吉本興業所属のお笑い芸人たちが事務所を通さず仕事を受けた、いわゆる “闇営業” が世間を賑わせている。仲介人となったとされる入江慎也さんはすでに契約を解除。また、当初はノーギャラとされていた芸人11名も金銭の受領が発覚し、謹慎処分が発表された。

中でも雨上がり決死隊「宮迫博之」さんと、ロンドンブーツ1号2号の「田村亮」さんは冠番組を持つ人気者だけにその影響は大きい。特に宮迫さんは「オフホワイト発言」で話題になった2017年の不倫疑惑に続くスキャンダルである。

・闇営業問題に対する個人的な見解

こんなことを言うと怒られてしまうかもしれないが、個人的に闇営業自体はそこまで悪いことだとは思っていない。聞けば吉本興業は芸人たちと契約書を交わしていないというし、例えば知り合いの結婚式でスピーチをして、謝礼をもらうことだってあるだろう。

それを言い始めてしまうと、お笑いだけでは食べていけない芸人のバイトすら大きく捉えれば闇営業になってしまう。逆に言えば芸人たちと正式な契約書を交わしていない吉本興業サイドにこそ、大きな問題があるのではなかろうか?

問題は「反社会的勢力」の集まりであったことだが、入江さんはともかく、他のお笑い芸人がそれを知っていたとは思えない。かつて暴力団との交際を認めて引退した島田紳助さんの例を挙げるまでもなく、どれだけ見返りがあっても “黒い交際” はリスクが大きすぎる。

売れっ子の宮迫さんや田村亮さんならば尚更で、仮に1000万単位のお金を積まれたとしても反社会的勢力とつながりを持つだろうか? とはいえ、会に参加してしまったこと、また金銭を受け取っていたことは事実だから、今回の謹慎処分は妥当なのだろう。しっかり反省して、またお茶の間に笑いを届けてもらいたい。

・スキャンダル時の宮迫さん

さて、ここまでは前置きだ。この記事は記者がかねてから感じていた「スキャンダルがあったときの宮迫さん」について執筆するものである。オフホワイトのときもそうだったが、ピンチの際に宮迫さんが繰り出す「嫁にはこう言われて……」みたいな発言、あれはちょっとあざとくないだろうか

千葉県育ちではあるものの、天然素材のVHSを購入して「雨上がり決死隊」を追いかけていた記者からすると、本来の宮迫さんは型破りで破天荒な人柄なのだと思う。要するに昔ながらの芸人気質で、きっと女好きなのだろうし、とんでもなく男気もあるハズだ。

だがしかし、世の流れは変わり、いまやメディアはコンプライアンス至上主義。かつて「芸の肥やし」などと言われた不倫も、1発退場級のレッドカードになりつつある。つまり、宮迫さんのような芸人さんにとって、本来の自分らしく生きづらい世の中なのだ。

・恐妻家キャラ

そこで宮迫さんなりに生み出したのが「恐妻家キャラ」なのだろう。自分を制御する鎖を公にすることで「これがあるから僕は悪いことできないんです」的な雰囲気を見事に作り上げた。また、スキャンダルの際には「一番怖い嫁にこう言われたから反省してます」と言われてしまうと、外野はそれ以上何も言えない空気になるから、まさに伝家の宝刀だ。

ただ、あまりにも鎖を見せすぎたせいか、今回のような件が起きたとき宮迫さんが「嫁が……」と発言すると、個人的には「またそれか」とあざとく感じてしまうことも事実である。不倫も闇営業も嫁なんて関係ない、宮迫さんが心から「反省してます」と言えばそれでいいのではなかろうか?

先述の通り、今回謹慎となった芸人さんたちが「反社会的勢力」が相手だったと知っていたとは思えない。ならば、芸人さんたちにとっても事故のようなものと言えなくもあるまい。それなのに「嫁が……」は必要ないのではないか? 伝家の宝刀も乱発したら意味がない。

参考リンク:スポニチアネックス[1]、[2]
執筆:P.K.サンジュン
イラスト:稲葉翔子