男には、角煮を食わずにいられない時がある。ホロホロに煮込まれた肉を噛むとあふれ出す肉汁と割下……全てを優しく包み込む角煮の柔らかさが必要な時が。私(中澤)にも先日その時がやって来たため、食べログで角煮がめぼしそうな店を探していたところ、角煮丼専門店なるものを発見した。
その名も『くろしろ』。どうやら高田馬場にあるようで、2023年10月6日現在、東京に絞って角煮丼屋で検索するとヒットするのはこの1軒のみとなっている。
東京唯一の専門店なんて期待せずにはいられない。だが一方で、角煮が筋っぽかったり固かったりすると残念すぎる。そこで至急、角煮の確認に行ってみた!
・角煮丼専門店を確認
高田馬場と言うと駅前のイメージが強いが、『くろしろ』は駅前から坂を上って東中野方面に歩いた神田川の近くにある。人ゴミが消えて学生街の気配も薄れる頃、ふと見えたのは年季を感じるアルミサッシの引き違い戸。色褪せたビニールの軒には店名も書かれておらず、旗が立ってなかったら飯屋ということも分からなかったかもしれない。
とは言え、店頭には看板も出ており、確かにここが『くろしろ』であるようだ。中に入ってみると、メインのメニューは「角煮丼定食(税込1700円)」と「特上角煮丼定食(税込2800円)」の2種類のみで、他はドリンクかトッピングなどのオプション。角煮丼専門店であることも確かな模様。
・角煮の大きさを確認
価格を見ると安いわけではないので、満足度を重視する店というのが伝わってくる。では、その満足度とは何かというと、角煮でこの価格設定の場合、量とウマさどっちもないとダメかもしれない。
いくらウマくても細かい角煮でご飯が見えてたりしたら残念だ。ワシャかぶりつきたいんや。というわけで、まずは量の確認。特上角煮丼定食を注文してみると……
デッッッッカ。
横にデカイだけでなくぶ厚いのが凄い。そのぶ厚さは厚切りという表現では余って肉塊オーラすら出ている。そんなぶ厚すぎる角煮が2つ連なったら山脈みたいだ。丼の上に角煮山脈がそびえ立っている。
量的には十分と言えた。むしろ、普通の角煮丼定食で良かったかもしれない。角煮丼定食の項目をよく見たら1本200gって書いてるし。
・柔らかさを確認
あまりのサイズ感に思わず満足しかけてしまったが、まだだ。ぶ厚いゆえに、これで固かったら肩透かし感も半端じゃない。そこで角煮を箸で持とうとしたところ……な、なんやと!?
プルンプルンだァァァアアア!
ちょっと箸が触れただけで肉が揺れる!! さらに、箸でつまんでみると、ホロホロとめり込んでいく。この分厚さでよくぞ……そう思えるくらい簡単に箸で切れた。かぶりつくと、言うまでもなく柔らかい。
我々はいつだって退屈している。油断したら「なんか良いことないかな」と思ってしまう。だが、見ろ。幸せは今ここにあるじゃないか。口の中でトロける『くろしろ』の角煮の味に大切なものを思い出させられた気がした。
・店長を確認
世界はちょっとしたことでいとも簡単にひっくり返る。私にとって角煮とはそういうものではなかったか。この気持ちを忘れた時に確認しに来たい店である。
なお、店長さんに話を聞いたところ、『くろしろ』は今のところここ1店舗だが、来月辺りに高田馬場にもう1店舗新オープンする予定があるのだとか。営業時間は11時30分から14時(13時30分)と昼の間の間借り営業。学生の胃袋を支える店の1つになるかもしれない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 角煮丼屋くろしろ
住所 東京都新宿区高田馬場3-37-2-1F
営業時間 11:30~14:00(LO13:30)
定休日 月、水
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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