口元に髭を蓄えた真っ白な顔が満面の笑みを浮かべる。インターネットを使う人なら、この仮面に見覚えがあるはず。そう、ハッカー集団「アノニマス」がつけているアレだ。

2006年頃に結成されて以来、歴史的なシーンにもその名が度々登場し、世界的に知られるようになった謎の集団アノニマス。そのアノニマスがつけている仮面は今や、ドン・キホーテで498円(税抜き)で売ってたりする。ニヤけた顔が愉快犯を想起させるが、実はこの仮面、元ネタがあるって知ってた

・本当の名前

ドンキの商品は「アノニマスマスク」という名前だし、当然「アノニマスマスクどこにありますか?」で普通に店員さんにも通じる。むしろ、アノニマスマスクと言わないと店員さんに通じなさそうだが、あれ、実は「ガイ・フォークス・マスク」というのが元の名前だ

は? ガイ・フォークスって何やねん。そう思った人も多いかと思うので説明すると、これは16世紀から17世紀にいたイギリスの革命家のこと。

・ガイ・フォークスとは

宗教改革バリバリ時代のヨーロッパ。弾圧されてきたイングランドのローマ・カトリック教徒たちが、プロテスタントのジェームズ1世を暗殺しようとする。そのグループにいたのがガイ・フォークス。いわゆるガチの国家転覆を謀ったテロリストである。

まあ、宗教の問題とか弾圧とか絡んでいるため、ことの善悪とかここでは語らないが、アノニマスがこの仮面をつけていることにはなんらかのこだわりがありそうな人物像だ。ちなみに、ガイ・フォークスは、議事堂を爆破しようとして捕まって死刑に処されるのだが……

何を隠そう、本日1月31日はそんなガイ・フォークスが処刑された日である。享年35歳。その年齢からも激動っぷりを感じさせる。しかし、417年後に自分の顔が日本のドン・キホーテで売られているとは思ってもみなかっただろう。

・ドンキ凄い

海外は知らないが、日本では顔だけが一人歩きしている感のあるこのマスク。ゲバラTシャツと違って、多分、買う人の9割は意味を理解してないのではないだろうか。出自を知ると、こう思わずにはいられない。「よくこんなのがドンキで売ってるな」と。色んな意味でドンキって凄い。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.