どんなネコだって素晴らしいが、ネコには約40種もの品種がいるという。例えば、スコットランドが起源の「スコティッシュフォールド」や、メイフラワー号でアメリカに上陸したとされる「アメリカン・ショートヘア」などが有名だろう。
そして今回ご紹介するのは、トルコを原産とする『ヴァン猫』。“美ネコ” さんとして知られており、真っ白い体に、フワフワの毛。そして……黄色と青のオッドアイがまぶしい! しかし絶滅の危機に瀕しており、世界でも1000匹しか存在していないというのだ。
・絶滅の危機に瀕するヴァン猫
トルコ共和国東部に位置する都市ヴァンには、世界的に有名なネコの品種がいる。ヴァン猫だ。真っ白のフワフワの毛に、オッドアイという大変美しいネコなのだが、絶滅の危機に瀕していると考えられている。
Al-Monitorによると、現在のヴァン猫の生存数は約1000匹。そして、このネコを絶滅から救おうと保護・繁殖に取り組むのが「ヴァン猫研究センター」なのである。
・1992年30匹 → 2014年144匹
1992年に設立してから、一途にヴァン猫を保護し続けてきた同センター。トルコ政府も協力するその活動のおかげで、ヴァン猫の数は増加の一途をたどっており、1992年には30匹だったセンター内の保護頭数は、2014年には144匹にまで増えたと報告されている。
・ヴァン以外の持ち出しは禁止
その上、同センターは動物愛護家に対しても、ヴァン猫の譲渡も行っており、これまでに数百匹のネコが貰われていったという。しかし譲渡先は、センターの管理区域内に限定されている。また譲渡されたネコにはIDカードも発行され、第三者への譲渡・販売は禁止。海外への持ち出しも許されていない。
・“純血” のヴァン猫とは?
「純血のヴァン猫」を保護することの重要性を主張している保護センター。その白さと、青と黄色のオッドアイのみならず、泳ぎが得意なこと、顔の丸さや尻尾の長さなんかも、“純血のヴァン猫の証し” として定義されているということだ。
・保護施設で生まれても “純血のヴァン猫” じゃない?
しかし、施設で生まれるネコの中にも、オッドアイじゃなかったり、真っ白じゃなかったりと、“純血” の定義に当てはまらない子ネコも生まれてくる。そういった子ネコたちが、動物愛護家の元に譲渡されていくのである。
もちろん「純血じゃないから……」と、センターがアフターケアを欠かす訳ではなく、何か問題があった場合には、飼い主たちからの相談を受け付けてくれるという。
・ヴァン猫の存在に疑問を投げかける声も
けれども、 “ヴァン猫” の存在に疑問を投げかける声も聞かれる。例えば『ターキッシュアンゴラ協会』は、ヴァン猫保護センターの主張を、生物学的・科学的な根拠に乏しいとし、ただネコの見た目の美しさだけを闇雲に追い求めた間違った “保護活動” なのではないか、と疑問を呈している。
また、オッドアイを持つネコは、生まれながらにして耳が聞こえないことが多い。「その障がいを無視して、オッドアイのネコを生み出し続けることは間違っているのではないか」とも述べている。
“純血” だろうが、そうでなかろうが、ネコの命の価値には全く変わりはない。さて、ヴァン猫という品種は本当にいるのだろうか?
参照元:Al-Monitor、Chicago Tribute、The Angora Cat association、YouTube(英語)
執筆:小千谷サチ
▼ヴァン猫のドキュメンタリー
▼どの子も真っ白でオッドアイ