スーパーや薬局のレジ横に花火が並ぶ季節になった。つい先日、近所のスーパーで買い物を終えた後、何の気なしに花火コーナーを眺めていたら「日本でつくった極上 匠の線香火花セット」なる商品に目が留まった……

極上の線香火花、しかも “超逸品3種入り” なんて言われたら誰だって気になるだろう。価格は1298円……さすが匠。信じられないほど高級である。数分悩んだ結果、ブルブル震えながら買ってしまった。そんなわけで、最高級の線香火花をご覧あれ!

・線香火花

国産花火メーカー「井上玩具花火」がつくった匠の線香火花。購入後に気づいたが、線香花火ではなく “線香火花” らしい。たしかに写真を見る限り、線香花火ではない。「儚さ」ではなく「華やかさ」を楽しむ花火なのだろう。

中身は「極」「華」「粋」の3種類が3本ずつ。花火職人が手間暇かけて製作した極上の9本には、間違いなく日本伝統の粋が詰まりまくっている。たまには安いセットを消費するのではなく、技術を、伝統を、心ゆくまで味わい尽くしたい。


・極

前置きはこのくらいで。まずは極「黄金煌めき 冠菊(かむろぎく)」に火をつけたい。ちなみに冠菊とは花火用語らしく、花火が時間の経過とともに広がっていくのが特徴だという。それでは……


シュポッ


ファァアアパチパチパチ……


……咲き乱れる黄金の菊。燃焼時間が約45秒と非常に長い。何度も言うように、きれいな花火をじっくり鑑賞できる。心を癒す花火とはこういうもの。



・華

続いては華「満開枝垂れ 竜桜」。枝垂れという名前のとおり、花ではなく枝のような流線を楽しめるらしい。いざ火をつけてみると……


ファァアアアア



火花が風にあおられ満開の “しだれ” を楽しむことはできず。風がなければもっと枝のようにスーッと火花が降り注いでいただろう。



・粋

ラストは粋「金鈴点滅舞 千輪」。点火後に小花が一斉に開くらしい。果たして……


シャァァアアアアア



白みがかった火花が出現。どの花火にも共通して言えるのは “柔らかさ” があること。パチパチパチではなく、シュワァァアアアっと柔らかく燃えていくのだ。煙もまるで「わたあめ」のよう。いとおかしな和製花火。職人の技術を思い知ったのであった。


・静かな場所で

そんなわけで「匠の線香火花」は、親戚や友人一同でわーっとやりたい時ではなく、少人数でじっくり花火を楽しみたい時におすすめ。機会があれば、静かな場所で職人技を味わってみてほしい。ちなみに私は最後の「」が1番好きだった。


参考リンク:Amazon「日本でつくった極上 匠の線香火花セット」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.