正月。田舎へ帰省してみるのだが、何もやることがなくて結局イオンに来る。田舎のイオンはノスタルジックで牧歌的な空気が充満していて、特に用事はなくとも訪れる価値のある場所だ。
とはいえガチで用事がないので、イオン探索は30分ほどで終了した。こうなったらゲーセンで時間をつぶす以外に何ひとつ道はないだろう……。
・クレーンゲーム多すぎ問題
ところでゲーセンにおける “クレーンゲームの占める割合” が年を追うごとに増えてきている気がするのは私だけだろうか?
たまにトライしてみることもあるが、昔と違って100円や200円で景品が取れるケースはほぼ無い。むしろ最初の100円や200円は「マシーンの動きを確認するための捨て銭」扱いであり、景品をアームで持ち上げるというよりは “ちょっとずつずらす” スタイルが主流のようだ。夢があるんだか無いんだかよく分からんな……。
そんな中、ふと目に止まった景品がある。中身はビーフシチューらしいのだが、そのキャッチコピーというのが……
『日本一のビーフシチュー』!!!
う〜む、ここまで潔く言い切るパターンも珍しい。有名ブランド和牛(神戸、松阪、宮崎)を使用したビーフシチュー『極(きわみ)』は、なんとアミューズメント専用景品とのことだ。さすが日本一のビーフシチュー、一筋縄では食べられないというワケなのか。
・タイミングの重要性
ひとまず初心者ながら、このゲームの難易度を探ってみることにしよう。
仮に景品を掴めたとして、アームが景品を落とすのは出口と別の中間地点らしい。ただし『極』の容器は卵のような楕円形で、うまくすれば下段へ転がることが予想される。
あとはボウリングの要領でぶつかった景品同士が、勢いよく出口に落ちる……という仕組みだ。近年のクレーンゲームの中では比較的イージーな仕様であり、運が良ければ一発ゲットもありえるかもしれない。さっそく私は一旦マシンを離れ、両替機で100円玉を調達した。
で、意気揚々と戻ってみたら……
さっきと景品の位置が全然変わってるゥゥゥウ!!!!!
あわてて店員さんにたずねたところ、さきほど私が見たのは “前の人が複数回プレイした後” の状態。客がマシンを離れた後は、定期的に元の位置に戻すルールらしいのである。クソッ、タッチの差でめちゃくちゃ難易度が上がってしまったぞ……!
・それでも獲るしかない
仕方がないので私は正攻法で『極』を狙うことにした。
予想通り、アームに景品を持ち上げるだけのパワーは無い様子。
しかし倒れた景品はコロコロとよく動き、3回目にして1つを中段へ移動させることに成功した。
5回目で2つが下段へ。あとは景品同士の “ぶつかり” を願うしかない。
そして9回目のチャレンジで、ついに……
『極(神戸牛バージョン)』ゲットだぜ!!!!
日本一のビーフシチューが900円なら安い!!!!
・グルメライターに食べさせてみた
さて私は『極』を東京へ持ち帰り、当サイトのグルメライターたちに食べさせてみることにした。
卵形のケースを開けると中身はごく普通のレトルトパック。
レンジで加熱すれば、これまた見た目はごくごく普通のビーフシチューが出現した。今回グルメライターたちには「ゲーセンで獲った」と言わず、あえて「日本一のビーフシチューを試食してみてほしい」とだけ伝えてある。
3名「へ〜! 日本一のビーフシチューか、いただきまァ〜す!」
あひるねこ「…………」
中澤「…………」
サンジュン「日本一…………ではないな」
サンジュン「マズイとは言わないけど、本当にウマいビーフシチューってもっとこう “グッ” と奥深いコクがあるんだよなぁ」
中澤「酸味しか感じない。それもケチャップみたいな酸味」
あひるねこ「ビーフシチューというより、ハヤシライスっぽいですね。スーパーで売ってる安いレトルトの味がします」
満場一致で「これは日本一うまいビーフシチューではない」という結論を出したグルメライターたち。正直これまで彼らの実力を疑っていたが、これほど確かな舌を持っていたとは驚きだ。
実は一足先に『極』を味見した私。「少なくとも『日本一うまいビーフシチュー』ではない」という結論に辿り着いていたのだった。ただし改めて画像を見返すと「日本一 “うまい” 」とは書かれておらず、もしかすると「日本一普通のビーフシチュー」だった可能性も捨てきれない。
ちなみにこのゲーセンには「世界で一番美味しいコーラ」などの景品も見られた。 “一番” のハードルが異常に低い世界線なのかもしれない。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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