職場の忘年会と言えば面倒くさいものの象徴だ。上司がいるおかげでガチの愚痴は言えないのに、そんな上司は飲みニケーションを求めてくるのである。酒も好きではない私(中澤)は、これまで属した会社の忘年会全て顔を出す程度で帰ってきた。

付き合いでしかない。だが、顔を出さないと角が立つ。こんなことに何の意味があるのか? 時間がもったいない。ずっとそう思っていたが、ロケニュー忘年会は叙々苑とか普段行けない店に行けるところで楽しめたのに。サイゼリヤだって!?

・ウマイけども

私は酒が飲めないわけではない。では、なぜ好きではないかと言うと、20代の頃に酒による失敗をしすぎたからである。その失敗については今でも思い出すだけでヘコむのでここでは語らないが、要するに酒に酔った自分が軽いトラウマなのだ。

なので、酒の席でも飲まないことが多いのだが、昨年末、上司のYoshioが忘年会をやるというので行ったらサイゼリヤだったことは以前の記事でお伝えした通り。

想像してごらん? 仕事をそれに向けて頑張って切り上げて行ったらサイゼリヤに連れて行かれた時の気分を。いや、サイゼリヤはウマイよ。でも年末の歌舞伎町のサイゼリヤだから混み具合ヤバイんだわ。普通に行列で、いつ空くか分からないんだわ。

・唯一良かった点

Yoshioよ、ネタにしてもダルすぎるだろ(真顔)。貴様は休みかもしれないが、こちとら仕事納められてないから明日も出社やねん。忘年会の無意味さここに極まれり。こんなの飲まずにいられるか!!

私がいるテーブルでは全員がYoshioにブチギレていた。前述の混み具合でテーブルが強制的に別になり、くしくも上司の愚痴を言えるようになったことは、この忘年会において唯一良かった点と言えるだろう。

・集合写真の真実

ゆえに、忘年会の記事で掲載された集合写真の表情には人間性が出ている。はからずも1枚の画像で性格診断が可能になっているのだ。

あひるねこ記者は特にブチギレていたのにもかかわらず、爽やかな笑顔なことに虚実を感じずにはいられない。この大嘘つきが! 嘘つきは泥棒の始まりって言葉を知らんのか!!

と、一旦ディスってみたが、仕事を転々としてきた私としては、周りに合わせられるって本当に凄いと思う気持ちもある。むしろリスペクトすべきことだ

そもそも、自分が感じる正義がその時本当に正しいのかは後になってみないと分からないことの方が多い。ならば、自分の気持ちを通すよりも、人を嫌な気分にさせない方が人間としてできてる気もするのだ。それらを加味すると性格診断は以下の通りになる。

・納得できなさすぎたので

いずれにしても人生に迷っている者たちの集まりであることが判明した。さすがは迷子の和才雄一郎が副編集長を務める集団だけある。

編集長GO羽鳥の記事には記載されていないが、サイゼリヤ忘年会終わりの時点でもブチギレている人が多数いたことはご理解いただけただろう。ゆえに、気づいたら2次会に突入していた。納得できなさすぎたのである。だがしかし、ここで想定外の事件が起こった

・あひるねこ「帰れない」

なんと、あひるねこ記者がベロンベロンに酔っぱらっているではないか。千鳥足すぎて真っすぐ歩けなくなっているあひるねこ。それどころか「帰れない」か「帰らないぞ」しか言わない。

いや、厳密にはたまに発する他の言葉は呂律が回ってなくて聞き取れないのだ。まるでそういう鳴き声の生物であるかのように。その様子は猫というか犬。普段の様子が外出時の犬だとすると、今は家の中でデレデレに溶けている犬である。鳴き声も崩壊してる感じ。

とは言え、前述の通り、私も20代の頃はこういう酔っ払い方してたんだよなあ……。近鉄布施駅の改札で力尽きて寝た時の寒さや、新宿LOFTでゲロ吐いた時の申し訳なさ、下北沢ClubQueの階段で寝た時の体の痛さが脳裏をよぎる。こんなに楽しそうなのに起きて誰もいなかった時のあのみじめな気持ちを味わわせるのはかわいそうだ。

とりあえず、線路に落ちないように私が線路側に立ち肩を支えてホームまで送り届けたのだが、ここで帰ったら駅で寝てもおかしくない雰囲気である

・なぜか頑なに帰らないあひるねこ

そこで私の家とは真逆の方向なのだが新宿からJR中央線に連行する形で一緒に乗った。この時点で23時過ぎくらいだったのでまだ中野で折り返したら帰れる。電車の中でも「帰れない」と言いだすあひるねこ。それはこっちのセリフやっちゅうねん

適当に誤魔化して中野で降りたところ、なぜか一緒に降りてくるあひるねこはああああああ!? 帰れやァァァアアア

・酒クズ

酔っ払いを甘く見ていた。私も腹をくくるしかない。あひるねこは飲み屋を希望したが、どうせオールだしあひるねこを寝かしつけたいので、椅子がしっかりしているカラオケをチョイス。

帰りの方向が同じだったGO羽鳥と中野で折り返すつもりだったシステムのかわらのも付き合ってくれて4人で駅前のカラオケに入った。まさかこのメンバーでカラオケに入る世界線があろうとは。


そこからはもうヤケクソだった

深夜1時頃、白目を剥いて椅子から滑り落ちそうになっているあひるねこを見て思った。「まさか酒クズがネタじゃなかったとは……」と。

退出時間の5時前に起こしたところ、やっと外向きの顔に戻るあひるねこ記者。カラオケから出て、それぞれの帰路につく。あひるねこは西へ、私は東へ。夜明け前のJR中野駅の光に照らされる彼の横顔を見た時、こう思わずにはいられなかった。なんで我々、中野でオールしたん

・職場の忘年会を朝までやった結果

こうしてあひるねことの謎の夜は終わりを告げたわけだが、実は最後の衝撃はこの後にやって来た。帰宅して即、ベッドにダイブ。目が覚めたらスマホの表示は13:40。ん? 13時40分……

今日……仕事だった……。


昨日仕事が納まらなかったので11時に出社する予定だったのだが普通に寝ていた。さらにチクチクと湧き上がってくる昨日の勢いでの発言への後悔。私も酔っぱらっていたんだろうな。まるで昨日がつきまとってくるようである

・一方

というわけで、職場の忘年会は朝までやると全然忘年できないことが判明した。ただ、後悔ならあひるねこの方が大きいはず。そう思ってあひるねこのSNSを見ていたところ……

めちゃめちゃ温かいパパ投稿してるぅぅぅーーーー!!!!


昨日の出来事は夢だったのだろうか? それほどにピシッとしたパパになっていてなんかヘコんだ。いや、良かったんだけどね。無事で。俺ってヤツはなんてダメなヤツなんだァァァアアア!

・アラフォーはもっと大人だと思っていた

アラフォーってもっと大人だと思ってたな。昔、40代の親に感じていた大人度よりも、自分ははるかに子供な気がする。しかし、昨日一緒にぐでんぐでんになっていたあひるねこのパパ的投稿を見ると、こうも思った。「あの時の親も同じことを思いながら頑張ってたのかもしれない」と──


昼間のねこはちょっとちがう


昼間のねこは光ってる


昼間のねこはいい汗かいてる


昼間のねこは──


男だぜ


まあ、年一くらいなら介抱してあげよう。なんか損な役回りな気がしたことはさて置き、元を正せば忘年会をサイゼリヤにした上司のYoshioが全部悪い。だから私にはこれくらい言う権利があるのではないかと思う。Yoshioよ、来年の忘年会はホテルのディナーを所望する。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.