にビビッ! と引っかかれば、買って読んでみると良い。最近は書店でもなかなかそういう出会いをしていない。ここなら未知の名作に出会える気がしてくる。


・読書に最高の空間

さて、店内は純喫茶店と書店と図書館が掛け合わされたような雰囲気だ。ソファを設えたゆったりとした「ラウンジエリア」。


約1000冊の書籍を自由に閲覧できる「図書エリア」。テラス席もあるそうだ。


私が利用したのは、1人で本を読むのに快適な「アカデミックエリア」。カウンターテーブルには読書灯が設けられていおり、手元がとても見やすくなっている。


・ドトールのミルクレープもある

ここにいるだけで心がトキめいて仕方がないのだが、目に映るものすべてがそのトキメキを倍増させる。レトロなメニューブックや……。


伝票代わりのカギもイイ! 細部にまでこだわっているところがステキ!!


提供している商品にも、遊び心が散りばめられている。たとえばスイーツには、本に見立てたブックシフォン(税別500円~)がある。


そのほかドトール珈琲農園でお馴染みのパンケーキと、ドトールコーヒーのミルクレープも。そうだ! ここはドトールだったんだ!! 店の雰囲気がステキすぎて、その事実をすっかり忘れていたよ。


・本と珈琲のセット

食事メニューにはパスタやオムライスなど、平日はランチも実施している。今回注文したのは「本と珈琲のセット」(税別1500円)だ。テーマに沿った本と、それに合わせたブレンドのコーヒー、プレーンのブックシフォンがセットになっている。本の中身はシークレットで、手にとって表紙を開くまでその内容はヒミツになっている。ナニコレ面白い! 斬新なメニューだ。


どんな本と出会えるんだろうか? それに合わせたコーヒーの味は? 本とコーヒーでこんなにワクワクするのはいつぶりだろうか。お店が勧める見知らぬ本を手に取ること自体が初めて! ワクワクしながら待っていると、本の形をしたトレーにヒミツの書籍とコーヒーが乗ってやってきた。


まずはコーヒーを飲もうか……。いや待て! 本に合わせたコーヒーなら、本の最初の1節くらいは目を通すべきじゃないのか。う~ん……、悩ましい! どっちを先にするべきか? 本とコーヒーを前にしてこんなに悩んだことはない、快い悩みである。少し考えて、先に本に目を通すことにした。


・本との出会い

「梟叢書(ふくろうそうしょ)」と名付けられたシークレットブック、現在はナンバー39に当たる。過去のナンバーについては公式サイトに紹介されているので、そちらで内容を確認して欲しい。さて、現在のテーマは「キラキラ」だ。なお、この本が何かは伏せておく。知りたい人はお店に行って、その目で確かめて頂きたい。


コーヒーはグアテマラ・エチオピア・マンデリンをブレンドした、甘味と香りの強いブレンド。本のページをめくりながら、コーヒーをすするとにわかに本の世界に入り込んだような気がしてくる。静かな店内で、より深く読書に集中できそうだ。


そしてシフォンは、甘さ控えめで生地はふんわりと柔らかい。読書に集中して頭を使うと、どうしても糖分が欲しくなってくる。それを補うのに、ちょうど良い甘さだ。


ここにあるすべてが、読書を愛する人にちょうど良い。日々の雑事から少し離れて気持ちを整理したりリラックスしたいという時、本のページをめくっていれば自ずと本来の自分を取り戻せるのではないだろうか。良書とめぐり合いたいという人にもオススメだ。それにしても、近年のドトールのブランド戦略には驚かされる。来年はどんなお店を仕掛けてくるのだろうか。大いに気になる!


・今回訪問した店舗の情報

店名 梟書茶房(ふくろうしょさぼう)
住所 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola(エソラ)池袋 4F
時間 10:30~22:00(L.O.21:30)
定休日 なし(施設に準ずる)

参照元:梟書茶房
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24