以前、ベトナムの国民食「バインミー」を初めて食べてみたらあまりの美味しさに感動して昇天しかけた私(ショーン)だが、定期的に世界各国の国民食を食べ続けたら夢の “連続昇天” を体験できるのでは!? とひらめき、他の国の国民食にチャレンジすることにした。

さて、どこの国にしよう……と考えるまでもなく中国に決めた。なぜなら私の体の中には中国人の血が半分流れている割には、これまでの人生で中国本土の食文化に触れる機会がほぼ無かったからだ。

幸い、東京・上野に行けば、中国の国民食「アヒルの頭」が食べられるそうなので、実際に食べてきたゾ~!

ということでやってきたのは、東京は上野のアメヤ横丁、通称「アメ横」!

上野駅側にある「アメ横」のアーチのほぼ真下に、今回のお目当ての店『串串香屋』がある。

メニューを見ると、揚げ物とか串焼きなど日本的な料理もあるが、今回食べるのは……

「アヒルの頭」250円! 「鴨(かも)」と書いてあるが、店員のお姉さんによると中国的には「アヒル」も「カモ」の一種だとのこと。ほほ~、そうなんだ。ついでに勢いで「アヒルの脛(くび)」250円も注文した。これも「脛(すね)」と読めるはずなのだが、店員さんが「クビ」と言い張るので今でもそう信じている。漢字は複雑アルな~

店員さんによると「アヒルの頭」は、古くから中国全土で食べられているソウルフードなんだとか。今でも大陸では老若男女、みんなが普通に食べるらしい。へえ~。と、1~2分ほど世間話していると、注文したアヒルさんが早くも出てきた。(閲覧注意!


 

おおう……。最初から真っ二つに割れた状態で提供されるようだ。ぺろっとひっくり返すと…………わぁ~お。「脳みそ」とか「眼窩(がんか)」とか「クチバシ」が標本のように分断されているのがわかる。

圧倒されて、ちょっとだけ心が折れてきたぞ……いや、ダメだ。「命をいただく」以上、最大限の敬意と感謝を持って食べないとダメだ。でないと天国のアヒルさんも浮かばれない。

ところで、コレどうやって食べるんだ……。というか、どの部分を食べるんだ? 「脳みそ」を食べるのはなんとなくわかるが……。店員のお姉さん(中国人)を呼び止めて聞きます。


 

──すいません、これ、ドコを食べるんですか?

店員「骨以外ゼンブ。デモ、辛イヨ!

──全部、ですか。。。わかりました、食べ方はどうするんですか? 普通に箸(はし)で?

店員「ソウ、箸! デモ、辛イヨ!

──箸ですか。手で食べた方が食べやすかったりします?

店員「手デモ、ダイジョーブ! デモ、辛イヨ!


 

辛いのはもうわかったから!(笑)とにかく食べてみよう。「脳みそ」からいただきます。(パクッ)

…………辛ッッ!! これは辛い! 店員さんが再三、忠告してくれたのが今になってわかった。唐辛子と麻辣(マーラー)系の辛さがピリ~ッとくる。

で、落ち着きを取り戻してじっくりと「脳みそ」を味わうと、これは例えるなら「レバー」。いや、食感的には「レバーペースト」に近い。まったりとした味わいに甘辛い味付けがしみ込んでいて、普通に美味しい! 一口分しかないけど。

続いて、他の部分だが、箸でつまもうにも硬くて身(?)を取り出せない。仕方ないので、両手を使ってアヒルさんのアゴを上下にこじあけるように「解体」します。

もうここまで来ると抵抗感も何もないので、おもむろにかぶりつき、歯を使って食べられそうな部分をこそぎ落すようにして食べると「アゴ」~「ほほ」(?)周辺の肉はジューシー! 「タン(舌)」のような弾力がある肉も確認できた。

一方、鼻(?)の周辺を食べると、グニグニとしていて、肉とも内臓とも違う独特な食感。牛肉ホルモンの「ミノ」のような噛み応えだ。う~ん、美味しい……というか珍味。

ということで、あっという間に完食した……と思うのだが、コレちゃんときれいに食べられているのかな? せっかくいただいた命、粗末な食べ方をしていたとしたら申し訳ない。またも店員さんを呼び止めて、確認します。

──すいません、これ、ちゃんと食べられていますか? 食べ残しとか、ない?


すると、私の皿を見た店員さんは……


店員「……! モウ、モウ充分ネ! モウ、ダイブ食ベタヨ、ハハ、ハハハハ……」


いや、引いとるがな。

それはともかく「アヒルの頭」を食べた感想をまとめると、見た目は少しパンチが効いているが、「脳みそ」や「ほほ肉」「タン」、あとちょっとよくわからない食感の肉など、様々な味が楽しめて意外なほど美味しい! ……が、可食部分は正直かなり少なかったことは否めない。まあ~250円だしね。


・「アヒルの首」編

続いて、食べるのが「アヒルの首」。雑然と皿に盛られて届けられたが、その味は……?

辛いッ! そして、ウマい!! なにこれ~!? ウンまい~~!!(昇天)

良く見てみると、首の骨に沿って筋組織が縦に走っているのだが、この肉をかじるとホロホロとほぐれる。適度に脂ものっていてジューシー! しかも頭と同様、麻辣(マーラー)で辛く味付けされているので、エスニックなジャーキーを食べているような味わい。何より「頭」と比べると「首」の方が断然、食べやすい! こっちの方が好きだな。

結論、中国の国民食は確かに美味かった。日本でもスーパーの総菜コーナーとかで売ったら「珍味」として普通に売れるのではなかろうか? それとも、そう感じるのは私の中に大陸の血が流れているからだろうか。みなさんも食わず嫌いをせず、機会があったらぜひ一度試してみてほしい。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 串串香屋
住所 東京都台東区上野6-10-10
時間 9:00~21:00
休日 なし

Report:ショーン
Photo:RocketNews24.