コミュニティアンバサダープログラム。そう聞いて何のことかすぐにわかるあなたは相当なポケモンGOマニアに違いない。ただその正体までを詳しく語れる人は、まだほとんどいないハズだ。

私(サンジュン)も「あー、なんかの……組織的な?」くらいのイメージしかなかったのだが、このたび「コミュニティアンバサダー」のご本人に話を伺うことが出来たのでご報告したい。

・あまりにも謎

かねてから私自身は「コミュニティアンバサダープログラム」の名は知っていた。ただポケモンGOが仕事の一部になっている私ですら、その概要を明確に語れるほどの知識を持ち合わせていない。

噂では「アメリカで始まった~」とか「日本にも数人いる~」とか「コミュニティを作る~」などと小耳に挟む。……が、その実態はまだまだ謎に包まれていると申し上げていいだろう。

そんな私の元に東京のコミュニティアンバサダーから連絡が。これはコミュニティアンバサダープログラムについて知るいい機会なのでは? 一応ポケモンGOの情報は一通り押さえておきたい。

というわけで、ナイアンティックの人も同席の上「コミュニティアンバサダープログラム」について話を聞かせてもらうことに。お会いしたのは……


ナイアンティック APACコミュニティマネージャー 川西さん


そして現段階では東京で唯一のコミュニティアンバサダー 齋藤さん、だ。


で、まずは川西さんから「コミュニティアンバサダープログラム」について説明してもらうことに。さあポケモンGOトレーナーたちよ、これが謎多き「コミュニティアンバサダー」の概要である!


・コミュニティアンバサダーとは?


──本日はお時間いただきありがとうございます。私を含め多くのトレーナーが理解していないと思いますので、まずは「コミュニティアンバサダープログラム」について説明をお願いできますか?

川西さん「はい、よろしくお願いします。ご承知の通り、我々ナイアンティックはゲームを通じて人を外に連れ出すことを目標にしています。その先にリアルな出会いや楽しみがあったら最高です」

──承知しています。御社の社是というか、ミッションですよね。

川西さん「はい。リアルな世界でどう楽しみを広げていけるか? コミュニティアンバサダープログラムもそれを手助けする取り組みです」

──ふむふむ。

川西さん「簡単に言ってしまえばトレーナーさんに地元で対面のイベントを主催してもらう。我々がそれをサポートし、コミュニティを成長させたり、今まで無かったコミュニティを創出することを目的としたプログラムです」

──なるほど。

川西さん「コミュニティアンバサダープログラム自体は2022年からアメリカなどの英語圏からスタートしました。現在、世界中に合計300名以上のコミュニティアンバサダーがいらっしゃいます」

──チラッと噂は聞いておりました。

川西さん「イベントを主催していただくにあたり “キャンプファイヤー” を活用してもらうことも特徴の1つなんですが、この辺りは後ほどご説明しますね」

──はい。お願いします。


・アンバサダーになるためには?


川西さん「ではさっそくアンバサダーさんの活動や役割についてご説明します」

──はい、結構謎なところですね。

川西さん「まずアンバサダーさんには無償で活動していただいています。大きな役割としてはコミュニティの運営イベントの開催、そしてゲームへのフィードバックなどがあります」

──ほほう、無償なんですか。じゃあNiantic Wayfarerと同じですね。

川西さん「そうなんです。次にアンバサダーを選ぶ基準について説明します。まずは20歳以上の成人で、過去6カ月間に不正行為をしていないことが挙げられます。また安全性を担保していただけるかも重要なポイントです」

──安全性ですか。

川西さん「例えば悪天候の際は中止を含めて、安全性を確保していただけるか。あとは過去に事件等を起こしていないか? それらを第三者機関を通じて調査させていただいております」

──へぇ~! そんなにちゃんと調べてるんですか!! じゃあ齋藤さんも尾行されてたんですかね?

齋藤さん「かもしれませんね(笑)」

川西さん「あとはリモートの面談を経てモチベーションや人柄を総合的に判断し、アンバサダーを選出しています」

──ほお~。かなりきっちり調べてるんですね。

川西さん「はい。ある意味で我々の代表になっていただく方ですので慎重に判断しているところです」

──なるほど。


・理想のアンバサダー像


川西さん「次に我々がどういった方にアンバサダーになって欲しいかを説明させてください」

──お願いします。

川西さん「まずは多様性を理解していただける方です。ポケモンGOは国籍や年齢、性別など幅広い方がプレイしているゲームですので、様々な人を受け入れていただきたいと考えています」

──ふむふむ。

川西さん「次にみなさんと丁寧に優しくコミュニケーションを取れる方が望ましいですね。また積極的かつ安全にイベントを開催してくれる方。もちろん不正行為等を行わないフェアプレイの精神は持ち合わせていることが条件です」

──なるほど。この辺りは基本的なことですね。

川西さん「はい、次に日本のコミュニティアンバサダーについて説明します。現在日本には13名のアンバサダーがいらっしゃいます。実は昨年のGOフェス大阪のテントで募集していました」

──あ、あのテント群の中で募集してたんですね! 気付かなかったな~。ちなみに過去の募集はその1回だけですか?

川西さん「いえ、ソウルのシティサファリでも募集しています」

──にゃるほど~。ソウルも気付きませんでした。ずいぶんひっそりと募集されてるんですね。

川西さん「ですよね(笑)。ただいよいよアジア地域でもコミュニティアンバサダープログラムを本格化しようと、日本・韓国・台湾・香港で積極的な募集を行おうとしている段階です」

──ほうほう。


・どんな支援があるのか?


川西さん「募集の詳細について詳細は後ほどお伝えさせていただきますね。ここでアンバサダーの特典について説明します」

──はい。無償であることは先ほど伺いました。アンバサダーになったらどんな特典や支援が受けられるんでしょう?

川西さん「まずはゲーム内で使えるアイテムのコードやグッズをご用意します。アンバサダーの旗もそうですね。またキャンプファイヤー上でアンバサダーであることがわかるバッジが付与されます」

──そういえばNYに行ったとき、コードが入った紙をもらったことがあります。

川西さん「コード等はイベント参加者に配布したり、新規メンバーをリクルーティングする際などにも使用していただけたらと思います。あとは世界中のアンバサダーの方々と繋がれるようにご案内します」

──なるほど。

川西さん「またイベントを開催していただく際、コミュニティアンバサダーのポケストップを設置します。ポケストップが少ない地域で少しでも手助けになればと……」

──あ、東京でも上野公園によく生えてますね。日比谷公園にも生えてませんでしたっけ?

齋藤さん「日比谷公園は1回だけですね」

──へえ、毎月立てられるんですか?

川西さん「はい、イベントを開催していただくタイミングに手動でポケストップを立てているんです。これもよりみなさんでポケモンGOを楽しんでいただくための支援と考えていただけると」

──なるほど~。ふわっとコミュニティアンバサダーについては理解しました。要するに「各地域のトレーナーにリアルな出会いを提供する機会を設けよう!」という取り組みですね?

川西さん「大まかな概要としては仰る通りです」


・東京で唯一のアンバサダー


──ポケモンGOは誰かとプレイすると何倍も楽しいゲームですからね。とてもいい取り組みだと思います。ではここからは齋藤さんにも話を伺わせてください。

齋藤さん「はい、お願いします」

──まず東京で唯一のコミュニティアンバサダーとのことですが、具体的にはどんな活動をされているのでしょう?

齋藤さん「コミュニティ・デイでは必ずイベントを開催しています。ちょっと特殊なんですが、うちの場合は入会制のシステムを採用しているんです」

──ん? イベントに参加するためには齋藤さんのチームに入らなきゃいけないってことですか?

齋藤さん「はい、実は5年前からポケモンGOのサークルを運営していたんです。その中でアンバサダーに選ばれたので、私の場合はちょっと特殊だと思います」

──ふむふむ。

齋藤さん「具体的にはホームページ等で募集して、アンケートをお願いしたり面接も行っています。その数もアンバサダーになってからはグッと応募も増えました。今では100名近い会員がいます」

──なるほど。ちょっと感覚的に理解しづらいんですが、私にもフレンドさんがいます。ただ私の会に入れたつもりは無いし、私も誰かの会に入ったつもりもないんです。入るってどういうことなんでしょう?

齋藤さん「サークルの流れがあるのでそこが特殊なんですね。他のアンバサダーの方は特に入会といった形を取っていないケースがほとんどだと思います」

──んー、なるほど。あくまでレアケースなんですね。ほら募集も大変でしょうし、入ったら義務もありそうじゃないですか。会というだけでやや敷居が高いと感じる方もいらっしゃるのかなーと。

齋藤さん「そうですね。元々、私自身が組織運営が好きなので苦ではないんですが、色々と手間がかかっていることは確かです(笑)。サークルの流れに沿って、アンバサダー活動をしている感じに近いと思います」

川西さん「齋藤さんのコミュニティは組織立っていることが特徴なんですが、我々が必ずしもそれを求めているワケではありません。実際に他のアンバサダーの方の中には、イベントごとに参加者を募集をされる方もいらっしゃいます」

──ふむふむ。実際問題、齋藤さんくらいのレベルで組織を作り上げるのは難しいでしょうからね。

川西さん「まだ開始して間もないプログラムなので、色々な形のコミュニティがあっていいと考えています。リアルな出会いのきっかけになることが目標ですので」


・色んな形があっていい


──御社としてイベントを開催してくれて、トレーナー同士が出会えるきっかけにさえなればとりあえずいいんですもんね。類友じゃないですけど、結局は似た者同士が集まると思いますし。

川西さん「例えばコミュニティ・デイの最初に集まって “何人かで遊んで後でまた集まってね” でもいいと思いますし、全員で行動する形もあってもいいと思います。我々としてもどういう形が望ましいのか非常に興味深いところですね」

──例えばコミュデイの日、隣にポケモンGOの画面を開いてる人がいたって声はかけられないですもんね。そういう垣根を取る意味でコミュニティアンバサダーはいた方がいいと思いました。

齋藤さん「本当、ちょっと私のコミュニティがレアケースなんだと思います。ただ会自体は長く運営しているので、他のアンバサダーの方の悩みなどは聞けると思います」

──ふむふむ。ちなみに齋藤さんのやり甲斐はなんなんですか? 無償でそこまでカロリーを使って大変じゃないですか?

齋藤さん「そうですね。特に報酬があるワケではないですしね。ただアンバサダーになってから参加者さんの満足度を上げることが出来たのは良かったと思ってます」

──なるほど。

齋藤さん「あとは参加者さん同士が仲良くなっていく様子を見るのがやり甲斐ですかね」

──聖人か! いやー、ちょっと僕には真似できないっス。もし僕がいないところで何人かが楽しくやってたとか聞いたら寂しくなっちゃいますもん。

齋藤さん「会が小さい頃はそういう感情もあったんですが、今はもう無いですね(笑)」

──でも色んな形があっていいってことですね。そもそもまだまだソロプレイされている方も多いですしね。そういった方を救済する意味でも、コミュニティアンバサダープログラムはいい取り組みだと思います。

川西さん「実際にアンバサダーになった方にどんな苦労があるのか? それはまだわからないことが多いんです。ただ密にコミュニケーションを取って、不安を取り除いていけるようにしたいですね」

──日本はどうしてもリスクを気にする声が多いと思うんですが、僕はとりあえず1回やってみればいいと思ってます。その中でアンバサダーのありようも徐々に変化していくでしょうし。


・重大発表


川西さん「そうですね。その件についてここで発表させてください。これまでは限定的に募集していましたが、2024年1月31日の10時から日本でも大々的にコミュニティアンバサダーを募集します!

──おお!

川西さん応募条件はホームページにあるんですが、まずはすでに10名以上のコミュニティであること。また幅広い方を受け入れてくれること。そしてキャンプファイヤーに公開グループがあることも条件です」

──ふむふむ。

川西さん「不正行為をしていない等は先ほど申し上げた通りなんですが、ポケモン社やナイアンティックの知的財産を侵害していないことも条件です」

──知的財産の侵害とは具体的にどんな行為を指すのでしょう?

川西さん「たとえば許可なくポケモンやポケモンGOを使ったグッズを作って売ったりはしないでくださいということですね」

──なるほど。ちなみにアンバサダーの数の上限は設けていないんでしょうか? 2000人来ちゃったらどうしますか?

川西さん「もちろん無制限というワケではないんですが、気持ちとしては2000人なら2000人なっていただきたいと思っています。ただ先述の通り慎重に審査は進めますので、なかなかそうはならないかと……」

──あくまで募集条件は最低条件ということですね? 条件を満たしていれば絶対になれるものではないという理解でいいでしょうか?

川西さん「はい、そうですね。ただ大々的に募集するのは初めてですので、多くの方にご応募いただきたいです」


・今後の展望


──ですよね。全国にアンバサダーがいると色々と楽しそうですし。

川西さん「そうなんです。例えば旅先でアンバサダーがいないか? その人の開催しているイベントに参加できないか? そんな楽しみ方をしていただけたら嬉しいですね」

──そのためにはそれなりの数が必要ですね。

川西さん「個人的にはアンバサダーの方や参加者の方から話を聞いて、どうしたらよりみなさんにより楽しんでいただけるか模索していきたいですね。私自身も可能な限り現地に足を運ぶつもりです

──わかりました! アンバサダーが増えてトレーナーたちにいい出会いがあるといいですね。最後に齋藤さんから、今後アンバサダーとしてやりたいことがあればお願いします。

齋藤さん「そうですね。日本はもちろん世界中のアンバサダーとコミュニケーションを取りたいですね。例えば引っ越しをした方が1から出会うのって大変じゃないですか」

──そうですね。

齋藤さん「そんなとき、例えばカナダに行くという人がいればカナダのアンバサダーを紹介できるようなネットワークが作れたらいいですね」

──志が高い。でもアンバサダーになりたいなら齋藤さんほどではないにせよ、ある程度の志は必要だと思います。お二方、本日はどうもありがとうございました!


・来たれ、志ある者たち

いかがだろうか? コミュニティアンバサダーの概要をご理解いただけただろうか? 要するにリアルで人と人を繋ぐことを目的としたのがコミュニティアンバサダーで、大きな目で見ればポケモンGOをより面白くするための活動と考えていいだろう。

また、グッドタイミングでコミュニティアンバサダーの募集も開催された。我こそはという方は、ぜひ応募してみてはいかがだろうか? 齋藤さんほどガッチリした組織作りは無理でも、志があればあなたなりのアンバサダー活動ができるハズだ。

参考リンク:ポケモンGO公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:c 2016-2024 Niantic. c 2024 Pokemon. c 1995-2024 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
ScreenShot:ポケモンGO (iOS)

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