【読書の秋】ロケットニュース24記者がオススメする「この秋読んで欲しい本」13選(2ページ目)

・GO羽鳥のオススメ「金網の青春 / ブル中野」

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女子プロレス界の女帝、通称「ブル様」が1991年に出した自叙伝。学生時代から全女入門、獄門党時代から、伝説の1990年11.14横浜文体での「金網ギロチン」あたりまでの心境を包み隠さず書いた内容なのだが、読めば読むほど「プロとは何か」や「負けてたまるか」といった気持ちになるので、ファンでなくても必読だ。

ちなみに、新人苦労時代の食生活を書き綴った『第11章:ゴミ箱の中のきゅうり』は特に秀逸かつ、号泣必至。私はこの本を読んで、「紅しょうがゴハン」を食べ続ければ強くなれると勝手に信じ、学校に行く前に紅しょうがゴハンを食べ続けた。

・Nekolasのオススメ「食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探求の書 / エリザベス・ギルバート」

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ジュリア・ロバーツ主演の映画『食べて、祈って、恋をして』の原作がオススメ。正直なところ、映画の出来がイマイチな感じだったため、原作の評価が低くなるのではと心配になってしまったほどである。本作は、夫と離婚して人生の転機を迎えた女流作家エリザベスが、1年かけてイタリアとインド、バリを旅する実話を綴った作品だ。

原作は、人生を見つめ直すエリザベスの心境が繊細に描写され、人生で壁にブチ当たったことがある人なら、誰でも共感できる内容となっている。そして、自分の生活や人生に大きな変化を起こしたいけれど、なかなか重い腰を上げられないという人が読んだら、きっと触発されてしまうこと間違いナシだ

・K.ナガハシのオススメ「枯木灘(かれきなだ)/中上健次」

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複雑な家庭環境のなかで生きる青年「竹原秋幸(たけはらあきゆき)」の身の回りに起こる出来事や心の葛藤を、これでもかというほどリアルに描いた中上健次の長編小説。

テーマが重いうえに、本中の家系図を確認しながら読み進めないと理解出来ないほど難解な物語だが、その強烈な世界観に一度引き込まれたらもう後戻りは不可能。ぜひ読んでみていただきたい一冊である。

・マミヤ狂四郎のオススメ「電脳アジアコピー天国 / クーロン黒沢」

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ロケットニュース24でも、たまーに記事を書いてくれるクーロン黒沢氏の処女作。出版されたのは1994年で、その当時、フリーマーケットめぐりを趣味にしていた中学1年生の私は、たった100円でこの本を入手。「こんな世界があったのか!」と衝撃を受けると同時に、物書きとして行きていくことを決意した運命の書

危ないゲームの世界に興味を持ったのも、怪しい海外に興味を持ったのも、数年経ってから実際にアジアに旅立ったのも、そして今に至るのも、すべてはこの本がきっかけだ

・原田たかしのオススメ「逆境を笑え / 川﨑宗則」

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日本だけでなく、アメリカでも愛されているムネリンこと川﨑宗則。ムードメーカーでおもしろいイメージが先行している彼だが、この本では真面目な一面も見ることができる。

プロフェッショナルとは何か。野球好き以外でも一読する価値がある。当然のようにイチロー愛が炸裂しまくっているが、共感できる部分も数多く、自信を失った時や元気がない時に読むとパワーをもらえる一冊

・小千谷サチのオススメ「ストリート・キッズ(ニール・ケアリーシリーズ)/ ドン・ウィンズロウ」

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「犬の力」や「失踪」など、日本でも人気の高いドン・ウィンズロウ。ウィンズロウの新作が発表されるたびに胸が躍るが、それでも何度も読み返してしまうのが彼のデビュー作「ストリート・キッズ」だ。

プロの探偵として育て上げられる元ストリート・キッズが、家出少女を探す本作は軽妙なハードボイルド。内容のコミカルさに笑顔になりつつも、主人公のナイーブな気持ちに切なくもなる。

主人公ニールと相棒グレアムの組み合わせの素晴らしさ。創元推理文庫の表紙も素敵。「探偵ニール・ケアリー・シリーズ」は全5冊あるので、ハマればじっくりとこの世界を堪能することができる。

──以上である! 普段から読書をする人もしない人も、記者たちが自信をもってオススメする渾身の1冊だから、ぜひ参考にして欲しい。ハマりすぎて寝不足になってもいいじゃないか。「燈火稍く親しむ可く」なのだから。

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.