
インターネットが発達した現代。旅の情報検索はずいぶん楽になったが、海外旅行になるとやっぱりガイドブックがあった方が安心だ。そんな旅行ガイドブックにおいて世界でシェア1位を誇るのが『Lonely Planet(ロンリープラネット)』である。
世界中の地域を特集しているため日本編もあるわけだが、これは当然、日本を訪れる外国人向けに書かれたもの。はたして、海外向けの旅行ガイドブックの「東京編」には何が書かれているのか?
・13版
ロンリープラネットの東京ガイドである「TOKYO」の最新版は、現状2022年1月8日に発売されている13版。価格はAmazonで税込み2721円であった。ちなみに、2024年3月19日には14版が発売されるらしい。
パラパラめくってみると、新宿、渋谷、原宿、浅草などの地域や食べ物、観光地などの説明が書かれている。親切に感じたのは「Daily Costs」として1日にかかる大まかな金額が書かれていること。
海外だとぼったくりも怖いし、ホテルが大体いくらくらいかかるとかの感覚は1番知りたいところかもしれない。少なくとも、私の数少ない海外経験ではそうだった。会計する時が1番緊張する。話さないといけないし。
・参考になる
話すといえば、覚えておくと便利な日本語文章がローマ字で書かれているのも親切だ。例えば「How do I get to…?=~へはどう行けばいいですか?(e wa dō i・ke・ba ī des ka)」など。それにしてもローマ字で書かれると、日本語の発音ってマジで難しそうである。日本人の私でも英語より読みにくい。
また、ツアープランの例なども書かれており、個人でもプランが組み立てやすそうだ。海外だとポイント間が歩いて行けるのかも分かりづらいからなあ。初心者目線で言うと、サラッとこういうの書いていてくれるのは助かる。日本人が読んでも、そこまで突飛ではない内容だ。
……と思いきや、細かく読んでいくと衝撃の記載を発見してしまった。多分、異常に気付いたのは、私がバンドマンだからだと思う。なぜなら、それは「東京のベストライブハウス」という項目だったからだ。
・バンドマンが見るベストライブハウス
普通の人は読み飛ばすだろうこの項目。だが、バンドマンゆえにベストと言われたらどこなのかが気になった。東京のライブハウスってそれこそ星の数ほどあるからな。そこには4つのライブハウスが記載されている。まずは、代官山ユニット。
なるほど、ユニットか。キャパが600人と広めで、下町のライブハウスとは一線を画している雰囲気のある場所だ。私からすると出たくても出られないステージで、ここをワンマンとかイベントとかで埋めるバンドには勢いを感じる。ミュージシャンにとっては登竜門みたいな位置づけと言えるだろう。ベスト4に選ばれるのも納得だ。
続いて、記載されているのは渋谷クラブクワトロである。これも納得。老舗だし、有名だし、何よりそのステージを目標にしているバンドマンも多いライブハウスだ。私からしても憧れのステージと言える。
3つ目は渋谷WWWだ。なるほどなるほど。この流れで来るならさもありなん。どれも広さを含めて入りにくさみたいなものはない余所行きの顔が仕上げられているライブハウスである。今月の予定にはポルカドットスティングレイとかフレンズもいるし、フェス好きがちょっとライブハウスにでも行こうかとなると足を運ぶのはこの辺りになるだろう。
・トリは
選定にアングラライブハウス好き以外も楽しめるような客観的視点が感じられる。となると、4つ目はduo music exchangeか? それとも、Spotify O-EASTか? そんな東京ベストライブハウスの4つ目に記載されていた名は……
下北沢Three!
下北沢Three!
下北沢Three!!!!!!
嘘やろ。バンドマンならこの流れで下北沢Threeが出てきたらみんなビビるに違いない。Threeで働いている人でもビビると思う。なぜなら、下町ライブハウスの多い下北沢の中でも庶民的なイメージが強いライブハウスだからだ。だって入口これやぞ。
ライブハウスというより薬局の裏口である。キャパは一応170人だけど、Threeに170人も入ったら柱の後ろとかステージが見えない人も結構出てくるのではないだろうか。なぜ私が入り口とか雰囲気まで知っているかと言うと、同じ場所に並設状態の下北沢BASEMENTBARに出たことがあるから。
・2010年代の下北沢
当時、その界隈ではTHEラブ人間とかが勢いがあった。前出のフレンズのボーカル・えみそんもまだTHEラブ人間でベース弾いてたし、現Awesome City ClubのatagiくんがBASEMENTBARでブッキングをやっていて、今度対バンしようね的な話をしたことを覚えている。実現はしなかったけど。
考えてみれば、フレンズもAwesome City Clubも今となってはフェスを盛り上げているメンツ。ユニット、クワトロ、WWWと並ぶとビビってしまうが、2010年代のBASEMENTBAR/Threeからは確かにカルチャーが生まれていた。
そんなカルチャーの濃さを感じ取って、東京ベストライブハウスに選んでいるのだとしたら、ロンリープラネットのリサーチ力はヤバイ。なんでもライターのレベッカ・ミラーさんは東京在住らしいが、こんなの住んでるだけじゃ分からないぞ。さすが世界シェア1位のガイドブックと言えるだろう。
参考リンク:Amazon
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
中澤星児












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