ジャンボ! アフリカはケニア在住、無類のポテト好きとしてポテト評論家を名乗ったりもするカンバ族のチャオスです。
先日、ちょっとビックリすることがあった。なんと2人の娘のほうから「お父さん、ポテトが食べたい」と言い出したのだ。
前回行ったKFC(ケンタッキーフライドチキン)のポテトがよほど美味かったのか、「おかわりポテト」を懇願してきたのだ。
娘たちの真剣な眼差しに心打たれた父のオレは、“なにごとも経験” ということでポテト屋さんに連れて行くことにした。
ポテトファミリーである我々が今回赴いたのは、モンバサ・ロード沿いにある「バックヤード・レストラン」だ。
レストランに入ると、スタッフはとても親切に我々を歓迎してくれた。そして「ポテト3つ」とシブくオーダー。
ところが!
スタッフ「いま、揚げ物用の鍋に入っている油が冷えすぎているので、温め直してからポテトを揚げます。なので完成まで20分ほどかかりますが……」
──と。
「はい、そうですか。大丈夫です」と私はオーダーを通した。あくまでも我々ポテト家族の目的はポテトなのだから。
しばらくホケ〜ッと座りながら待っていると、突如、しっかり者の長女がこんなことを言い出した。
長女「お父さん、油を見に行こう」
「映画を見に行こう」とか「海を見に行こう」とかならまだわかるが、自分の娘の口から「油を見に行こう」という言葉が出てきたことにオレは深く感動した。
そして娘たちとオープンキッチン的な調理場の鍋の中の油を確認しに行くと、その油は、あまりにも黒いようにオレには見えた。ひどく濁っている。決して新鮮な油ではないなと。
そんな濁った油から娘のほうに目を移すと、娘もまた濁った表情をしていた。
だが、「終わりよければすべてよし」ではないが、ポテトは「うまけれりゃすべてよし」でもある。いくら油が悪くても、激ウマに揚がる奇跡もある──
と思いきや、ポテトから良い香りは一切せず、ド〜ンと重ったるい油の香り。そして、ポテトには “黒い粒子(たぶん油の中に入っている揚げカス)” がたくさん付着していた。
子供たちは言った。
「これは良いポテトではないね」
食べる前に、見ただけで断言した。
そして我々がポテトを食べ始めると、またも子供たちが信じられないことを言い出したのだ。
長女「このポテトは、このままでは勝負できない。いろいろ何かを足さないと正直きびしい。なので私はトマトケチャップを足して、美味くなるか確認したいと思う」
“確認するためにトマトケチャップ” とは、なんという自己犠牲。本当に長女の責任感と探究心には親であるオレですら感心しきりだ。
しかし!
長女「だめだ。トマトケチャップが軽すぎる。これはまるで、水のよう」
トマトケチャップを “軽い” と表現する我が娘。一体どこまで彼女のポテトレベルは上がっていくのだろう。成長期とは恐ろしい。
けっきょく我々3人は、なるべくトマトケチャップがかかってない部分かつ、“柔らかく揚がっているポテト” だけをチマチマと食べて、あとは残した。
価格は1皿100kes(約90円)なので、合計300kes(約270円)の支払いだけど、正直オレはなんとも言えない気持ちになった。
娘たちに「美味いものを食べさせたい」という気持ちと、「世の中そんなに甘くない」ということを教えたいという気持ちが入り混じった、とても複雑な感情である。
娘たちは「もうこの店には二度と行きたくない」と言っていた。不幸中の幸いだったのは、こんなに危なげなポテトなのに、何も体調の変化(悪化)が無かったということ。
下痢で苦しむ娘の姿は見たくない。ポテトで悶絶するのはオレひとりで十分だ。なので今後もオレは一人で「安全かつ安いポテト」を探し続けなければならない。
娘たちがポテトに興味を持ってしまった今となってはなおさらのこと。
クワヘリ!
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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