私がロケットニュース24のライターとして、記事を執筆させていただくようになってから5年以上が経過した。
ご存知の方もいるかと思うが、もともと私(耕平)は超人気企画だった「突撃ハゲアタック」 を経て、編集長のGO羽鳥氏に捕獲されたという経緯でデビューしたわけなのだが、そのきっかけが、ビジネス系の情報商材に書いてあったことを実践したことによるものだった。
そして私は、この情報商材と呼ばれるものに、約10年間で実に500万円もの大金を注ぎ込んでいた。
というわけで今回は、情報商材の世界を深堀していくとともに、大金を注ぎ込んでしまう思考に至るまでをリアルにお届けしようと思う。
・情報商材の定義とは?
そもそも『情報商材』とは、どういったものを指すのか?
世間一般的には、儲かるビジネスや株式投資のノウハウみたいなものが多いイメージがあるが、ハッキリとした定義は存在しない。
「情報を売る」という意味では、書店に売っているビジネス本や自己啓発系の書籍も情報商材とカテゴライズすることができるだろう。ただし、ここでいう情報商材とは「完全に金額がバグっているノウハウ」のことを指す。
例えば「明日からできる! 儲かる転売術」みたいなノウハウがあったとしたら、同じようなノウハウが書店で1500円程度で販売されている。
それに対して情報商材と呼ばれるものは、書籍ではなくPDFファイルと呼ばれるもので安いものでも1万円前後、高いものだと数十万円のものが存在する。
次からは私(耕平)が、なぜ情報商材に手を出すことになったのかを話そうと思う。
・初めて情報商材デビュー
時は2008年。私は結婚していて、第一子が生まれる寸前だったため妻が退職したばかりだった。
当時は共働きだったのだが、妻が出産のため退職し収入が一気に減ったことで、毎月ギリギリの生活から抜け出すことを考えていた。
私の本業といえば、深夜残業も週2〜3日あるような、典型的とも言える “真っ黒な労働環境”。決まったシフトに入るようなアルバイトはできず、時間に縛られない副業をネットで検索していた。
そこでまず目に飛び込んできたのが、個人で品物を安く仕入れて高く売る転売ビジネスのやり方だった。
その方法を早速実践すべく、近所のフリーマーケットで洋楽のCDを300円で購入。それをヤフオクで1500円で販売したところ……すぐに売れた!
小さな成功体験だが、給料以外で収入が入ってくるというのは嬉しいもので、さらに稼げるノウハウを探すことになる。
そして「無料のノウハウは出回っているから儲からない」というネットに飛び交っていた情報を真に受けて、有料のノウハウを探し求めることとなる。これがのちに情報商材にハマることとなる第一歩だ。
・金額が完全にバグる
まず、最初に購入した情報商材は「ブログを作ってアフィリエイトで稼ぐ」というノウハウを教える塾だった。
料金は月額制で月1万円だったと記憶している。この塾のノウハウというのが今考えれば、かなり鬼畜な方法で、ざっくり説明すると「1日に200文字くらいの記事を10記事、1年間続けましょう! それで月に30万円稼げます!」みたいなものだった。
「ただでさえ本業で忙しいのに、そんなことできるわけねぇだろ……」と思いながらも、なんと、これを根性で本当に1年間続けた私。
しかし、1年間やってきたにも関わらず、その成果は月に1万円どころか、累計でも1万円にも届かなかった。
その後、塾に退会を申し出ると「規約により、当塾のノウハウで作成したブログは塾に寄贈することになります」とメチャクチャな条件を提示されるが、儲からないノウハウに月1万円払い続けることもバカらしいので、その条件を飲んで退会する。
普通なら、これに懲りて諦める人が大半だと思うが、私(耕平)は中途半端に情報商材に足を突っ込んでしまったため、もっと儲かりそうなノウハウを追い求めるようになる。
・ありとあらゆる情報商材を試しまくる
その後は輸入転売、YouTubeで広告収入を得る方法、高額のアフィリエイトセミナー、そしてハゲアタックのきっかけとなった、TwitterやFacebookなどのSNSを駆使した情報商材アフィリエイトなど、あらゆる有料の情報商材を約10年にわたり手にすることとなる。
金額も前述の月1万円から始まり、3万円、5万円と上がっていき、最終的には50万円の高額ネットビジネス塾にも入会し、結局、購入した情報商材は、大小合わせて約120種類以上。総額は500万円を超えていた。
・お金を注ぎ込んでしまう心理状態とは?
それでは「なぜ、情報商材という怪しいものに、いとも簡単に大金を注ぎ込んでしまうのか?」という心理に至る過程を、私(耕平)の経験からお伝えしていきたいと思う。
まず、結論から話すと……
「金額が高い情報ほど秘匿性があり、結果、その100倍以上稼ぐことができるはず!」
と思い込んでしまう心理状態に陥ってしまうことにある。
例えば1万円の情報商材を購入したら、100万円以上は稼げるんじゃないか? といった感じだ。
次になぜ、そんな心理状態になってしまうかというと、過去に投稿した「詐欺的セールスあるある」にあるように、情報商材の販売者が、その心理状態に持っていくようにエグいくらいの演出を行なっていることにある。
こんなものは、いかにも怪しいと思うのが当たり前だが、奴らはそんなこと百も承知。その感情すらも購入意欲に変えていく心理テクニックを何百パターンも持っていると思った方がいい。
その結果、社会の荒波に揉まれて、世の中に不満を抱えるサラリーマンなどは「脱サラ」「起業」などが頭によぎり、テンションMAXになったところで金額の大小関係なく、気がついたら高額の決済をしてしまうといった流れだ。
私(耕平)のケースを思い返してみると、ほぼこの形で購入していた。ある程度のトリックがわかっていても、結局は悩んだ末にワンチャン狙って購入してしまう……と、普通に考えたら、どう考えても理解できない思考だが、このループにハマってしまうと本当に抜け出すことが難しいくらい、情報商材のセールス手法は巧妙なのだ。
・実際に儲かったのか?
それでは、この高額な情報商材を購入し、実践して本当に儲かったのか? を話していこうと思う。
これも結論から言うと、「本当に稼げたものも、いくつかあった」というのが答えとなる。
ネットの世界は移り変わりが激しく、今では稼げないものがほとんどだが、当時稼げたものを具体的に挙げると「輸入転売」「YouTube」「ブログ」の3点だ。
他にも細々としたジャンルで多少稼げたものや、購入してもノウハウ自体を実践しなかったものもあった。私(耕平)の場合は、約10年間で500万円注ぎ込んだ中で、何だかんだでギリギリマイナスにはならなかったような収支結果。金額だけ見たら、正直バイトをやっていた方が良かったという結論になるだろう。
この辺りは需要があれば、当時どうやって稼ぐことができたかを別の記事で投稿したいと思う。
・経験者は語る
情報商材の世界にドップリ浸かった経験から、一つだけ言えることがある。それは……
「手を出すな!」
ありきたりだが、この一言に尽きる。
前述した通り、中には本当に稼げるノウハウも世には出ていることは間違いない。ただし、これから副業などを始めようと思った時の行動の選択肢として、情報商材はギャンブルより危険だ。
その理由だが、ご存知の通り、こんなグレーな業界でまともに発信している人は、肌感覚になるが全体の1%にも満たないと思う。ちなみに投資・ギャンブル系は100%に近いレベルで詐欺だと思った方がいい。
そんな中で本物のノウハウを探す時間と、金銭的なリスクを考えると、今では無料で見られるYouTubeなどでも数万円の情報商材と変わらないくらい質の高い、いろいろなノウハウが発信されているので、それを実践する時間に当てた方が間違いなく良いだろう。
ただ、そう思っていても、奴らはその感情を払拭して売り込む技術を持っている。なので、まず関わらないことが大前提だと、私(耕平)も肝に銘じていることから、現在は全くこの類に物には手を出していない。
ということで、この記事が世に出ている情報商材被害防止の一助になれば幸いである。
Report:耕平
Photo:RocketNews24.
▼楽して稼げる情報なんか、我々庶民にはまず入ってこないと思うことが重要だ。