・前ページのあらすじ

暴虐の限りを尽くすサンジュンの攻撃により、劣勢を極めるYoshioの陣営に加わった助っ人、砂子間。こうしてYoshio&砂子間連合軍 vs サンジュンという異次元の対局が始まった。

通常の将棋ルールと違い、サンジュン → 砂子間 → Yoshio → サンジュン……という順番で駒を動かしていくため、連合軍側の攻撃チャンスは実質2倍となる。これならさすがに勝てるのではないか?

さあ、いよいよ反撃開始だ! サンジュンに一泡吹かせてやれーーー!!


サンジュン「はい、ギガスラッシュです


ええ……


・地獄その4:一撃の重みエグイ

気付いたら物凄い勢いで金や銀がなくなっていた連合軍陣営。よく見ると、すでに全体の3分の2の駒が失われてしまっている。壊滅やないか。それでもなんとか凌いでいると、ここでサンジュンの飛車が予想外の動きを見せた。そう……


まさかの一時離脱である。

・地獄その5:盤とか関係ない

そのままYoshio陣営側の将棋盤の下に潜り込む飛車。いよいよ何でもありになってきたが、飛車が戦線を離れてくれるのは素直にありがたい。これを機にサンジュンの陣地へと果敢に攻め込む砂子間。が、せっかく桂馬が「成った」のに……


サンジュン「赤ということは、HPがもうありませんね


瞬殺されてしまう。


・地獄その6:健康状態による弱体化

いや、ドラクエじゃねーから! 赤のゲージは瀕死とかじゃねーから!! こうして敵陣地に入った桂馬は奪われるわ……


角は謎に足止めを食らうわ……

さらにここで、離脱していたサンジュンの飛車が勝手に戦線に復帰。ついでに負傷兵を名乗る大量の歩まで戦場に介入してきたではないか。そのあまりに衝撃的な光景に、私は思わず声を上げてしまう。


こんな詰み方見たことねぇ……!

・地獄その7:鬼詰めしてくる

な、何だこれは……。完全に脱出不能ではないか。本当に将棋か……? だがしかし、2回行動によってなんとか難を逃れたYoshioと砂子間。早く! 早く態勢を整えなければ!! ところが次の瞬間……


サンジュン「王手です」


王……手……!?


急に目の前に出現するサンジュンの王。いや、どっから沸いたんだコイツ。こうして図らずも王と王によるタイマンが実現したワケだが、この時、Yoshioと砂子間、そして私(あひるねこ)の頭にはある一つの疑問が浮かんでいた。つーかこれ……


王取れるんじゃね?

サンジュンが王を動かしたということは、次はもちろん砂子間のターン。ならば1マス進んで、王の首を取って終わりではなかろうか。そう、王手と見せかけての、まさかの逆王手である。何このポンコツエンディング。

しかしその後、サンジュンが王を取られることを執拗に渋ったため、砂子間とYoshioはその周囲をさらに固めて王の包囲網を完成させる。スゴイ! 形勢逆転だ!! これでもうサンジュンには打つ手が……


サンジュン「はい、ゼロ・グラビティです


え!?



何が起きた……?


・地獄その8:空間を歪めてくる

気が付くと、サンジュン陣営の王の周辺からすべての駒が消えていた。サンジュンによれば「ゼロ・グラビティ」が発動すると王の周りは無重力状態になり、敵味方関係なく拭き飛ばすらしい。つまり……


終局である。

・終わった

いつの間にか王を失ったYoshioと砂子間は、事態が飲み込めずいまだ呆然としている。まさかこんなスッと終わるとは。さすが銀河伝説7段といったところか。ていうか……銀河伝説7段って何なんだよ!!!! 割と序盤から言ってたけど、何なんだ銀河伝説7段って! どこが認定してんだそれ!!

こうして難なく勝利を収めたサンジュンは、「じゃあ後は戦後処理だな」と意味不明なことを呟きながら自陣に歩を並べだした。それが終わったら、今度は余った駒を集めて円型に配置。そして……


王を胴上げしていた。


そう、これは勝利の宴である。中には酒を飲んで赤くなっている駒もおり(HPのゲージじゃなかったんか)、大いに盛り上がっている様子。その様子を見てサンジュンも満足しているようだ。

一方、Yoshioと砂子間はどこまでも憔悴しきっており……って、あれ? Yoshioさん……そんなに小さかったでしたっけ? 砂子間の隣にいるからか、どうも体が縮んだように見える。生気吸われとるやないか。


サンジュン「まあ悪くない戦いだったけど、仮想・藤井竜王としてはちょっと物足りなかったかな。俺もそろそろ本気を出したいというか、ぶっちゃけ敗北を知りたいよね


と、『バキ最凶死刑囚編』みたいなことをのたまうサンジュン。頼む、誰でもいい……! 誰かこの男に敗北を教えてやってくれ……!! 誰か……ッ!







地獄は続く──。


執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.