その昔、ラーメン店といえば「札幌ラーメン どさん子」だった。私(佐藤)の郷里島根県にもお店があったと記憶している。丼がくちばしになったペリカンのロゴマークを見た覚えがある。

久しぶりにあのラーメンを味わってみたいと思い、リブランド化された東京・大手町店を訪ねたところ、今さら穴あきレンゲの万能さに感動した。めっちゃ便利!

・ラーメンチェーンの先駆け

札幌ラーメンどさん子は1961年、東京・墨田区に前身のお店「餃子飯店つたや」として誕生した。1967年両国にどさん子1号店をオープンし、わずが10年で1000店舗と突破して日本中を席巻したラーメンチェーンの先駆けである。

紆余曲折を経て、現在は「株式会社アスラポート」が運営を行っている。今回訪ねた大手町店は、2014年に一風堂(力の源ホールディングス)とのプロジェクトによって誕生したリブランド店の1つだ。


メニューは創業当時の味を引き継ぐ元祖の味噌ラーメンと、先に挙げたプロジェクトから生まれた新練(しんねり)の味噌ラーメンがメニューの2本柱となっている。


今回は元祖味噌ラーメに具材全部のせの「デラックス」(税込990円)と「黒豚餃子」(5個税込420円)を注文。券売機で食券を買って、席についたら速攻で出てきた!


早い! お店の人は当たり前のようにオーダーを運んできたけど、ここまで早く提供できる店はなかなかないぞ。吉野家に匹敵するスピードだ、マジで!


まずは餃子から頂くとしよう。どさん子の餃子は街中華タイプの小ぶりなサイズ。黒豚を使用しているとはいえ、このサイズで420円はちょっと高い気が……

餃子の王将、大阪王将も6個で300円しないから、それと比べると高級品だよなあ。


味はたしかに美味しいんだけど、もう少しリーズナブルだとうれしい。とはいえ、王将と比べるのは酷か……。


ラーメンは具材モリモリ! スープナミナミ、さすがデラックス! 「溢れんばかり」とはこのことだな。


まずはスープをすすろうとレンゲを取ったら……コレではスープ飲めん……


以前からこんなレンゲだったっけな? 久しぶりすぎて忘れてたよ。スープは飲めんけど、コーンは食べやすい! スープを気にせずコーンを食えるぞ!


ラーメンにコーンをトッピングするお店は、全店で穴あきレンゲの導入を義務化してほしいくらいだ。


穴の開いてないレンゲでスープをひと口すすると……、これだよ、これ! なんと安心感のある味だ! 頭のどこかで眠っていた記憶が呼び起されるような懐かしさを覚える。

そう、いつか食べたどさん子の味噌の味は、今でも変わっていない。ひょっとすると、この味は子どもの頃の記憶にアクセスしているかもしれない。そのくらい昔から、どさん子は身近な存在だった。師走の冷たい風にさらされて強張った身体だけでなく、心まで温めてくれる。


八丁味噌を塗りこんだ炙りチャーシューは、デカくて食い甲斐あり! ドボンとスープに浸して食べると、なおヨシだ


麺は北海道産の小麦粉100%の極太ちぢれ麺「道産麺」。個人的に太麺は好みではないが、濃厚な味噌スープにはやっぱり太麺が合う。スープと一体になって口の中に飛び込んでくる感触は、極太麺でしか出せないだろう。


今年創業61年を迎えたどさん子。これまでにブランドを取り巻く環境は変わり続け、決して良い時ばかりではない。むしろ年を重ねるごとに、状況は厳しくなっているかもしれない。

日本のラーメンチェーンの先駆けであり、古くからこの味に親しんでいる人もたくさんいる。どうか、これからもどさん子の味を末永く伝え続けて欲しい。「つたや中華」から始まったその味を……。


・今回訪問した店舗の情報

店名 どさん子 大手町店
住所 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビルB2階243区
時間 11:00~22:30(L.O.22:00) 土曜11:00~15:00(L.O.14:30)
定休日 日祝

参考リンク:どさん子@Press
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24.