世界規模でチェーン店を展開する「ケンタッキーフライドチキン」(KFC)は、世界で初めてフランチャイズビジネスをつくり上げたファストフードチェーンです。中東を旅している記者(私)は、イラン滞在中に現地の料理に少し飽きてしまいました。
そこで、地元の人にファストフードはないのかと尋ねたところ、「ケンタッキーハウスはどうだ?」と、勧められたのです。「ケンタッキーハウス? KFCじゃないの?」と聞き返すと、「ケンタッキーハウスだ」と念押しされたのでした。実際に店舗に行ってみると、たしかにKFCではない。これはもしやパクリではないの?
実のところ、本家KFCはイランに一店舗も出店していないそうです。KFCっぽい(?)店舗はいくつかあるらしいのですが、そのいずれも本家とは一切関わりがないとのこと。ケンタッキーハウスもそのうちのひとつです。しかし取り扱っているメニューは、チキンやハンバーガー、ポテトなど、本家のメニューとあまり変わるところがありません。
ファストフードに飢えていた記者は、初めてお店を訪れて以来、ここに通うのが日課になってしまいました。味は申し分なく、日本のハンバーガーほど個性的ではないものの、おいしいと感じるレベルです。強いていえば、塩コショウなどの下味がついていないので、ケチャップなどの調味料で自分なりの味付けをしないといけません。これはケンタッキーハウスに限ったことではなく、イランのファストフードはどこでもこのシステムです。
お昼時と夕方は大変混んでいて、席がないこともしばしばです。気になるお値段は、ハンバーガー・ポテト・ジュースのセット(2人分)で700円程度です。地元の女子大生に話しを聞くと、「(値段は)高くも安くもない」とのことでした。それにしても、ネーミングは「ケンタッキー」にこだわる必要はないと思うんですけど、本家とは関係がないのだから……。
取材、写真:Photographer Koach
執筆:フードクイーン・佐藤