良いか悪いかわからないが、Webライターを生業とする私、P.K.サンジュンは「ヘイトスピーチ」に慣れ過ぎてしまっている感がある。元来それなりにハートが強いうえ、この業界に身を置いてからは無数の矢をこの身で受けて来た。手前味噌ではあるがが、鍛えられ方が違う……のだと思う。

最近では私に向けらえたヘイトに感情を揺さぶられることもほとんど無いが、それでも間が悪いとイラっとはしてしまう。例えばまさしく今日、Twitterで目にした「さすが在日、自らキチ〇イアピールとは……さっさと国に帰って、どうぞ」という投稿には、ちょびっとだけイラっとした。

・全然関係ない記事に

まずは、事の発端と経緯を時系列で説明していきたい。ヘイトが付いたのは、私が2022年5月26日に執筆、同日公開された「屋外でのマスクを完全にやめた結果 → 気になる周囲の反応は…?」という記事である。

この記事はタイトル通り、屋外でのマスクをやめた結果について、周囲の反応を私なりにまとめたもの。マスクについて様々な声があることは理解するが、ポイントは「私が在日韓国人だから屋外でのマスクをやめたワケではない」ということだ。

で、問題のヘイトコメントが付いたのは翌日27日の10時26分。私がこの投稿を目にしたのは1時間ほど後で、すぐさま私は以下のようにツイートしている。


「記事にもなるしこれも経験だから1回ちゃんと訴えてみようかな? このレベルのヘイトは通算したら1万回は来てると思うけど、書き込んだ人にどれくらいの反省を促せてどんな人なのか知りたい」


そう、このレベルのヘイトコメントは1万発くらい喰らっている。しかもこう言っては身もフタもないが、私が受けてきたヘイトコメントの中では「下の中レベルの質」といったところ。心をエグられることも無ければ、この程度のコメントに激怒するほど私も青くはない。

・訴えてみようかな?

一方で、私はこれまで1度もヘイトコメントを裁判沙汰にして来なかった。正直なところ、訴えるにしても具体的なアクションの仕方がわからないし、お金や時間がどれくらいかかるのかも未知数だ。

ただツイートにある通り、だからこそ「何事も経験」の精神がこの時は働いた。この業界で在日韓国人であることを明かしている以上、今後も私に向けられるヘイトがゼロになることはあるまい。諦めているワケではないものの、これが当面の現実であろう。

ついでに言うと、私の娘も来年は小学生になる。鋼のハートを持つ私ならともかく、娘に矢が刺さったら訴訟沙汰をためらうつもりはない。そんなこともあり「予行練習だと思えばいいか」と頭に浮かんだことも事実である。

・即逃亡、即謝罪

もちろん「記事になるやん」「なんなら連載できるやん」という考えが真っ先に浮かんだことは、隠さずにお伝えしておく。以上のことから「よっしゃ、いっちょやってみっか」と気合いを入れ、ネットで「誹謗中傷 訴訟」「ヘイトスピーチ 裁判」などとググっていたところ……


14時11分、アカウント削除


別アカウントからの謝罪メッセージを受信。


せっかく……という言い方も妙だが、私的にはやや肩透かしを食らった感覚だ。で、まずは以下で謝罪メッセージをご覧いただくが、私がかいつまむとイヤらしいので、丸々とコピペしてお届けしたい。なお、当人からの許可は得ている。


「突然のDM失礼致します。先程ツイートにて、P.K.サンジュン様へのヘイトツイートを書き込んだ者です。アカウントは削除したものの、やはり一度しっかり謝罪をすべきと思い、メールさせて頂きました。

この度は、不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。社会人として非常に軽率な行動であったと深く反省しております。今回私がこの様な行動を行ってしまったのは、私自身が飲食店に勤務しており、コロナ禍でのお客様対応や、従業員の体調不良に対応していく中でのストレス。

また、ある程度知名度があると思われるネット記事にてノーマスクを推奨するような記事を目にした際に「本当にやめてほしい」と思い、その考えが暴走してしまった事が原因です。誠に申し訳ありませんでした。

しかし、P.K.サンジュン様への誹謗中傷については事実であり、反省しているとはいえ、P.K.サンジュン様に不快な思いをさせてしまった事も事実ですので、今回の件で起訴されても致し方ないと思っております。

本来であれば、真っ先にP.K.サンジュン様宛に正式に文書でのお願いの様な形で申し上げるべき所を、ヘイトスピーチの形でしか訴える事の出来なかった私の落ち度でございます。大変申し訳ありませんでした。突然のメールにて長文乱文失礼いたしました」


ふむ……さてどうしたものか? 正直なところ、アカウントが削除された瞬間は「絶対に逃がさねえ」と闘志に火が付いた。……のだが、全面的に謝罪されてしまうと “武士の情け” の精神が働いてしまう。結果、私は訴えることをやめた。

ただし、私の仕事はWebライター。このまま全てを内々に納めるほど優しくはない。メッセージに返信し「謝罪を受け入れ訴えもしない」「身元を追求することもしない」ことを条件に、今回の顛末を記事にすることを了承してもらった。

果たして私の問いに対し、相手は何を語ったのか? 詳細は次ページでご報告したい。