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11月30日は忘れもしない、水木しげるさんの1周忌。つまり、2015年に水木さんがこの世からいなくなってちょうど1年が経った。早いな……。きっと水木さんのことだから、あの世に行っても楽しくやっているんだろうな。

ところで、皆さんは漫画の水木作品を読んだことはあるだろうか。アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』は超有名だが、漫画を手に取ったことがある人は意外と少ないかもしれない。そこで今回は、妖怪文化研究家でもある記者オススメの作品を紹介するぞ。とりあえずコレを読んどけば間違いなしだ! 

その1:『のんのんばあとオレ』

絶対に読んでほしいのは、水木さんの少年時代がベースとなっている『のんのんばあとオレ』だ。このシリーズなくして、水木作品は語れない。 “のんのんばあ” は水木少年の家にお手伝いに来ていた、のんのんさん(仏さまの児童語)を拝むおばあさんのこと。旦那さんは拝み屋をやっていたようだ。

この “のんのんばあ” がお化けをはじめ古くからの信仰、生死についてなど、さまざまなことを水木少年に語って聞かせるというストーリー。背筋がヒヤッとする話あり、ちょっと切ない話ありの味わい深い作品だ。余談だが、記者が妖怪に興味を持つキッカケとなった1冊でもある。

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その2:『神秘家列伝』
水木さんに影響を与えた人物たちを、独自の視点で描いた伝記漫画が『神秘家列伝』だ。水木さんは本当に観察力と洞察力に優れた人だったんだな、と改めて感心させられる。ちなみにスウェーデンボルグや安倍晴明、仙台四郎や柳田國男など、幅広い分野の偉人たちが登場するぞ。

その3:『悪魔くん』
「エロイムエッサイム。エロイムエッサイム。我は求め訴えたり~」の文句で有名な『悪魔くん』は、アニメ化もしているのでご存じの方は多いだろう。だが、実は漫画とアニメで内容が異なり、テレビで放送するにあたってマイルドでわかりやすい内容になっている。

水木さんは固定観念にとらわれることなく、時代のニーズに応じて作品を変化させていたからこそ、長く愛されたことがわかる作品でもある。なお、記者はアニメの主題歌が大好きだ。

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その4:『墓場鬼太郎』
『ゲゲゲの鬼太郎』のもとになった作品と言われる『墓場の鬼太郎』だが、正直全く別の作品だと記者は思っている。とにかく可愛げがない作品で、1ミリも読者にこびないのだ。もう、ついて来られるヤツだけついて来いと言わんばかりの内容でアッパレとしか言いようがない。

その5:『フーシギくん』
こちらはそれほど知られた作品ではないと思うが、個人的に好きなので挙げておきたい。まず “フーシギくん” という脱力感のあるネーミングが良い。そして超能力をもつフーシギくんが妖怪を相手に戦う話と思いきや、いずれの水木作品同様に社会を皮肉ったシーンが見られるのも面白いぞ。

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93年のうち、60年余り絵を描くことにその身を捧げた水木さん。もう直接、水木さんの言葉を聞くことはできないけれど作品を通じて得られるものは多い。ここで紹介した作品は、ほんの一部に過ぎないので興味を持った人は、ぜひほかの作品も読んでみてくれよな! 

現在、小説家・京極夏彦さんが監修する『水木しげる漫画大全集』が出ているので、ソチラを活用してみるのもいいだろう。また、水木さんが住んでいた東京都調布市は11月30日の命日を「ゲゲゲ忌」としてイベントを開催中であることも、併せてお知らせしておきたい。

Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼水木少年の頭の中をのぞいているような気持ちになる『のんのんばあとオレ』

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▼面白いことは言わずもがな、勉強にもなる『神秘家列伝』

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▼怪獣もいっぱい出てきて楽しい『悪魔くん』

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▼ブラックワールド全開な『墓場の鬼太郎』

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▼ネーミングが可愛すぎ『フーシギくん』

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▼悪魔くんのOP