アメリカで社会現象になるほどの大ヒットを記録している映画『ブラックパンサー』。本日2018年3月1日から日本でも公開されているので、「もう見たよ!」「絶対に見に行くよ!!」という人も多いはず。

でもこれからお伝えする話を聞けば、見に行きたい人がもっと増えるかもしれない。なんとこの作品には、現実のネコたちをも救う力があるというのだ。それは素晴らしい……って、一体どうやって!?

・『ブラックパンサー』が現実世界のネコを救う?

『indy100』や『Mother Nature Network』など、多数のメディアが報じているこの一件。ユーザーネーム gallusrostromegalus さんによる、ブログ Tumblr 上への書き込みが話題となっているのだ。なんでも gallusrostromegalus さんが住むコロラド州デュランゴでは、次のようなことが起こっているのだとか……。

「地元にある複数の動物シェルターでは50〜60匹の黒ネコが保護されていた。けれどもブラックパンサーの影響で、その全ての黒ネコの譲渡先が決まった」

『ブラックパンサー』の主人公は、黒ヒョウがモチーフとなったスーパーヒーロー。共に同じネコ科であるため、 “黒ヒョウ → 黒ネコ” といった流れで譲渡率がアップしたようなのだ。

・黒ネコは人気がない?

以前より海外では、「黒ネコは人気がない」と言われてきた。2014年には、英国王立動物虐待防止協会も「保護しているネコの70%が黒もしくは、黒白の柄だ」と発表。そこには「黒ネコは他の色のネコより見過ごされやすい」「黒い動物は写真写りがあまり良くないので、ネットを使った里親探しでも目立ちにくい」といった背景があると伝えられている。

今年1月には『BBC』も、「黒ネコ、黒白柄のネコが譲渡されるまでの日数は、他の種類のネコに比べて平均10日も長くなる」と報じた。また、海外で未だ根強い「黒ネコは不吉」といった迷信も影響しているのかもしれない。アメリカでは毎年8月17日を「黒ネコ感謝の日」として、黒ネコの良さを広める活動も行われている。

・動物の流行は恐い

それなら『ブラックパンサー』によって黒ネコ人気が高まることは、歓迎すべき事態だろう。しかし、「動物の流行」ほど恐いことはない。流行に乗って動物を飼い始め、飽きたら捨ててしまう人が増えるからだ。

Tumblr 上でもそう指摘する声が多数寄せられていたが、gallusrostromegalus さんは「地元のシェルターはとても小規模で、里親希望者のチェックも厳しい。疑わしい点があると譲渡しない」とコメント。

また、保護施設の関係者は、「どんなネコでもいいから保護したい」という人が “ブラックパンサーみたいだ” と黒ネコに目を留めることで、その譲渡率が増加していると説明しているそうだ。流行に流されて「黒ネコだけを飼いたい」と主張する人はいないとのこと。

・一部の地域だけで譲渡率がアップしている可能性も

だが全ての地域で黒ネコの譲渡率がアップしているかどうかは、まだ明らかになっていない。『Inverse』によると、米国動物虐待防止協会は「ニューヨーク市にある当協会の保護施設では、黒ネコの譲渡率は増加していない」と述べているというからだ。もしかしたら gallusrostromegalus さんの住む地域だけでの現象なのかもしれない。

とは言え、ネット上ではこの「ブラックパンサーが黒ネコ譲渡アップに貢献している」という説は大きな話題となっている。これをきっかけに「黒ネコだすけ」が広がっていくといい。

参照元:Tumblrindy100Mother Nature NetworkBBCInverse(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.