4年前に第一子となる娘が生まれて以来、私、P.K.サンジュンの価値観や性格は結構変わった……と思う。幼い子供が犠牲になるようなニュースには深く心をえぐられるし、逆に子供全般に寛容になれた気がする。そして涙腺は確実に弱くなった

そういう意味で2020年12月25日に公開された劇場版『ポケットモンスター ココ』は「確実に泣くだろうな」と思っていたのだが、この段階で結論を申し上げてしまおう。上映中、私は何度も泣いた。静かに静かに泣いた。4歳の娘が引くほどに──。

・泣かせに来ている映画は大嫌い

元来、私は「泣かせに来ている映画」が大嫌いで、例えば病気などを使って涙を誘う作品が今でも嫌いだ。そっち系の作品が好きな人のことまでは否定しないが、そんなもん悲しいに決まっているし、なんなら「卑怯」とさえ感じてしまう。一言、ずるい。

ずるいと言えば、劇場版『ポケットモンスター ココ』も、ずるい部類に入る作品だと思う。実は他の映画を鑑賞した際、同作の予告編を何度か観ていたのだが、それだけで鼻はツンとしていた。確信犯的に親を泣かせに来ている作品であることは疑いようがない。

本作はポケモンに育てられた人間の子供「ココ」と、ココを育てたポケモンの「ザルード」の親子物語。ネタバレになってしまうので詳細については触れられないが、ココ生誕の秘密を始めとしたシナリオもよく練られていた。


……が、そんなの関係ねぇ。


私はココとザルードが出会った映画開始直後から静かに泣いていた。徐々に成長していくココの姿と、隣に座る4歳の娘の姿がどうしても重なってしまったのだ。お恥ずかしい話、オープニング曲が終わるころには一通り泣き終わっていた。

・ただただ泣き続けた

が、中盤で自分がポケモンではないと知ったココがザルードに突っかかるシーンでも涙はあふれ出し、親子の絆をモロ出しにした終盤の見せ場では「グッ……グッ……!」と吐息を漏らしながら泣いた。娘が何度もハンカチで涙をぬぐってくれたのだが、その優しさにも涙が止まらなかった。

映画を観終えた後、娘に「いい映画だったね。感動した?」と尋ねたところ、「父ちゃんがいっぱい泣くからそっちの方が気になっちゃったよ」と言われてしまうほど、私は終始泣いていたようだ。「あんなに泣く人いないでしょうよ」とも言っていたから、娘は普通に引いていたのだろう。


……でも、そんなの関係ねぇ。


果たして劇場版『ポケットモンスター ココ』を観て涙しない親などこの世に存在するのだろうか? 特に本作は「父子物語」なので、父親は100%泣く。特に岡崎体育さん作詞作曲、トータス松本さんがボーカルを務める「ふしぎなふしぎな生きもの」が流れるシーンでは世界中の父ちゃんたちが涙を流すハズだ。

「泣かせに来ている映画」が大嫌いな私としては、本作は反則すれすれの作品である。ただ、まんまと泣かされてしまった後も変な悔しさは皆無だった。ポリシーとしてわざわざ泣きに行くことをオススメはしないが、劇場版『ポケットモンスター ココ』はとてもいい作品でした──。

なお、帰り道、娘に「わかったからー。しつこいよ」と言われるくらい「俺は君の父ちゃんだ~♪」と連呼しまくったことも記述しておく。「ふしぎなふしぎな生きもの」はマジで名曲。曲を聴きながら娘がお嫁に行く日のことを想像して、今また泣いてます。

というわけで、親子、特に「父子」での鑑賞をオススメしたい劇場版『ポケットモンスター ココ』は絶賛公開中だ。父ちゃんならば確実に泣いてしまうので、大きめのハンカチご用意の上、劇場に足をお運びいただきたい。

参考リンク:劇場版『ポケットモンスター ココ』公式サイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)2020 ピカチュウプロジェクト

▼本作のメインテーマ「ふしぎなふしぎな生きもの」。マジで泣く。というか今も泣いてる。

▼予告編はこちら。

▼とにかく泣きました。