Q:お金持ちの方たちと接してきて、何か気づいたことはありますか?

A:お金持ちの方が欲しいのは、時間と健康なんですね。健康というのはお医者様のところにちゃんと行っていればなんとか維持できますが、問題は時間で、いかに自分の自由な時間を作るかに苦心されている方が多いです。

例えば海外の大富豪の方を成田空港から東京都心へ車でお送りする際に、普通だと40分かかるところが、渋滞で2時間かかってしまうことがあります。そういった場合に「なぜこんなに時間がかかるんだ」とお叱りを受けることがあり、正解はヘリコプターでの移動なのです。成田空港から東京都内までヘリコプターで30万円くらいかかるのですが、移動時間を20分におさめることができます。

これは一見かなり贅沢な話に見えますが、例えば年収20億円の方であれば、24時間かける365日、つまり8760時間計算の時給で考えるとだいたい23万円くらいになります。よって30万円で1時間40分節約できるのなら、結果的には理にかなった判断なのです。

Q:執事として働く上で大切にされていることはありますか?

A:お客様の立場になって考えるということです。当たり前といえば、当たり前のことなのですが、非常に重要なことなのです。例えばお客様が「カレーを食べたいから、用意してくれ」とおっしゃったら、なぜそうおっしゃったのかを考えなければいけません。

ですので、何も考えずに用意するのではなく、「もしかしてお腹が空いてらして、今すぐ何か召し上がりたいのですか? もしそうでしたら、カップラーメンがございまして、すぐにご用意できます」と対応します。

すると「そうそう、お腹ペコペコなんだよ。カップラーメンの方が速いなら、そっちをお願いするよ」などということになることもあります。「カレーを食べたい」というのはあくまで表に現れた欲求ですので、その奥にある真の欲求に気づけるように常に心がけています。

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Q:執事として働いているなかで一番幸せを感じた瞬間は、どんな時でしたか?

A:お客様に我々を家族のように思っていただいた時ですね。2011年の東日本大震災の時に、これから母国に避難するというお客様が我々に対して「君たちも大変な状況だろうから、君たちの家族を連れて私のところに来ないか? 君たちの家族ごと面倒を見るよ」とご提案して下さったのです。結果的には、我々は日本に残ったのですが、そうやって家族のように思っていただいたことが非常に嬉しかったです。

Q:自分専用の執事は欲しいですか?

A:欲しいですね(笑)。やはり執事がいることによって、自分の自由な時間がかなりできますよね。移動の手配やスケジュール管理などを執事がしてくれれば、一日をもっとスムーズかつ効率的に活用することができます。

Q:これから執事になりたいという人へのアドバイスはありますか?

A:執事は特殊な技術を求められる一面もありますが、みなさんがされている仕事と共通する部分もあります。会社員を違う視点で見れば、上司に仕える執事。サービス業に携わる人を違う視点で見れば、お客様に仕える執事とみなすことができます。

つまり上司・お客様が何を求めているのか、何をしたら喜ぶのかを考えなければいけないという点では我々と同じなのです。目の前の相手を満足させようとしっかり考えながら働いていると、執事としての基礎力を高めることができるかと思います。

~~~完~~~

いやー、非常に興味深いインタビューだった。個人的には、思っていたよりアニメの執事と現実の執事に似ている点が多かったこと、そして大富豪の金銭感覚に驚きを覚えた。さて、みなさんは今回のインタビューを通して、何を発見しただろうか? そして執事を雇ってみたいと思っただろうか? 私はぜひとも雇ってみたい。そして成田空港から渋滞の高速道路へと向かう執事に対して「なぜヘリを使わんのか!」と叱ってみたい!!

Report:田代大一朗
Photo:RocketNews24.

▼新井さんが常に肌身離さず持っているキャリーバッグ。バッグの中身はいつでもお客様と連絡がとれるようにパソコンと予備バッテリー。そして急に呼び出された際に泊りがけになることがあるので、着替えが入っている。執事は本当に忙しい!
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