ついに行ってきた──。いつか行ってみたいなぁとは思っていたが、まさか本当に行ける日が来るとは。いやー、行ったなー。どこへって? 決まっておろう。静岡県が誇る最強ハンバーグチェーン「さわやか」にである。

店舗によっては数時間待つこともあるというファミレス界のオリエンタルランド・さわやか。きっと夢と魔法と肉汁に満ち溢れた場所に違いない。パンパンに膨らんだ期待と共に、人生初入店を果たした私(あひるねこ)……であったのだが。

結論から述べると、ハンバーグを食べずに帰りそうになった。

・念願の初さわやか

その日の静岡はとんでもない豪雨で、行列どころか店内は超ガラガラ。お客よりも店員さんの方が多いくらいの勢いであった。同行した上司のYoshioは、すでにひとっ風呂浴びたような状態になっている。

・攻略マニュアル

さて、それでは看板商品の『げんこつハンバーグ』(税込1265円)を注文するとしようか。先述した通り人生初さわやかの私であるが、実はここに来る前に万全な予習を済ませてきた。

生まれも育ちも静岡だという当サイトの記者・まろ女史による昨年の記事「さわやか歴15年が教える 最高に美味しい『げんこつハンバーグ』の食べ方」によると、さわやかは……


店員さんに焼いてもらう

ハンバーグを鉄板から避難

半分にオニオンソースをかけてもらう

もう半分に塩コショウをかける


これが必勝法なんだとか。なるほど、初心者には少々タスク過多であるが、熟練のさわやか師が言うのだからここは従うべきだろう……


つーか何だよこれ!

でっか! もはや武器やん!! 食器を飛び越えて装備の類である。とそこへ、ジュージュー唸る鉄板を携えた店員さんが登場。巨大なフォークとナイフ? を手に持ったかと思うと……


う、うわーーーーーーー!!


ほぼ球体のハンバーグを見事に一刀両断。その断面を手早く鉄板に押し当て始めたではないか。は、早ぇ……! 一瞬で終わってしまったぞ。


続けて「ソースをおかけしてもよろしいでしょうか?」と聞かれたので、勇気を出して「半分だけお願いします」と注文した。ド素人なのに申し訳ない。が、快く対応してくれる店員さん。さあさあ、ついに完成だ!


これが噂の『げんこつハンバーグ』か……!!


おっと。感動に浸る前に、まろ女史の指示通りハンバーグを鉄板から避難させなくては。なんでも「そのまま放置しておくとどんどん熱が通って肉が固くなってしまう」んだとか。野菜の上に乗せ、少し浮かせる形で鉄板から離した。


よーし、それではいただきまーす! 真ん中からナイフでザシューーーーッ!! 待望の初さ・わ・や・か・だァァァァアアアア! ところが、次の瞬間だった。


え!?


いや……さすがに赤すぎね?



・驚きの赤さ

そう、こんがり焼き上がったハンバーグの内部は、ちょっと赤いどころかほぼ真っ赤っか。これもうネギトロやないか! こんな赤いままで食べて本当に大丈夫なんか?


実家だったら母さんがマッハで全品回収するレベルである。まろ女史よ、先ほど急いで鉄板から避難させたが、果たしてあの行為は正解だったと言えるんですの? ちなみにさわやかのホームページによると……


「さわやかのハンバーグに使用する原料肉は、牛肉100%で、微生物リスクの高い鶏肉や豚肉等は使用していません。

また、使用する牛肉は、全てブロック肉で、大腸菌等の病原体の付着リスクの高い内臓や端材等も使用していません」


──とのこと。店員さんが肉汁たっぷりの最適な状態に焼き上げてくれたので、もちろんこのまま食べてOK。むしろこれが最高のコンディション……なんだろうが、それでもどうしても躊躇してしまう理由が私にはあった。


実はですね我々、明日の朝イチで大事な仕事があるんですよ。そもそも今日は明日のための前乗りで来たんです。だから寝坊なんてもってのほか……という状況の中、人生最強クラスの超レアハンバーグを食べる勇気ありまっか? 正直、マジで怖ぇ。



・食べてええんか?

もはや鉄板に押し当ててどうにかなるレベルの赤さではないので、私は誇張抜きに食べない方が無難なんじゃないかと薄っすら考えていた。朝起きたら腹痛で動けないなんてシャレになりませんからね。ところがだ。Yoshioの方をチラっと見ると……


普通にめちゃめちゃ食べていた。

「うめ~~~~」と幸せそうな鳴き声を上げるYoshio。これでも当サイトの一番エライ人である。だったらええわ! と、私も急いでハンバーグにかぶりついたところ……ほほう、なるほどなるほど。ふむ、なんというか……


今まで食べたハンバーグの中で一番ウマいな。


改めて、超ウメェェェェエエエエ! 肉肉しいとか、そんな生易しいものではない。もはや肉という概念そのものである。こんなダイレクトに喉元まで迫って来るハンバーグにはお目にかかったことがないぞ。

・未体験ゾーン

ステーキとは違った濃厚な牛肉の旨みと甘みは、まろ女史の言う通り、塩コショウで食べることによってさらに増幅される。なんなら塩コショウすら不要だ。下味だけでマキシマムに美味&美味に。

これと比べると、今まで食べたファミレスのハンバーグはすべてソースの味と雰囲気で本質をぼかしていたように思えてしまう。それくらい次元が段違いなのである。



もちろんオニオンソースの方も激ウマだ。またまた まろ女史の言う通り、熱を通してある程度ソースを煮つめた方がよりおいしく感じられた。は~、ウマい。そして、マジでタメになる記事だったな。読んでてよかったロケットニュース。

・最強だった

その尋常ではない赤さゆえ、一時は口に入れることすら躊躇った さわやかの『げんこつハンバーグ』。しかし今になって思う。勇気を出して食べてみて本当によかったと。隣で「うめ~~~」と鳴いていたアホの上司に心から感謝である。

ちなみに、翌朝になっても私のお腹は無事でした。目覚まし時計よりも早く目覚め、文字通りさわやかな朝を迎えることに。なぜ人は数時間並んででも さわやかを食べるのか? 長年の疑問が春の雪解けのように解決した瞬間であった。絶対また行きます。

参考リンク:炭焼きレストラン さわやか
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
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