8年間。この数字が何を意味するかと言えば、とあるお店が商品のハンバーガーを開発するのに費やした期間である。日数にして約3000日。お店の名前はそのままズバリ「3000日かけて完成した極上ハンバーガー Field」だ。大胆な店名からは、年月に裏打ちされた確かな自信がうかがえる。

一方、筆者(西本)はつい最近まで8年間のあいだニートだった男だ。いきなり情報の価値が地に落ちてしまって恐縮だが、私個人としては、そのお店に謎の縁を感じずにいられなかった。自分がニートだった分の年月が開発に費やされたバーガーを、ぜひとも食べたい。すごく美味しそうだし。

・完成に8年かかったバーガー VS 8年ニートだった男

そんなわけで、勝手にシンパシーを覚えながら江東区の清澄白河エリアにやってきた。8年間のニート生活の末にこうしてライターになれたので、ある意味私も開発期間8年のライターと言えなくもないはずだ。

脳内で論理展開をこじらせつつ歩いていると、東京都現代美術館の真ん前に「Field」を発見。

店先の看板に、「1000回以上の試作 3000日かけて完成した極上のハンバーガーはこちら」という文言が矢印付きで記してあった。これほどの誘導力を誇る矢印もなかなかない。

大窓が全開に開け放たれた開放的な店内に入り、店員さんに案内された席に着く。案内されがてら「いやあ、私も開発期間3000日なんですよ」と話しかけてみたくはあったが、困窮させる未来しか見えなかったのでやめておいた。そもそもそんな勇気もない。

というか、私とのリンクなど関係なしに、メニューに並ぶバーガーたちがただただ美味しそうで心が引き寄せられる。8年という数字を知っているだけに、写真に貫録さえ備わっている気がする。

特に気になったのは、名物と銘打たれた「極上肉づくしバーガー(税抜1580円)」だ。お値段は張るものの、ボリュームもパンパンに張っていそうである。「累計販売数9万食」をうたう紹介文にも目を引かれた。このお店、数字という武器を遺憾なく振るってくる。

「肉づくしバーガー」を注文し、しばらく待っていると、ポテトフライと一緒にバーガーが到着。名前に違わぬ量の肉がバンズからこぼれ出ている。

バーガーやポテトに加えて、平日のランチタイムであればサラダバーとドリンクバーもついてくるのが嬉しい。しかしひとまずはバーガーをむさぼりたい。

付属の包み紙にくるみ、ビッグサイズに負けじと大口を開けてかぶりつく。ふんわりしたバンズと肉汁たっぷりのジューシーなパティが迎えてくれた。

驚いたのは、豪勢な見た目に反してシンプルに引き締まった味だったことだ。つなぎを一切使用していないビーフ100%のパティが、純粋な肉の旨味で力強く味覚を貫いてくる。

パティの周りを固めるタコミートにスパイシーなソースが絡んでいるものの、前面に押し出されているのはやはり肉本来の味わいだ。余計な装飾のないむき出しの美味しさがたまらない。ゴツゴツとした肉の山肌に何度でも食らいつきたくなる。

食べ応え抜群のボリュームであったにもかかわらず、あっという間にバーガーだけ食べ終わって、サラダを後から食べることになるという夢中具合だった。

このバーガーをここまで研ぎ澄ますには8年もやむなしだと思う。同じ8年という奇妙な符合を見せる自分の経歴を引き合いに出したが、「Field」が積み重ねたであろう努力を思うと、勝手にシンパシーを抱いていたのが恥ずかしくなってきた。

その道のプロと一介のニートではレベルが違って当然である。これからはもっと謙虚に頑張ろう……。


・出会えてよかった

ハンバーガー屋で人生を考え直す筆者であったが、きっかけが何であれ、ここのバーガーに出会えてよかった。こんなにシンプルで美味しいハンバーガーを食べたのは初めてだ。ジャンキーなものを食べ慣れているだけに、余計にそう感じる。

普段とは違うハンバーガーを味わってみたい方は足を運ぶべきお店だろう。3000日の重みが、きっと何かをもたらしてくれるはずである。

・今回紹介した店舗の情報

店名 3000日かけて完成した極上ハンバーガー Field
住所 東京都江東区三好3-3-17
営業時間 月~土 11:30~22:30(L.O 22:00)/ 日・祝 11:30~21:30(L.O 21:00)/ ランチタイム 11:30〜14:00
定休日 不定休

Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

▼案内のパワーがすごい

▼肉のパワーもすごい

▼どこまでも純粋な美味しさだった