別に欲しかったわけではないが、アマゾンで「日本職人が作る食品サンプル(きゅうり)」を買った。商品説明によると「一点一点職人が手作りしているため、形状や色味、風合い等は商品写真と若干異なる場合がある」という。たしかに手作りなら仕方のないことだ。

その分、本物と見間違えるようなリアル感があるのだろう。価格は送料込みで1308円。果たして、日本職人のこだわりや経験、プライドの詰まった「きゅうりのサンプル」はどのくらいリアルなのだろうか。世界が驚く「ものづくりの技」を刮目せよっ!

・職人の技

注文から2週間経って「きゅうりの入った茶封筒」が届いた。てか、完全に忘れていた。忙しい毎日を送っていると目の前のことで頭がいっぱいになってしまう。勢いだけで購入した「日本職人手作りのきゅうり」のことは記憶の片隅にすら残っていなかったので……


封筒を開けた瞬間……


「え、きゅうり?」


と衝撃を受けた。しかし頼んだのだ、職人手作りのやつを。Amazon評価は5段階中2で、レビューで「日本職人の質も落ちたな!」とキレられているきゅうりをたしかに買ったのだ。

さらに「緑色の棒につぶつぶがランダムにポツポツと付いているだけです」とも書いてあったが……手作りなので数百本に1本くらい失敗作があってもおかしくない。説明に「商品写真と若干異なる場合もある」と書いてあったように、ギャンブル要素もあるのだろう。では……


うちに届いたきゅうりはどうだったのかというと……


…………



こ、これは……


商品画像と完璧に同じである。


驚くほどに同じ。


手作りにしては同じ過ぎである。 


もし熟練した職人の技術で「画像と同じもの」を手作りしたならレベルが高いと言わざるを得ないが、正直この作品からはこだわりやプライドが一切見えてこない。あまり言いたくはないが、オーラ的には「職人芸」というより「機械による大量生産」である。

ただもしかしたら本当に、食品サンプル界の巨匠が緑色の棒につぶつぶをポツポツ付けているのかもしれない。あくまで商品をパッと見た印象の話なので間違っていたらすみません、巨匠のプライドを傷つけるつもりは毛頭ございません。

ちなみに、きゅうりは端から端まで太さが均一なもの & 色ムラのないものが良質らしいので、職人も狙ってストレートにしたのかもしれない。芸術とは「受け取る側の自由な解釈」に委ねられている部分もある。しかし眺めれば眺めるほど大量生産の香りしかしない。

そんなわけで、とりあえずベランダに飾っておきました。良質なきゅうりの説明をする際には、同サンプルを使おうと思う。私の評価は2.5。職人のこだわりが感じられなかったのが本音。100本買ったら100本同じものが届く気がする。とはいえ、きゅうりのサンプルが必要な方は検討してみてはいかがだろうか。


参考リンク:Amazon「日本職人が作る食品サンプル(きゅうり)」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.