ラーメンは日本の国民食のひとつ。カップ麺ならアレ、袋麺ならコレ、お店だったらココみたいな感じで、誰でも1つは好みの味があるはず。その多くはチャーシューやメンマ・海苔などのトッピングが乗っているのが一般的である。

そこへ行くと、ぎょうざの満洲の「素ラーメン」は潔い。読んで字のごとく、 “素” だ。スープ・麺・ネギ、以上! 極限までムダを削ぎ落した飾り気のない1杯。だが、バカにならんのだよ!! 満洲の素ラーメンは優秀であると高らかに宣言したい!

・素ラーメン

満洲の素ラーメンは1杯税込390円である。安い! 何でもかんでも値上げの時代に、500円以下でラーメンを食わせてくれるなんて、満洲は太っ腹だ。具なしでも勝負できると見込んで、メニューに加えているに違いない。その味をたしかめるために、最寄のお店にやってきた。


もしかしたら、素ラーメンに気づいてない人もいるかもしれないので、メニューのどこにあるのかお教えしよう。「ラーメン・焼きそば」の項目の中に「素ラーメン」がある。サイドメニュー的な扱いではなく、ちゃんとラーメンの項目に含まれているぞ。


しかもだ、素ラーメンは麺増量も可能! 減量までできてしまう。0.5玉がマイナス30円、1.5玉が+50円となっている。今回は、しおを1玉で注文した。


見よ! これが素ラーメンである。 


潔い! 透き通ったスープにノビノビと浸る麺。それに白髪ねぎがのっかってるだけだ。まるで、アコースティックセッションのごとくシンプルな構成。クリーントーンの曲を聞くようなシンプルさ。

『ファイナルファンタジー』でいうなら、すっぴん(ジョブなし)の状態である。すべての武器と防具を装備できるので、無職ながら逆に最強、それがすっぴんだ。つまり、この素ラーメンは最強かもしれない


スープは国産の丸鶏と鶏ガラをベースに、野菜と魚介を煮出し合わせたものを使っている。それに沖縄産の塩「シママース」とアサリのだしを加えているそうだ。

余計なトッピングがない分、ダイレクトにスープの味を楽しめる。出汁の旨味と塩味がガツン! と来る力強い味だ。しゃがれ声で歌うブルースシンガーみたい。色気はないけどカッコいい味だ。


麺は栃木県産小麦「タマイズミ」を100%使っているという。スープがしっかりしているので、麺はその味に乗っかっている感じ。

あえてスープをリズム隊(ベースとドラム)に例えるなら、麺は上物のギターとボーカルだ。リズム隊が堅実過ぎて、上物がフワフワしているように感じられる。まあ、リズムがしっかりしてれば、上物が何やってても成り立つんだけどね。


・組み合わせで威力発揮

素ラーメン単体でも十分美味しいんだけど、量的に満たされないので「焼餃子とライス」を一緒に頼んだ

素ラーメン390円に、焼餃子とライスが税込500円。全部で890円! 1000円以下でこのラインナップ! 素ラーメンが390円だからこそ、頼めるオーダーである。


ちなみに、素ラーメンに単品でライスと餃子をつけると、単品ライス170円(普通)・餃子390円でトータル950円になるんだけど、その代わりにスープと漬物がついて来ない。なくてもいいって人は単品で頼むべきだ。まあ、素ラーメンがスープ代わりになるから、スープそのものはなくても良いかもね……


こうして、私はラーメン → 餃子 → ライス → ラーメン → 餃子 → ライス……、と食いつないでいき、循環コードで延々とソロをまわすセッションバンドのような食い方をしたのだった。


そんなわけで、具のない素ラーメンと侮るなかれ。満洲の素ラーメンはそのままでもウマい、ほかのものと組み合わせるとさらにウマい逸品である。オススメだ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 ぎょうざの満洲 荻窪南店
住所 東京都杉並区荻窪5-16-21
時間 11:00~21:00(L.O.20:30)

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24