「魁!! 男塾」とは、1980年代の “ジャンプ黄金期” を支えた伝説の漫画作品である。「北斗の拳」や「ドラゴンボール」並みに人気があったとは言わないが、少なくとも当時は「ジョジョの奇妙な冒険よりも人気があった」と申し上げておこう。これ、マジですから。

その「魁!! 男塾」がまさかの舞台化を果たしたことは以前の記事でお伝えした。この記事では『舞台・魁!! 男塾』の初日を観覧した記者が、その感想をウソ偽りなくご報告したいと思う。舞台・男塾……マジでヤバかった。

・はじめての舞台

2022年10月7日から11日にかけて、合計8公演が開催された舞台・男塾。残念ながらこの記事が公開される頃には舞台も閉幕してしまっているが、もしかしたら「舞台・男塾2」はまあまあの確率であり得るのかもしれない。

要するに『舞台・魁!! 男塾』の満足度がかなり高かった。余裕で楽しめた。初めて集めた漫画は男塾、舞台を見た経験は0回の記者ですら、舞台終了後は「なんかいいもん見させてもらったぜ……!」と心地良い余韻に浸ってしまった。

思い返せば『舞台・魁!! 男塾』には3つのヤバさがあったように思う。以下でご覧いただきたいのだが、特に舞台を愛するみなさんは「そんなの常識だから」などと仰らず、大目に見ていただければ幸いだ。


・臨場感がヤバかった

舞台未経験の記者が感動したのは、その圧倒的な臨場感である。適度にコンパクトな劇場で繰り広げられるストーリーは、いずれのシーンも迫力満点。各キャラの表情の変化、声の変化なども感じ取ることが出来たため「舞台ってこういう感じなんだ」と、それだけで感動してしまった。

さらに演者さんたちの熱演も加わり、当初はちょっぴり不安だった「実写化」についても違和感は特に無し。客席を巻き込んだ手拍子や、セリフを噛むなどといったシーンも、舞台ならでは、生ならではの臨場感なのだろう。


・最新の(?)技術がヤバかった

最新の技術なのか、それとも最近の舞台ではあたり前なのかはわからないが『舞台・魁!! 男塾』ではところどころに “プロジェクションマッピング” を使用した演出が施されていた。そしてこの技術が舞台・男塾ではかなり効果的だったように思う。

例えば男塾名物「民明書房」が登場するシーンや、寿命蝋(じゅみょうろう / 寿命を現わすとされるろうそく。消えると死ぬ)などもプロジェクションマッピングで再現され、視覚的な効果や説得力がかなり高かったのではなかろうか? 漫画と実写を繋ぐ役割として、非常に優秀な機能である。


・男塾愛がヤバかった

記者が涙を禁じ得なかったのは、隅々から感じた “男塾愛” である。本舞台は「驚邏大四凶殺(きょうらだいよんきょうさつ)」がメインとなっていたが、それ以外にも「油風呂」「撲針愚(ボクシング)」「田沢の九九」などなど、全男塾ファン歓喜の小ネタがところどころに散りばめられていた。

原作とはやや違うアレンジがされていた点もあるにはあったが、むしろそれは「原作の男塾に問題がある場合」だったので、個人的には「ですよね」と納得できるものばかりであった。

その原作の世界観をなるべく損なわず、誰が観てもさほど違和感がないストーリーに仕上げた監督の手腕は見事である。最初から最後まで、監督のほとばしる男塾愛を感じた次第だ。男塾愛が無ければ「田沢の九九」は絶対に使われない。

・2があるなら観に行きたい

ご覧のように、舞台・男塾は非常に満足度が高かった。仮に「舞台・男塾2」がやるなら観に行きたいし、男塾ファンの人にも「観に行ったらおもしろいですよ!」と自信を持ってオススメできる。

もちろん節々に違和感もあるにはあった。ただその違和感の正体は、もともと男塾にある要素──。早弁の懲罰で切腹させようとする教官。出会って5分で真剣で渡り合う桃と赤石。「男塾ほどツッコミどころがある漫画など他にはない」と肝に銘じよう。

というわけで、初めての舞台そのものに感動したということを差し引いても『舞台・魁!! 男塾』は、かなり完成度が高かったのではなかろうか? 「漫画原作の舞台は “はじめての舞台” にイイのかも」という気付きと同時に「いつか続編も観てみたいな」と感じた『舞台・魁!! 男塾』であった。

参考リンク:舞台・魁!! 男塾
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼宮下先生も大満足だったに違いないのであるッッ!