現在、立ち食いそばチェーン界に謎の動きが広がっていることをご存じだろうか。なぜか次々とのり弁を発売しているのである。昨年のゆで太郎に始まり、富士そば代々木八幡店がパクり、ついには2021年6月18日しぶそばまで溝の口店でのり弁(税込み430円)を発売しだしたことは以前の記事でお伝えした通り。

そこでのり弁を売っているしぶそば溝の口店のマネージャー・前村氏を直撃したところ、「パクって……ないよ?」との回答だった。しかし、匂う。しぶそばは何かを隠しているのではないか? 前村氏の発言に嘘の匂いを感じた私。もう社長を直撃して事の真相を確かめるよりほかないだろう

・異様なオーラを放つ東急グルメフロント

というわけで、しぶそばを経営している東急グルメフロントの本部へやって来た。東急東横線学芸大学駅のどことなく洒落っ気のある駅前の明るい雰囲気と対照的に、高架下に佇む東急グルメフロントの本部は暗く、異様なオーラを放っている


そんな入口を入り階段を上ると……


上り切ったすぐのところに社長室が

脇のソファにはマスコットキャラクターのしぶくまくんのぬいぐるみが置かれているが、古今東西、可愛さアピールをするヤツは何かを隠しているものだ。巨悪の存在を感じずにはいられない。

・社長室の中に影

高鳴る鼓動。中では一体何が行われているのか? まずは、少しだけ扉を開いて隙間から様子をうかがってみたところ、部屋の真ん中に大きな机が置かれており、椅子には人影が……


いた! いました!! 東急グルメフロント社長の山口聡一郎氏です!!

険しい表情でパソコンをたたいている社長。今まさに、のり弁の海苔の下に何を隠そうか画策しているのかもしれない。これは決定的瞬間だ! そこで記者(中澤)は意を決して社長室に突入した!! ロケットニュース24です! ゆで太郎ののり弁パクッてますよねーーーー!?

山口社長「いえいえ、パクッてないですよ。しぶそばではちくわ天が人気でして。テイクアウト専用のお弁当を作るにあたって、ちくわ天を使ったメニューができないかという試行錯誤の結果、のり弁になったんですよ。だからパクッてないです

──それはもう前回の記事で聞きました。では、ゆで太郎がのり弁を出していることは知らなかったと?


山口社長「いえ、それは知っています。というか、むしろロケットニュース24ののり弁戦争の記事で知りました。いつも読んでます」


──ありがとうございます! しぶそばののり弁も美味しかったです!! 特に、海苔の下が良かったですね。


山口社長「海苔の下に昆布が入っているのと、しぶそば特製の丼たれを使用したおかかの味は、社内の試食会でも評判の部分だったんですよ。海苔の下だけ販売しようかっていうアイデアもあったくらいで。そこはしぶそばらしさが出ている部分かと思います。なのでパクッてないです


──ですよねー! メニューの「王道!」って文字が似すぎなんでパクッたのかと思いましたよ。ハッハッハ。


山口社長「……。」


山口社長パクッて……ないよ?」

パクッてるやん


その反応、完全にパクッてる時のソレやん。前村さんと同じ反応してもうてるやん。すみません! その反応が気になってここまで来たんですけどパクッてるんですか? パクッてますよね


山口社長「パクッてないです。すみません、これ以上は事務所を通してください」


──事務所の社長があんたやん。関係者の前村氏はこうも証言してますよ。「参考にしたら似ちゃうことあるよね」と。


山口社長「パクッてないですから。パクッちゃいないよ。俺にパクらせたら大したもんだよ


──それパクッてる時に言うヤツやん。実際、参考にしたんでしょうか? 参考にしたんですよね!?


山口社長インスパイアだしッ!!!」

ブチギレられてしまった


ちょっと私もヒートアップしすぎたかもしれない。ごめん。好奇心で相手のことを考えずに問い詰めるとこうなるから、みんな気をつけよう。やっぱり世の中、そっとしておいた方がいいこともあるぞ

・そば業界を盛り上げたい気持ちは同じ

さて置き、山口社長によると、パクッてないけどのり弁のアイデアは面白いと感じたとのこと。コロナ禍で店内で食べるお客様が以前より少なくなっている今、駅そば・立ち食いそば業界を盛り上げたい気持ちは同じであり、約1年前までテイクアウトもなかったしぶそばが弁当を販売しだしたのは生き残っていくためにも必要だったのだとか。

しぶそば初となるテイクアウト弁当の展開やのり弁の発売にはそういった裏側もあるようだ。溝の口店には、他にも「から揚げ弁当(税込み550円)」や丼物から、天むすなどもラインナップされているので、近隣にお住まいの方はぜひのぞいてみてくれ。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.