「かなり考えてやっている」──。これが2022年に発売された『ヴィレヴァン福袋2022』を全て開封し終えた、私、P.K.サンジュンの率直な感想である。点数にするならば「85点」くらいはつけてもいいのではなかろうか?
昨年は「期待ハズレだった。もっとゴミを入れろ!」と評価したが、今年は “ヴィレヴァンらしさ” を押し出しつつ、世の流れとも上手く折り合いをつけていた。ズバリ、悪ふざけ王のプライドを垣間見た気分だ。
・実は歴史的な分岐点だった
2016年からヴィレヴァン福袋を担当して7回目の正月を迎えた。あくまで自称ではあるが、そろそろ “ヴィレヴァン福袋マイスター” を名乗っても、そうそう文句は言われまい。中の人ほどではないが、毎年真剣にヴィレヴァン福袋と向き合っています。
さて、長きにわたるヴィレヴァン福袋の歴史の中で、昨年は確実に “分岐点” となる年であった。理由はただ1つ……「例年と比較してあまりにもゴミが少なすぎたから」である。
ヴィレヴァン福袋といえば「何が入っているかわからないワクワク」こそが最大のウリだったハズ。ゴミだとはわかっていても「馬鹿デカいカンガルーのぬいぐるみ」や「金ピカ3点セット」が入っているとめちゃめちゃテンションが上がるというものだ。
・ちゃんとゴミは入っているのか?
それがどうしたことか、2021年はゴミの比率が恐ろしく減ってしまった。ヴィレヴァンさえも “コンプライアンス至上主義” の波に飲み込まれつつあるのか? それは「中身がわからない福袋文化」の消滅を意味していると言っていいだろう。
で、今年目についた福袋は5500円の「ブラック」「ゴールド」と、3600円の「レッド」「イエロー」「ブルー」「ピンク」「グリーン」の合計7種類。多くの人は気付いていなかったかもしれないが、実は「ヴィレヴァン福袋文化の滅亡をかけた正月」でもあったのだ。
開封前、今年ほど違う意味でハラハラした年はなかった。もちろん「ゴミが入っていなかったらどうしよう」という不安からである。ゴミのないヴィレヴァン福袋など、シャリの無い寿司。お前も単なる美味しいだけの刺身屋になってしまうのか──?
で、で、で。
・絶妙なラインナップ
冒頭でもお伝えした通り、2022年のヴィレヴァン福袋は「ヴィレヴァンらしさ(ゴミ)」と「当たり」のバランスが絶妙な福袋であった。もっと言うならば「ゴミともあたりとも言えないグッズ」が大幅に増えていた印象だ。
例えば、本来ならいくらあっても困らないハズのクッションは、
あんこバタートースト
リアルトラの顔面
めで鯛クッション
……などなど「無地なら普通に使えるけど」というヴィレヴァンらしいラインナップ。クッション自体は当たりなのに、デザインは完全にゴミという点に王のプライドを感じずにはいられなかった。
・かつてないメリハリ
また、福袋の種類によって「ゴミ」と「当たり」をきっちり分けていた点も評価していいのではないだろうか? 「レッド福袋」は往年のヴィレヴァンらしさ全開のゴミの集合体である一方で、「グリーン福袋」はほぼ当たりという内容。種類によって、かつてないほどメリハリが利いていた。
その他「ブルー福袋」は寿司、「イエロー福袋」はトラ……などと、公式サイトである程度の内容が判明している点も、ヴィレヴァンが時代に合わせたところなのだろう。それでも各種ゴミでヴィレヴァンらしさをアピールしていた点は大いに評価したい。
・1万円福袋よ、復活せよ
ただし、5500円の「ゴールド」と「ブラック」は “やや物足りなかった” というのが正直な感想である。悪くはないが、最高額福袋には「吐くほどのゴミ」が欲しいところ。来年はぜひ1万円の福袋を復活させて欲しいところだ。
総じて2022年のヴィレヴァン福袋は「自分たちらしさを活かしつつ、世の流れにも配慮した福袋だった」と結論付けたい。本物のゴミはヴィレヴァンアウトレットに任せて、来年も同じ方向性の内容が続くのではあるまいか? それほどソツがないラインナップであった。
世知辛いこのご時世において、毎年ヴィレヴァン福袋ほどワクワクする福袋は他にない。悪ふざけ王のプライド。それを強く感じた「ヴィレヴァン福袋2022」であった。来年も絶対に全部買うからな! 1万円福袋の復活を頼むぜ!!
参考リンク:ヴィレヴァン福袋2022
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.