恐らく最も人類からの人気を獲得しているハクトウワシカップルの1つ。それが米カリフォルニア州のビッグベアバレーに住む、ジャッキー(雌)とシャドウ(雄)。

彼らは飼われているわけではなく、野生のハクトウワシだ。しかし巣にはカメラが設置されており、YouTubeの生配信で様子を見ることができる。現在(2023年2月17日)、順調ならいつ孵化してもおかしくない時期に入った卵を世話している最中だ。

・これまでの展開

カメラを設置、管理するFriends of Big Bear Valley(FOBBV)によると、ジャッキーとシャドウによる最初の子育てが確認されたのは2019年の春(ジャッキーは2018年まで別の雄とつきあっていた)。

その年にジャッキーが産んだ2個の卵はどちらも無事に孵化したが、2羽の雛のうち1羽は寒さに耐えきれず死んでしまったもよう。しかし生き残ったもう1羽は夏に無事に独り立ちに成功。

続く2020年はうまくいかなかった。ジャッキーが産んだ卵は、通常なら生まれているであろう期間を過ぎても孵化しなかったのだ。カップルもそのうち卵を見限ったそう。

2021年も、あまりいいとは言えない展開が続く。ジャッキーは1月に最初の卵を産んだが、なぜかその日は2羽とも巣を放置しがちだったらしい。翌朝にやってきたカラスに卵を割られてしまったのだ。ジャッキーは数日後にもう2個卵を産んだそうだが、それらも駄目だったもよう。

しかし2月に産んだ2個の卵は、カップルによって熱心に世話をされた。そのおかげか1つ目の卵からは雛の鳴き声が聞こえるようになるまで進展がみられたのだが……完全に孵化する前に雛が力尽きてしまったそう。そして2つ目の卵も十分に成長せず。つまり、2021年も全滅だったのだ。

ジャッキーとシャドウもこの展開にはショックを受けていたようだが、数日後には立ち直った(Though the loss of the eggs seemed to impact Jackie and Shadow, they recovered over the next few days)とFOBBVの公式HPに書かれている。

この年の悲劇的な展開は全米の涙を誘ったようで、これまで以上にニュースになった。日本語でもネットニュースで報じられるなど、この2羽のハクトウワシの知名度が飛躍的に高まるきっかけに。

2022年はカップルにとって、久しぶりのいい年となった。1月の終わりにジャッキーがいくつかの卵を産んだところ、そのうちの一つが孵化に成功! スピリットと名付けられた雛は順調に育ち、5月の終わりに巣立ちを迎えた。



・そろそろ

そしてやってきた2023年。ジャッキーは1月11日に最初の卵を、1月14日に2個目の卵を産み、シャドウと共にカメラの前で絶賛抱卵中。孵化までにかかる期間はおよそ38日から43日程度らしいので、最初の卵はもういつ雛が出てきてもおかしくない。

私も数日前から中継を流しっぱなしにして見ているが、卵を放置する時間が長い時があるような気がしなくもないのが心配だ。(カップルの名誉のために書いておくが、常に放置しているわけではない。)

はたして今年は無事に孵化するのか? そして独り立ちまでもっていけるのか? 今後の展開に注目したい。

参考リンク:Friends of Big Bear ValleyYouTubeFacebook
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼こちらが巣のカメラ。昼間はカラーで、夜は白黒(たぶん赤外線撮影)になる。夜はどちらかが夜明けまで、だいたい寝ながら抱卵し続ける。

▼こちらが少し離れたところから写しているカメラ。交代のタイミングなどに、巣の近くの枝で2羽がイチャつく様子が見られることがある。