お前らほか弁屋でも始めるつもりかよ! 私(中澤)がそう思ってしまったのは富士そば代々木八幡店でのこと。メニューに見つけてしまったのだ。「のり弁セット(580円)」を

心なしかこっそりと販売されているように見えるこののり弁セットは疑惑の一品と言えよう。なぜなら、同じく立ち食いそばチェーンのゆで太郎がのり弁を販売し話題となっていたからだ。ひょっとして……パクった

・ポスターからすでに怪しい

2020年11月に販売開始され話題となったゆで太郎ののり弁。富士そば代々木八幡店がいつからのり弁を販売しているかハッキリしない現状では、パクったのかどうかの判断は難しいが、券売機のところに貼られているポスターを見てみると……


パクっとるやないかい


文字や写真の配置、フォントなどがゆで太郎ののり弁ポスターにそっくりだ。「王道」なんて赤地に白抜きでほぼ同じではないか。

・匂う、匂うぞ

ただ、現状ではやはり推測の域を出ない。真相を確かめるためにはもっと情報が必要だ。そこでのり弁セットを注文してみたところ出てきたのは……


のり弁丼。

パクっとるやないかい!! ゆで太郎ののり弁も、店舗で食べる場合は丼に盛りつけられたのり弁丼となるからだ。現時点で、限りなくクロに近づいたようにも思えるが、具には違いが見られる。

・富士そばののり弁

まず、白身魚のフライとちくわ天という基本の構成であるゆで太郎に対し、富士そばの具は、白身魚のフライ、メンチカツ、かき揚げ天。ちくわ天の代わりに、メンチカツとかき揚げ天が加わっている

さらに、海苔も1枚海苔ではなく刻み海苔。食べてみたところ、メンチカツがジューシーかつボリューミーでウマイ。白身魚のフライと海苔が入っているためのり弁と言ってもおかしくはないが、どちらかと言うとメンチカツ丼という味のまとまり方をしている。

のり弁の基本に忠実なゆで太郎に対し、油パワーで押してくる富士そば。味に関しては方向性の違いが見える。シロクロつけるためにはもう少し踏み込む必要がありそうだ

・聞き込み調査

そこで店員さんに聞き込みを行ったところ、このメニューは2021年2月1日から展開されている様子。完全にゆで太郎の方が先である。

とは言え、時期が少し遅いだけなら、たまたまカブったという可能性も否定できない。いわゆるシンクロニシティというヤツだ。そこでロケットニュース24であることを名乗り、のり弁セットの発案者を伺ったところ、代々木八幡店の店長・柳田氏であることが判明した。

・発案者を直撃

ついに掴んだ黒幕の正体。さっそく記者(私)はスタッフルームから出てきた柳田氏を直撃した。のり弁セットについて少し話を伺わせてほしいんですが……


柳田氏「いいですよ」


──立ち食いそばチェーンがのり弁って面白い組み合わせですが、思いついた当時の状況を教えてください


柳田氏「ありがとうございます! 思いついたのは昨年の末くらいのことだったでしょうか」


──結構前ですね


柳田氏「はい。私はテレビを見ていたんです。そしたら、ゆで太郎ののり弁セットが特集されてて、面白いなあと思ったんでパクりました!!」


完全にパクっとるやないかーーーーーい!!!!

──というわけで、完膚なきまでにゆで太郎をパクッていたことが判明した。

ちなみに、柳田氏によると、メンチカツは「あったから入れた」とのこと。天ぷら系は揚げ置きの富士そばだが、のり弁の揚げ物類は揚げたてで提供しているというから、フライ系がウマかったのはそのためかもしれない。

代々木八幡店は乱切りの店でつゆは昆布だしがかなり強め。ジャンクな油パワーを感じるのり弁との相性は、ゆで太郎とまた違った良さを感じたので、気になる方はぜひ。

・今回紹介した店舗の情報

店名 名代 富士そば 代々木八幡店
住所 東京都渋谷区富ヶ谷1-53-3
営業時間 24時間営業(緊急事態宣言中は店内飲食5:00~20:00、テイクアウト4:00~翌3:00)
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.