ラーメンの容器を手に持った瞬間、違和感を覚えた。アツアツじゃなかったのだ。どういうことか、勘のいい読者はお気づきかと思う。アツアツのスープだと、テイクアウトや配達の場合は “麺が伸びる問題” が常につきまとうが、適度に冷めてたら心配無用。そういうことだ。すごいぞ、これ。

──と、食べる前からお店側の配慮に心が惹かれたのだが、工夫はそれだけじゃなかった。まだまだあったのだ。たとえば……


別添えの「追い水」とでもいうべき小袋。食べる直前に封を切って投入して、麺と一緒に混ぜて食べるらしい。そうすることで、麺がいい具合にほぐれるから、食べやすい。


また、麺は “ちょい濃い目のスープ” と一緒に入っており、水を入れたらちょうどいい濃さになる仕組み。ってことは、水を投入するまでの間、麺は濃いスープにつかりながら、その旨味成分をしっかりと吸収することになる。

さらに……! そのお店(旨辛ラーメン表裏 高田馬場店)では『唐揚げ』が名物の1つなのだが、私が持ち帰った『TKM(卵かけ麺)』には「蒸し鶏」が乗っていた点にも注目したい。


お察しの通り、唐揚げだと時間が経つと脂がしみ出てくるため、麺やらスープがギトギトになりかねない。しかし蒸し鶏であればその影響は少なく、時間の経過による味の変化を比較的抑えられる。完璧だ。まだ他にも工夫が隠されているのかもしれないが、私が気づいた範囲だけでもお見事である。


・実食

口に入れる前から完全に心を掴まれてしまったところで、実際に食べてみることにしよう。麺を混ぜて すすると……やや太い麺は十分にコシを保っていながらモチモチ。スープは醤油ベースのやや甘系だ。そこに燻製の煮玉子が絡んでくる。これ以上ないほど、絶妙なマッチングである。


先ほど、「アツアツじゃなかった」と書いたが、冷麺の味とは全く違う。ハンバーガーで言えばテリヤキのような風味で、みんなが好きなヤツ。学生街にあるお店だけに、人気を集めていることは想像に難くない。しかもお値段は600円。味を考えたら、コスパは相当に良い。


・いつから始まった?

ちなみに、お店の人に「持ち帰りのサービスって、いつ頃から始められたんですか?」と聞くと……


「大体2週間くらい前ですかね」


──とのこと。ちょうど、「緊急事態宣言はいつ出る?」という空気が漂い始めた頃だ。そんな時に始まった持ち帰りサービス。言うまでもなく、新型コロナウイルスの影響を考えて講じた対抗策で、状況を考えたら十分な準備期間があったとは思えない。にもかかわらず、この完成度。すごい……。


・他にも持ち帰り弁当が

あともう1つ言っておくと、そのお店「旨辛ラーメン表裏 高田馬場店」では、『TKM(卵かけ麺)』の他に『担冷中華麺』『肉ネギ丼』『蒸し鶏丼』と合計4種類の持ち帰り弁当を展開中。価格はどれも600円だ。ほかにも、唐揚げが名物のお店だけあって旨辛チキン(ハーフ200円)なんかもテイクアウトできるらしい。


私は、上で紹介した『TKM(卵かけ麺)』の他に『肉ネギ丼』も食べたのだが、これもまた美味。唐辛子が振りかけられているものの、決してピリピリする辛さではない。“甘ピリ” という感じだ。


この辛さも、辛いものが苦手な人が楽しめるための気遣い……かどうかは分からないが、持ち帰りに施された工夫を見ると、どうしてもそう思ってしまうのだった。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 旨辛ラーメン表裏 高田馬場店
住所 東京都新宿区高田馬場2-14-27 花富士ビル1F
時間 2020年5月6日までは10:00〜21:00(L.O20:30) 通常は11:00〜23:00(L.O22:30) ※スープがなくなり次第終了

参考リンク:Twitter @Hyouri_Mega
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼席数を減らすなどの対策をした上で営業している。

▼お店のTwitterアカウントでも持ち帰りお弁当の情報が発信されるから、テイクアウトしたい人はチェックするといいかも

▼お店のTwitterを見たら、お弁当は3月25日から始まったようだ

▼『TKM』。水を入れてもスープの量は少ないため、イメージとしてはラーメンと油そばの中間のような感じ

▼こちらは『肉ネギ丼』。容器はレンジ対応だから、冷めてもレンチンすればいい。

▼『TKM(卵かけ麺)』と『肉ネギ丼』

▼ごちそうさまでした!

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