ゲーム配信って何が面白いの? VTuberが好きって話をすると今のところほぼ返ってくるこの質問。それもそのはず、41歳の私(中澤)は周りもアラフォーだらけ。その文化自体に馴染みがないのです

「リアクションが面白い」「わちゃわちゃしていて楽しい」とか言ってみてもいまいち伝わっていない様子。自分としても魅力を伝えきれていない気がしてモヤモヤ。

それももちろんあるんだけど、もっと感動したりしてるよな……。そう思っていた矢先、VTuber鷹嶺ルイさんの配信を見ていてハッとした

・ドラクエ6

VTuberの大手事務所「ホロライブ」に所属して配信活動をしている鷹嶺ルイさんは現在、ドラクエシリーズを順にクリアする配信を行っている。今の進捗は『ドラゴンクエストⅥ 幻の大地』で2024年1月21日に裏ボスのダークドレアムを倒し完全攻略したところ。

ドラクエ6と言えば、私世代の青春と言えるのではないだろうか。人生を描いて当時からすでに不動の名作の評価となっていた5から、「次は何をやるんだ」とめくったファミ通のページ。転職システムがパワーアップして復活するという情報が載っていた時のワクワクは今でも忘れない。あの頃のファミ通で書きたかった。

周りが田んぼの大きい電気屋のおもちゃコーナーに早起きしてオープンと同時に買いに行ったら5人並んでた発売日。今だと「5人w」だけど、そもそもオープン前の行列待ちを見たことがなかったから、知らない子が同じものを買いに来ていることに同士感を感じてテンションが上がったものである。「さすがドラクエや!」と。

・当時の子供の評価

でも、私の周りの本作の評価は5ほどじゃなかった。みんなが「面白い」と言う5に比べ、「おもんない」とバッサリ切る子もいたことを覚えている。「意味が分からない」と。

そんな当時の状況を覚えているのは私自身が本作を面白いと思っていたから。むしろ、ドラクエシリーズで1番好き。テリーとかバーバラとかキャラが立ってる上で転職で自由に成長させられるなんて最高。今では当たり前のことだけど、これができるようになったの6からなんです。

・思い出す当時の気持ち

ゆえに、鷹嶺ルイさんのドラクエ配信も「ついに6かあ」という感じでワクワクしながら見ていた。そうそう、「かえんぎり」や「ギガスラッシュ」などの魔法剣とか、武闘家みたいな近接格闘系職業でも特技を覚えるところとか、必殺技の豊富さにもときめいたなあ。

1つ1つの出来事に新鮮な反応をする鷹嶺ルイさんはまるで当時の私のよう。そうやって色んなことを思い出しながら見ていた配信もついに最後の最後。裏ボスのダークドレアムにたどり着いた時、「ドレアムってドリームじゃね?」というような疑問を口にするルイさん。

言われてみたら、確かに「dream」はドレアムって読めるな。ドラクエ6は夢の世界と現実の世界を行き来する物語なので最後の最後のボスの名前が「暗い夢」というのは説得力がある気もする。こんな小ネタが仕込まれていたとは。当時はゲーム性に夢中でそんなこと考えもしなかったなあ。

・エンディングで1人だけ異質なテリー

ダークドレアムを完全攻略した後の真エンディングも見るのは30年ぶり。そうそう、みんなそれぞれのコミュニティーに戻るエンドなのに、テリーは1人でダークドレアムに凸して向かい合ったところでスタッフロールなんよねー

ゲーム中でもひたすら強さを求めているテリー。エンディングでテリーだけ周りに人がいないことがちょっぴり寂しかったことを思い出す。「どんだけ強さ求めてるんだよ!?」とルイさん。うんうん、私もそう思った。エンディングでも1人で武者修行ってテリーだけ物語が終わってない感じするよね

やはり引っかかるところは同じ。ここまでは共感して見ていたわけだが、続くルイさんの反応でハッとさせられた。しばらく考察した後、ルイさんはこう言ったのである。「ダークドレアムのドリームってそういうこと!?」と。

・ドラクエ6の真のラスボスはテリー?

前述の通り、夢の世界と現実の世界を行き来するドラクエ6。夢の世界の住人は、現実世界の住人が「こうなりたい」と思った姿で存在する。

主人公たちにはそれぞれ夢の自分と現実の自分が融合するイベントがあるのだが、視聴者のチャットによるとテリーだけ夢と現実の融合がないのだそうな。そして融合する時はお互いが向かい合う……

つまり、エンディングのシーンは現実のテリーと夢のテリーが融合するところ……? 実は、この説はかなり有力なもののようで調べるといっぱい出てきた。今の今までただの武者修行だと思ってたァァァアアア!

・30年越しの感動

ドラクエ6の真のラスボスはテリーだった? ちなみに、ドラクエ6はドラクエ4の前の話というのは天空城が浮き上がるシーンがあることから子供でも分かったが、6のエンディングの後、テリーがエスタークになったという考察もある模様。

そう考えるとテリーの物語は本当に全然終わってなかったんだな。むしろここからが始まりなのかもしれない。力を求め続けたテリーが6から4の間で進化の秘宝を使って人間やめてるとか行間深すぎるだろ!

ドラクエ6がこんなに考察できる内容だったとは。当時「意味が分からない」と言っていた子たちは、この辺りのストーリー中ハッキリ語られてないけど伏線だけがある部分に意味が分からないと言っていたのかもしれない。

とは言え、当時はネットもなかったし、中学1年生1人でこんな領域にたどり着けるわけがない。大人になってネットも普及したからこそたどり着けるものである。ゲームは同じなのに、30年越しに全然別種の感動に出会った。

・再発見

この出会いはドラクエ6が名作ということはさることながら、鷹嶺ルイさんが配信をしてくれたからこそである。当時60時間くらいプレイしたゲームをもう一度新鮮に見ることができ再発見できる。これはゲーム配信の魅力の1つと言えそうだ。

「ゲーム配信って何が面白いの?」という人は気になったらハマったゲームの配信を見てみるべし。ひょっとしたら、知らなかった感動に出会えるかもしれないぞ。そんなわけで鷹嶺ルイさん。私が挫折したドラクエ7の配信も楽しみにしております。

執筆・イラスト:中澤星児

▼ファンアートを描いてみました。ドラクエ7も楽しみにしてます!

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