他のどの昆虫にも似ていないそのシルエットや、ときにはトカゲまで狩って食べるという勇猛な性質から、生物界で独自の地位を築いているカマキリ。このたびバンダイから、日本全域でみられるオオカマキリを精密に再現したカプセルトイが誕生した。

ちなみに筆者は昆虫は得意ではなく、とりわけバッタには恐怖心がある。カマキリはバッタほど急な動きをしないのでパニックにこそならないが、そっと後ずさるほどには苦手である。触るのは絶対に無理。じゃあ買うなよ、とお思いだろうが、この素晴らしい商品を皆様にお伝えしなければ……という一心なのである。


・「生きもの大図鑑シリーズ かまきり」(500円)

ご紹介するのはバンダイの「生きもの大図鑑シリーズ かまきり」(全5種)で、価格は500円。ときどきある高級ガチャの部類に入るだろう。このシリーズ、カプセル自販機から出てきた時点でちょっと異質だぞ。

カプセル閉まってないやん。


カプセルに入っているのではなく、上下をカプセルで挟んでビニールでぐるぐる巻きになっていた。実はこのカプセルには絶妙な秘密があったのだがそれは後ほど。外装をはがして開封してみると……

ビニールを突き破っている脚とか


腹部らしいかたまりとか……虫嫌いにとっては思わず背筋がぞわっとするパーツが随所に見られる。

組み立ては「昆虫新聞」なる説明書をもとに進めていく。ふむふむ「前脚は跗節が外側になるように」……って跗節??? 読み方すらわからない。

球体関節人形のように、ボールで関節をつなぐ構造になっている。筆者は間違っているが、必ず先に胴体などの大きいパーツをつなげてから、脚などの細かいパーツをつけるべし。ボールを押し込むのにかなり力が必要で、組み立てはちょっと難しかった。なにせそれぞれのパーツにはトゲがあって、強く握り込むと痛いのだ。

なんとトゲには「脛節後腹側刺列」とか「内刺列」とか名前がついていて、すべて異なる役割があるという。それぞれのサイズ、本数、角度まで正確に再現しているとのこと。どんだけのこだわり!?

カマキリは複眼なので瞳孔はない……はずなんだけど、「偽瞳孔」という黒目も再現。どこからでも視線が合うように見える。下顎の作り込みもすごい。

こ、こ、この腹部、PVC(ポリ塩化ビニル)でできていて触感が違う! 他はABS樹脂でカチカチなんだけれど、腹部だけちょっと軟らかいというか、しっとりしているというか、触った瞬間に脳が混乱して「うわっ」と思う。

しかも、折り込まれたような蛇腹(じゃばら)を再現! 本物の昆虫のようにくねくねする!! なぜにここまでー!!

はぁ、はぁ、だいぶ精神を削られてきているが、もう少しで完成だ。

完成! パーツ数30以上、可動部27カ所、「箕面公園昆虫館」監修のアクションフィギュアだ!!

先ほどのカプセルは分解してディスプレイスタンドにできる。

そのこだわりたるや、「威嚇」「カマの掃除」「複眼のブラッシング」「飛翔」など、自然界のカマキリと同じポージングが可能なほど。食事の後なんかは、猫みたいに全身くまなく掃除をするらしいよ。しかし、なによりも罪深いのは……


その大きさだ!


デカいよ! 怖いよ!! トイレの窓辺に飾ったりしたら、ドア開けた瞬間に叫ぶよ!!


・バージョン違い

ちなみに筆者「せっかくだから緑色バージョンも欲しいなぁ」なんて思いながら、もう1度ガチャを回している。出たのは同じ褐色バージョンで「かぶった」と思っていたのだが……


腹部が違う! 同じ色でも「腹部通常版」と「腹部膨張版」があるのだ。

なんでもカマキリの腹部は、マチのあるバッグのように側面も広がるらしく、大きな獲物の食事後にはぷっくりと膨らんで……(以下略)


・ラインナップは全5種

ラインナップは緑色型(腹部通常版・腹部膨張版)、褐色型(腹部通常版・腹部膨張版)、羽化直後色の全5種。コレクターズアイテムとしても秀逸だ。正直気持ち悪いんだけれど、関節の動かし方、身体各部の役割など、哺乳類とはまったく異なる構造でちょっと感心もする。「カマキリは魅力にあふれた美しい生きものです」とは公式サイトの言葉。

よくSF映画や少年漫画に登場するモンスターが荒唐無稽(こうとうむけい)に思えることがあるけど、とんでもない。この地球に生きている昆虫や甲殻類の方が、よっぽど人類の理解を超えた次元にいる。生命の神秘に触れられる巨大昆虫ガチャ、お手元にいかがだろうか?


参考リンク:バンダイ「生きもの大図鑑」
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.