「頭頂部がハゲてきた──」つい先日、友人からこのようなメッセージをを受けた。頻繁(ひんぱん)にSNSなどを通じて連絡を取り合っているものの、コロナ禍を理由にここ数年直(じか)に会ってはいない。
そうか……我々も歳をとったもんな。致し方なかろう。ただこのような時、なんと返すべきであるのか。突然のことだったため適当な返事をしてしまったことを、じわじわと悔やんでいる。ここはちょいと、その道のプロに相談するとしよう。
・後悔先に立たず
友人は30代半ばの男性だ。そう言えば、彼の父親も頭皮が寂しい状態であることを以前ポツリと呟いていた記憶がある。まあこればかりは、どうしようもない。
記者もここ数年でシワもシミも増えたし体の節々が痛いし外に出るのは益々億劫(おっくう)だしで、人はみな平等に歳をとるものですねとしみじみしているところだ。そりゃあ髪の毛も薄くなろう。
それはそれで受け入れ、楽しく生きていこうじゃないかと思う。がしかし、わざわざ申告してきたということは、なにかしらの反応を求められていると考える。
人の容姿に対してああだこうだと言及するのは気が進まないというか、タブーではないか。個人的にはそんな風に考えるが、打たれたボールは何らかの形で返さなければならない。
焦った記者は、咄嗟に「まあ剃るという手もあるしね」と近しい間柄ゆえの返しをした。がしかし、後になって考えればもう少し言いようがあったのではないかと思えてならない。まさしく後悔先に立たずである。
一連のやり取り以降も友人は軽口をたたいていたが、もしかして記者の物言いが引っかかったかもしれない。かといって今さら、この話を蒸し返すのもなんだかなあ、である。
これは次回、直接会った時にでも挽回したいところだ。一体全体、どのような返事であれば相手も気持ち穏やかでいられるのか。その道のプロにアドバイスをいただくことにした。
・肯定も否定もしない魔法の言葉
一連のやり取りを説明したところ、ふむふむと耕平さん。そして返ってきた言葉に、記者は納得するしかなかった。さあみなさんも、メモのご用意をば……!!
耕平「私が同じ立場だとして、女性の友人からの一番嬉しいフィードバックは……
「ホントだ。でも、そんなもんなんじゃない?」
この言葉でしょうね。「そんなこと無いんじゃない?」みたいな感じで否定されても、気を遣われていると勘ぐってしまいます。
逆に「ホントだね」で返されると、薄毛初心者は結構ショックを受けます。まだ現実を受け止めきれない状況なので。
なので肯定しつつ、だからと言って気にならないよ的な返しがいいと思います」
くぅぅぅ……なるほど……! 気が利いてる……!!!! 髪の毛云々以前に、肯定も否定もしない心優しいこの言葉はすべての人たちに適応可能ではないか。
ナニかあった際、記者もこの言葉を投げかけられたら嬉しい。いやはやこれぞプロ……というよりも人間力の高さを痛感した。咄嗟にこの言葉が出てきたならば、確かに互いに気持ちが良いことこの上ない。
髪という繊細なポジション故に、そちらにばかり気が行っていたが、要は人と人とのコミュニケーションの話なのだ。いついかなる時も、相手のことを思いやる心を忘れないようにしたいと気が引き締まった次第である。
みなさんも反応に困る言葉を投げかけられたならば、この魔法の言葉をとなえよう。でも、そんなもんなんじゃない? ──と。
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.