誰しも1つくらい「あそこには行きたくないな~」なんて飲食店が存在するハズ。特にチェーン店だとその傾向が顕著で「○○だけは絶対に行かない」「○○ってマズくない?」などと槍玉に上がることもしばしばだ。

私、P.K,サンジュンにとっては『ゆで太郎』がまさにそれ。詳細については後述するが、かれこれ20年以上はゆで太郎に行っていない。……が、このたび意を決しておよそ20年ぶりにゆで太郎で食事をしてみることにした。

・トラウマ

今から約20年前、私はWeb制作会社に勤務していた。事務所の所在地は伏せるが、ハイソな立地とは裏腹に壊滅的にランチの店が無かったことを記憶している。というか、超都心でも小さい駅の周辺ってそんなもんだよね。

個人経営の店でランチをすれば1000円オーバーはあたり前。まだまだ薄給だった当時の私は深刻な “ランチ貧乏” に陥っていた。そんな中、数少ない飲食チェーン店が『ゆで太郎』と「さくら水産」だったのである。

私は『ゆで太郎』と「さくら水産」をハシゴしまくった。ランチ代を500円そこそこに抑えるにはそれしかなかった。結果的に先にイヤになったのは「さくら水産」の方で、その後しばらくは “ゆで太郎一択” の生活が続いたのであった。

毎日毎日 ゆでたろう。年がら年中 ゆで太郎。四六時中 ゆで太郎。寝ても覚めても ゆで太郎。24 / 7 ゆで太郎。Allways ゆで太郎──。かくして最終的には、吐き気を催すほどゆで太郎が嫌いになってしまったのである。

逆恨みと言われればそれまでだが、あれ以来ゆで太郎の看板が目に飛び込んでくるだけでイラっとする程度には、私はゆで太郎が大嫌い。「一生行かねーわ! というか、一生分行ったわ!!」というのが、私の “ゆで太郎感” だ。

・信用できる人物が

……が、そんな決意が揺らぎ始めたのは、当サイトの中澤が「ゆで太郎はいいですよ」とさり気なくオススメしてきたから。当初は「ええええ~。俺は大嫌いなんだよ」と否定していたものの、中澤の味覚は普通に信用に値する。

揃いも揃ってバカ舌ばかりの当サイトのメンバーにおいて、中澤の味覚は “一流” と申し上げて差し支えあるまい。しかも蕎麦は中澤の専門分野。「セイジくんがそこまで言うなら……」というわけで、約20年ぶりのゆで太郎体験に至ったというワケだ。

んで、パッと目に入ったゆで太郎で「季節のかき揚げそば」をオーダー。しばし待った後にやって来た「かき揚げ」を見て、いきなり意表を突かれてしまった。


揚げたてやん……!


私の記憶では、当時のゆで太郎は出来合いの天ぷらをそばにトッピングしているだけだったハズだが……? しかも食べてみると……


余裕でウマいやん……!!


・全然ウマいじゃねえか

当然「こんなウマいそば食ったことねえ!」という程ではなかったが、少なくとも「一食分損した」とは思わない安定感のある味わい。これまでの忌まわしき記憶はなんだったのか? ゆで太郎、全然ウマいじゃねえか……!


中澤「ゆで太郎って運営母体が2つあるんですよ。僕が好きなのは “ゆで太郎システム” の方で、チェーン店の中ではトップクラスじゃないかな~? もしかしたらサンジュンさんが通ってたのはもう1つの方だったのかもしれませんね。

ただ20年以上前ですし、もう1つの方もサンジュンさんが言うほど悪くないと思いますよ。特に “ゆで太郎システム” の方は、近所に1つはあって欲しい優良店と言えるでしょう。本当にチェーン店の中ではトップクラスです」


久しぶりにゆで太郎で食事をした今、中澤の言葉には納得せざるを得ない。俺が悪かった、ゆで太郎……! 毛嫌いしていた自分にブチギレそうだ……!! 本当に申し訳ありませんでした……!

誰しも1つくらい「あそこには行きたくないな~」なんて飲食店が存在するハズ。……が、私のように久しぶりに行ってみると「おや?」といい意味での裏切りがあるかもしれないぞ。少なくとも『ゆで太郎』は普通にいいお店でした。

参考リンク:ゆで太郎
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.