パラリンピック開会式で注目を集めた「デコトラ」とは、超ド派手な装飾や電飾を施したデコレーショントラックの略語だ。数年前にグッチのCMに使われたり、ニコラス・ケイジ主演の2021年秋公開映画にも登場予定。日本が世界に誇る文化芸術の1つと言えるだろう。

そしてデコトラといえば、やはり「一番星号」である。菅原文太さん主演映画『トラック野郎』で活躍した「一番星号」は、激動の昭和を駆け抜けた伝説のデコトラなのだが……この度、実物を見学する機会に恵まれたので、レジェンドの現在の姿を皆さんにもお見せしたい。

・伝説のデコトラ「一番星号」

やってきたのは、埼玉県本庄市の全国哥麿会(うたまろかい)。映画での役目を終えた「一番星号」は各地を転々とし、一時はスクラップ場に置かれファンを失望させたという。トラック野郎のカリスマ的存在である田島順市会長のもとに嫁いだのは2014年4月のこと。


田島会長は映画で活躍していた “当時の姿” に戻すために、3000万円以上かけて緻密な復元作業を行ったそうだ。ただお金をかけてキレイにするのではなく、ネジやランプにもこだわり映画ファン、デコトラファンの協力を得ながら見事に復活させたという。


なかでも会長が「これはレプリカではなくオリジナル」とこだわったのは箱絵。実際に当時の東映美術監督で「一番星号」の箱絵を原作した桑名忠之先生の立会いのもとで作業は進められたらしい。桑名先生は『トラック野郎』10作すべてを担当した「一番星」の生みの親である。


聞けば、塗料も当時と同じものを使用……なんという徹底ぶり。たしかに立体感のないベタッとした絵ではなく、関係者の情熱と根性の詰まった “本物ならではの凄み” が感じられる。えげつない迫力だ。


冗談と前置きした上で「開会式でデコトラ文化が世界に発信されたのも嬉しいけど、一番星号が聖火を運んでも面白かったよね。まあ無理なんだけども」と会長。ちなみに現在は、全国各地で開催されるチャリティーイベントで「一番星号」の雄姿を拝むことが可能だ。

銀幕を駆け抜けたレジェンドの姿は、ファンならずとも必見。映画ファン、デコトラファンなら号泣待ったなしだろう。

ご覧のとおり、電飾もバッチリ点灯するから、見頃は夕方以降だろうか。もちろんギラギラ燃えた太陽を浴びた姿もヤバい。最高に熱い。

ちなみに全国哥麿会は、全国の会員ネットワークを生かして地震や豪雨などの被災地に救援物資を届けるボランティア活動を続けている。活動のきっかけとなったのは雲仙普賢岳の噴火災害。2021年9月12日には、南相馬市のチャリティイベントに参加する予定だ。


・公式サイトとYouTubeを要チェック

なお活動費は、カレンダーやタオルなどのグッズ収益だという。少しでも興味のある方は、公式サイトをチェックしてみてはいかがだろうか。

また昨年から、イベントに参加できない方にも楽しんでもらうべくYouTubeチャンネルも開設。ぜひぜひチャンネル登録しておいてくれよな! 今度は「一番星号」はもちろん、個性豊かなデコトラたちが集結した姿をこの目で見たい。皆さんも楽しみにしていてほしい。


参考リンク:全国哥麿会公式ホームページ / 全国哥麿会YouTubeチャンネル
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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