マクドナルドやバーガーキングなど、ハンバーガーは現代ファーストフードの代名詞だ。だが、日本には昔からハンバーガーチェーンに負けないファーストフードが存在する。そう、立ち食いそば屋だ

スマイルほどキラキラしていないけれど、どことなく温もりと人情を感じるはにかみ笑い。私(中澤)は、立ち食いそば屋のそんな雰囲気が好きである。中でも、亀有駅前にある「亀有そば」は外観からすでに語っていた。「自分、不器用ですから」と。

・不器用すぎる

北口を出てすぐの高架下に位置するこの店。アクリルのような素材の乳白色の軒からは、昭和オーラがプンプン漂っている。しかも、店の外壁にはスペースを埋めるように、メニュー「おそば屋さんのカレーライス(320円)」のポスター3連星。不器用すぎィィィイイイ!

ここまでアピールされては、もはや入らずにはいられない。扉の前に立ったところ、ここにもラミネートされた「おそば屋さんのカレーライス」の文字が! もう分かったから!!

・まぎれもなくそば屋のカレー

こんなのカレーを注文しないわけにいかないじゃないか。食券を購入してカウンターで渡すと、カレーは一瞬で運ばれてきた。真っ白なお皿にルーの色が映える見た目は、そば屋というより食堂や喫茶店を彷彿(ほうふつ)とさせる。

ひとすくいして食べてみると、カレーのスパイシーな辛みに漂う出汁(だし)の風味が、まぎれもなく「そば屋のカレー」だ。全身全霊でそば屋のカレーである。なんでもないなあ……実になんでもない。

・なんでもないはずなのに

だけど、なんだろう? この懐かしさは。トロみのあるルーの味に、景色が一瞬セピアに見えたような気がした。まぶしい太陽、アスファルトを突き破るセイタカアワダチソウの鼻をくすぐる匂い、広すぎた世界。タンスにビックリマンシールを貼って怒られたっけ……。

気づけば大人になっていた。昨日も今日も明日もあくせくと毎日が過ぎ、生きることに精一杯で考える暇などない毎日。そんな日々に疲れたら、「亀有そば」で少し立ち止まってカレーを食べてみよう。きっと飾らずとも背筋の伸びていた時代のことを思い出すことができるはずだ。

・今回紹介した店舗の情報

店名 亀有そば
住所 東京都葛飾区亀有3−25−1
営業時間 月~金6:30〜21:30 / 土6:30〜20:30 / 日、祝6:30〜20:00
定休日 無休

Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼ちなみにそばメニューはこんな感じ

▼なんでもないのにどこか懐かしい味だ