
連続ドラマ『踊る大捜査線』が放送開始したのは1997年のこと。その後も映画化やスペシャルドラマ、スピンオフなど、さまざまな形で「踊る」は広がってきた。
そして2026年9月18日、14年ぶりの新作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』で青島俊作(織田裕二)がスクリーンに帰ってきた。ドラマ放映当時から作品に親しんでいる記者は、期待とわずかばかりの不安を抱えて劇場へ足を運んだ。
・見始めてすぐに払しょくされた不安
なぜ不安もあったのかというと、前作『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(2012)』から14年という歳月が流れていたからだ。この間に、我われの社会を取り巻く環境は激変した。今や「踊る」を知らないという人も、それなりにいることだろう。
わかりやすい例で言えば、青島がしょっちゅう吸っていたタバコ。受動喫煙防止やコンプライアンスが厳しくなった現代、彼のタバコを吸う姿はどう描かれるのか。
さらにAIやデジタル技術が飛躍的に発達した令和の捜査現場で、アナログで現場主義の刑事がどう折り合いをつけるのか。そして何より、彼のあの泥臭い熱血さは、コンプライアンス重視の組織の中で居場所を失っていないだろうか。そもそも今の時代に、映画館にわざわざ足を運ぶ人がどのくらいいるのか。
一視聴者の余計なお世話とは思いつつも、そんな気がかりを抱えてスクリーンに向き合っていた。しかし、映画が始まった瞬間にそんな心配は一瞬で吹き飛ぶことになる。まず館内は、大入り。年齢層こそやや高めではあるものの、シリーズの健在ぶりを見せつけられた。
そして何より喜ばしかったのは、スクリーンにいたのが私たちの良く知る青島俊作そのものだったこと。画面の中で変わらぬ調子で動き回る姿を見て、私たちが会えなかった14年の間も、彼は警察組織の中で折り合いをつけながら生きていたのだなあと、じんとしてしまった。
加えて過去の「踊る」を引きずり回すのでなく、時代の変化を真正面から受け止めていたところが素晴らしかった。昔を懐かしみ過ぎたり、時代に取り残されるのでもなく、今の時代を生き抜く青島俊作としての答えが、劇中の随所にしっかりと提示されていたのだ。
・豪華な製作陣
ストーリーも、言わずもがなの面白さ。これまでにシリーズに触れたことがない人にでもしっかりと伝わるわかりやすさと、ぐいぐい引き込む強烈な吸引力があった。「やっぱり『踊る』はすごいな」と当初の不安はどこへやら、二転三転する展開にハラハラさせられつつも、最後には心地良さに包まれた。
キャストやスタッフ陣の豪華さも圧巻だ。昨今のヒットドラマの映画化作品でもここまでの贅沢なキャスティングはなかなか見られないのではないか、と思わされるほどのビッグネームが名を連ねる。観ている間、「『踊る』って、地上波で放送中の現行ドラマだっけ?」と錯覚してしまいそうになるほど。
単なる映画一作の枠に留まらない『踊る大捜査線』ならではの底力と、先を見越した巧みな作り込み。一度は完結したと思い込んでいたのはこちらの思い違いで、青島俊作はこれからも私たちと一緒に年を重ねながら、その時々の「歳月を重ねたからこそ見える景色」を見せてくれるのではないか。
『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』は、そんなことを感じさせつつ、これまでの「踊る」ロスを一気に吹き飛ばし、これからの未来を楽しみにさせてくれる作品だった。
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」かつてそう叫んだ彼は、令和の今も、そしてこれからも、自分の足で自分の現場を走り続けていくのかも……しれないな。
参考リンク:踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!
執筆:K.Masami
Photo:RocketNews24.
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K.Masami


































